「振り込め詐欺の45億円、日本財団へ」
―金融庁決定―
「振り込め詐欺救済法」に基づく預保納付金を用いた犯罪被害者等の救援事業に係わる「担い手」として、金融庁より日本財団に決定したとの連絡を頂いた。
これだけでは官庁用語で難解なので、僭越ながら説明させていただきます。
警察等の懸命な呼びかけにも関わらず、世の中には他人を信用してしまう日本人の徳性を悪用する振り込め詐欺事件が後をたたない。犯罪者を摘発して発見された銀行口座や現金は当然のことながら被害者に返還されるが、被害者が特定できないケースも多々あり、預金保険機構(預保)には現在45億円が保管されている。
「振り込め詐欺救済法」に基づいて、金融庁では40億円を犯罪被害者の子弟に対する奨学金、5億円を犯罪被害者団体への支援者交付の担い手となる団体を公募していた。日本財団の若手職員・高橋秀章がこれを発見。10数回にわたる検討を経て書類を提出。数回の直接ヒヤリングの結果、日本財団に決定したわけである。
日本財団では15年間にわたって犯罪被害者支援センターの立ち上げや人材育成、またDVや性犯罪被害者を支える団体への支援などを行ってきた。かけがえのない家族を失い悲嘆に暮れている方々、突然の被害に遭い苦悩の日々を送っている方々に寄り添い、少しでも支えになろうとする諸団体やNPOを支援するのは日本財団の大切な仕事の一つある。
犯罪被害者が直面する日常生活、医療、裁判への対応、心のケア、最悪のケースは葬儀費用までと、問題は広範囲に及んでいる。責任の重さを肝に銘じ、金融庁よりお預かりする「預保納付金」と日本財団の助成金を合わせ、社会全体に犯罪被害者の支援の輪を拡げ、世界から評価されるシステムを確立したいと願っている。