「東日本大震災の報告」その1
―NPO支援について―
読者ご高承の通り、日本財団は3月11日の東日本大震災に際し、いち早く三つの支援方法を決定、実行した。
@ 死者・行方不明者のご遺族に、お一人5万円の弔慰金、見舞金の配布。
A 被災地に入るNPOに、100万円の活動費を簡略な審査で一刻も早く届けられる支援体制作り。
B 漁船が破壊され、生涯の働き場所であった海を眺めて絶望する漁業者に、1億円、17年間無利子融資の実施。
今回はAのNPOへの100万円の活動費支給の結果報告である。
日本財団では、阪神・淡路大震災でもこの方法によるNPO支援を行った経験があり、公募の結果、2112件の申請が届いた。そして、被災地に一刻も早く救援の手を派遣すべく、簡易審査の結果、695件(651団体)を決定した。
支援金の提供には事業完了報告書の提出が義務付けられていたが、報告書の提出義務を怠るNPOは意外に多く、この事務処理に財団職員が苦労するとは予想外のことであった。
日本財団は透明性と説明責任を果たすことを重要事項と考えており、再三再四の連絡にも誠意ある回答がなく、現地まで訪れなくてはならないケースも多々あり、訪問してもその住所に存在しないケースもあった。2013年7月1日現在、電話、メール、文書による督促及び現地訪問でも助成条件である完了報告書が提出されていない団体は7団体であった。
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震災発生当時は全国から志あるNPOの協力を得たが、時間の経過と共に遠隔地のNPOにはご遠慮願い、被災地周辺と関東地方のNPOの支援に限定した。このことは、交通費その他の間接経費を可能な限り節約し、実質支援金に使用したいとの日本財団の災害対応のノウハウがあったからである。
695件の緊急支援の中に、1件だけマスコミの話題になったケースがあった。例のニセ医者の団体に日本財団が支援したというものだ。しかし、この団体支援には、職員が現場の活動状況の確認を行っており、混乱する状況の中で、医師に医師証明書の提示を求めるなど非常識極まりない話で、不可抗力であったと思っている。この程度のマスコミ批判に躊躇していてはいけないし、失敗しても責任は私が取りますから大いに頑張ってほしいと、職員を叱咤激励したこともあった。
震災の大混乱の中でのNPOへの695件の緊急支援活動は、それぞれのNPOの活躍は勿論のこと、職員の奮闘・努力により得られた成果も多く、責任者の私としては、大いに評価し、感謝の気持ちでいっぱいである。