「ハンセン病との闘い」
―50年を経過―
世界のハンセン病制圧活動はおおよそ順調に推移してきたが、コロナの発生により残念ながら活動は中断、もしくは停滞状態となっている。各国保健省においては、患者数の多い結核やマラリア、エイズ等に予算配分をするのは当然で、ハンセン病の患者数はそれらに比べ少数であり、従って、予算配分も人材も圧倒的に少ないのが現状です。
しかし数多くある病気の中でも神の呪い、神からの罰と古来から言われ、家族からも捨てられる病気はハンセン病以外にありません。また、ハンセン病が治癒しても「元ハンセン病患者」と呼ばれ、厳しい偏見や差別を受けるのも、この病気の悲劇です。保健省のハンセン病予算の増額と、偏見・差別の撤廃のためには、どうしてもその国の国家元首を説得する必要があります。筆者は延べ400人を超える各国の国家元首に、ハンセン病の実態について説明、説得をしてきました。127ヶ国、約3700日、600回を超える海外活動を続けていますが、未だにハンセン病制圧のゴールは見えません。
昨年にはネパール、スリランカにおいて大統領、首相出席のもと、ハンセン病全国会議を開催し、積極的な活動の機運を盛り上げました。明日12日からブラジルのルーラ大統領を説得し、ブラジルで初めてとなるハンセン病全国会議がリオデジャネイロで開催されることになりました。続いて8月にはエチオピアにおいて、アフリカ諸国の保健大臣に参加を願い、ハンセン病制圧会議を開催予定です。また、先般インドネシアのプラボウォ大統領の私邸でハンセン病全国会議の開催を陳情し、了解を得ましたので今年中にインドネシアで初めてとなる本会議の開催が可能になりました。
筆者の残り人生も先が見えていますので、何とか一人でも多くの人を救いたいと笹川保健財団の皆さんと情熱的に活動を続けて参ります。尚、多少自慢話になりますが、WHO(世界保健機関)に50年間にわたり協力してきた団体は他にないそうで、本部に「笹川良一」の胸像が設置されていることも誇らしいことです。