「ミャンマー大地震支援活動」
―批判に答える―
5月28日付木村元彦氏による記事「メディアがすべきはミャンマーへの『独自外交』の検証」の中に以下の記述がありましたので、説明いたします。
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大地震から6日後の4月3日に笹川氏は日本政府代表としてクーデターの首謀者であるミン・アウン・フラインと笑顔で握手し、地震被災者への300万米ドル相当の食料と救援物資を寄付している。果たしてこの物資の行き先はどうなるのか。2008年にベンガル湾で起きたサイクロン(暴風雨)被害のときも国際社会が、救援を申し入れたが、軍事政権は人道支援よりも権力保持を優先させ、渡った義援金の流れを制限し横流ししたと言われている。今回も国軍政府に送られれば、復旧物資を民主派支配地域には渡さず、軍事関係にのみ使われる可能性は大きい。
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日本財団は、テイン・セイン政権、スー・チー政権より今日に至るまで、食糧を中心に人道支援活動を行っている。2022年1月15に発生したトンガ地震における
日本財団の対応をご覧いただければ、日本財団の人道支援の対応をご理解いただけるものと思います。
ミャンマーにおいては、10年以上にわたり現地に事務所を設置し、ひたすら人道支援活動に取り組んでまいりました。今回の大地震に対する支援については、木村氏の記事にある「300万米ドル」ではなく、実際には日本円で「約5.2億円」の規模で行っています。概要は以下のとおりです。
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2025年ミャンマー大震災被災地支援事業 概要
1.支援対象地域名(場所)
ネピドー連邦領、マンダレー管区、ザガイン管区、シャン州
2.世帯数
合計:32,000 世帯
@ネピドー連邦領:5,000世帯
Aマンダレー管区:10,000世帯
Bザガイン管区:15,000世帯
Cシャン州:2,000世帯
3.規模(金額)
約110億チャット(約5.2億円)
4.支援物資の種類及び数
各地域の 1 世帯あたりの支援物資キットには、以下の 17 品目が同じ数量で含まれています。
*米(1復路12.6s入り):1袋
* 食用油:1 リットル
* ひよこ豆:1 viss
* 洗濯用洗剤(粉末):1 パック
* 生理用ナプキン:3 パック
* 石鹸(固形):4 個
* 女性用下着:5 枚
* 大人用歯ブラシ:3 本
* 子供用歯ブラシ:2 本
* 歯磨き粉:1 個
* タオル(大きめ):1 枚
* 蚊帳:1 張
* 防水シート (4m x 6m、織物プラスチック製):1 枚
* ロープ (30m、直径 10mm):1 本
* 懐中電灯:1 個
* 茣蓙(ゴザ):1 枚
* 包装用袋:1 袋
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私はミャンマー国民和解政府代表として、これまでに150回以上現地を訪れ、主に少数民族武装勢力20グループとミャンマー歴代政権との仲裁に取り組んできました。スー・チー政権下においては、国軍による10か月間の一方的全土停戦や、ラカイン州での国軍とアラカン・アーミー(AA)との一年間の停戦を二度実現しました。しかしながら、この人道支援に基づく停戦は、諸般の事情により現在は破棄されています。
したがって、私は、少数民族武装勢力との仲裁のために国軍司令官とも会談を行う必要があると考えています。しかし、私が尊敬するスウェーデンの名外交官で、かつて国連中東特使を務められたグンナー・ヤリング大使の「沈黙の外交」の姿勢を、ミャンマー国民和解日本政府代表として堅持しており、いずれ時期が参りましたら公表するつもりです。その間の憶測に基づく批判には耐えて参る覚悟であります。