「ロシア訪問」
―ロシア正教会トップと会談―
今回の訪問は2012年にハンセン制圧活動で訪問した以来、13年振りのロシア訪問でした。かつてチェルノブイリの原発事故への10年間にわたる救援活動は、広島、長崎の経験を活かし、最新の医療器具を世界最大の軍用機「アントノフ」を成田空港に飛来させ、物資満載で離陸した。所管の国土交通省では民間飛行場への軍用機の使用は初めてながら、人道活動として認めてくれた。その後ロシアの航空会社「アエロフロート」が七十数回にわたり物資の無料運搬を引き受けてくれ、総額四十億円の活動は詳細なデータとして国際原子力委員会とWHOに提供された。また、その時指導したロシア人の放射線の専門家は福島原発事故の際、応援に来てくれたことも懐かしい思い出となっている。
また、日本に滞在したロシア正教会のニコライさんは、ハンサムであったのか、特に東北地方に信者が多く、その詳細な「ニコライの日記」の原本がモスクワで発見され、日本財団はその日記の出版に協力し、当時のアレクシイ2世は、ミサの中で献本式を行ってくれ、その様子は全ロシアにテレビでの中継を行ってくれた。そんな縁もあり、キリル1世とは1時間10分(通常30分以内)という異例の会談となりました。レーニンは「宗教は麻薬だ」といいましたが、時代も変わり、ロシア正教会はロシア人にとって大きな精神的支えとなっており、その影響力は強大で、プーチン大統領も7歳の時に洗礼を受けています。
私の歴史観は永遠の同盟もなければ永遠の敵対もありません。ロシアによるウクライナ侵略に伴い、日ロ政府間の接触が困難な時期ではあるが、「民間レベル」で教育、文化、芸術を通じた両国の交流を続けることが大切だと思います。以下は記者会見での共同通信の記事です。
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ロシア正教会トップと会談 日本財団の笹川名誉会長
日本財団の笹川陽平名誉会長が21日、モスクワ市内で記者会見し、20日にロシア正教会の最高位キリル総主教と会談したと明らかにした。笹川氏は会談で、宗教の役割は平和の追求であるとし、宗教間対話の強化を訴えた。総主教はウクライナとの宗教間対話に向けて努力していると応じたという。

20日、モスクワで会談した日本財団の笹川陽平名誉会長(右)とロシア正教会のキリル総主教
会談はロシア正教会の総本山である救世主キリスト大寺院で行われた。笹川氏は20日にウォロシン元大統領府長官が理事長を務めるモスクワ経営大学院と北極研究に関する覚書に署名した。22日には、ロシア国内外の有識者が集まる討論フォーラム「ヴァルダイ会議」とも学術交流の協力に関する覚書に調印した。