「世界のハンセン病制圧」
―決してあきらめない―
私はWHO (世界保健機関)のハンセン病制圧大使として25年間で127ヶ国を訪問。その間会談した国家元首、大臣らは延べ1,812人にもなります。今年のWHO総会においてテドロス事務局長は総括スピーチの中で「ハンセン病制圧大使として25周年を迎え、WHO史上最も長くその任にあり、今なお活発に活動を続けている笹川氏のリーダーシップに敬意を表したい」と述べられた。
昨年はネパールでは首相が、スリランカでは大統領出席のもとハンセン病全国会議を開催。今年はブラジルで初めての全国会議を開催、また7月上旬にはインドネシアでも大統領出席のもと全国会議を開催すべく笹川保健財団の職員が奮闘中であります。
ハンセン病を私は「沈黙の病気」と称しております。病気としての初期段階は熱も痛みもないので、病院に行くこともなく、手足に若干の変化が表れてはじめて病院を訪れることがほとんどです。ただ、やはりこの状態になっても偏見・差別を恐れて病院に行かない患者も多いのが実情です。
しかし、薬は世界中で無料で配布されているので、早期発見・早期治療をすれば障害もなく治ります。従って、数多くある病気の中でも自宅訪問の上、皮膚のチェックをすることが最善の方法であり、この訪問する保健師システムがあるのは世界でインドだけであることから、各国でこの仕組みの導入を説得するのですが、保健省としては、結核やマラリア、エイズ、糖尿病をはじめとする患者数の多い病気に予算配分がなされ、日本財団と笹川保健財団の支援金に頼るのが多くの国々の現状です。
WHOは2030年にはハンセン病をゼロにとの目標を掲げていますが、日本には「百里の道は九十九里をもって半ばとす」という諺があり、「ハンセン病を忘れないで(Don’t Forget Leprosy)」「ハンセン病ゼロへの最後の一歩、今始まる(The Last Mile Starts Now)」等々の標語のもと、各国を訪問し活動の活発化を要請しているところです。
今や忘れられつつある「ハンセン病対策」において、日本財団と笹川保健財団が世界で唯一といってよい活動拠点となってしまいました。「決して諦めない(Never Give Up)」の精神で活動を続けてい参ります。