「巨大イカの幼生発見」
―発見から100年、初めて自然の中で泳ぐ姿の撮影に成功―
かつてジュール・ヴェルヌの名作「海底二万マイル」を、胸をときめかせながら読んだことがある。作中には、未知の海洋生物「クラーケン」が登場する。
このクラーケンは当初、巨大なタコとみなされていたが、近代の学者たちは、実在の生物であるダイオウイカがモデルであった可能性が高いと考えていた。「海底二万マイル」が出版されてから、今年で155年を迎える。そして、ダイオウイカと並んでクラーケンの正体と目されていたダイオウホウズキイカが、最初の発見報告から100年目となる今年、深海において生きた姿が初めて映像で記録された。この歴史的な撮影は、シュミット海洋研究所、日本財団、ネクトン財団の共同プロジェクトとして行われたもので、深海生物の解明に向けた大きな一歩といえる。
現在も、全海洋生物の約90%が未だ分類されておらず、日本財団はネクトン財団および世界各地の海洋研究所の協力を得て、この二年間で800種を超える新種とみられる海洋生物を発見した。こうした中、シュミット海洋研究所は3月9日、南極に近い大西洋南部・サウスサンドウィッチ諸島沖の水深600メートルで、ダイオウホウズキイカの子どもの撮影に初めて成功した。このイカは深海に棲む世界最大級の無脊椎動物で、成長すると全長7〜14メートル、体重は最大500キログラムにも達するとされている。
この発見により、我々日本財団も、ジュール・ヴェルヌの「海底二万マイル」の小説ではありませんが、まだまだ未知の巨大生物が海底深くに存在しているのではないかと胸を高鳴らせる毎日です。
調査の詳細は、以下の4月21日付カラパイアの記事をご覧ください。
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深海で初めて生きた個体が撮影されたダイオウホウズキイカの幼生 Schmidt Ocean Institute
「ダイオウホウズキイカ」はダイオウイカと共に、深海に棲む、世界最大級の無脊椎動物だが、これまで生きた個体が自然に泳いでいる姿が記録されたことはなかった。
ところが2025年3月9日、南極近くの大西洋南部、サウスサンドウィッチ諸島付近の水深600mで、シュミット海洋研究所が、このイカが自然に泳ぐ姿を初めて撮影することに成功した。
これはダイオウホウズキイカが発見されてからちょうど100年目の年に達成された快挙だ。
このイカは1925年捕獲されたマッコウクジラの胃の中から発見され、はじめてその存在が知られることになった。
以来、やはり食べられた個体や漁船に釣り上げられたものなど、死体や死にかけなら発見されてきたが、深海を自然に泳ぐ姿が目撃されたことは皆無だった。
ガラスのような繊細さを持つダイオウホウズキイカの生きた姿サメハダホウズキイカ科の
ダイオウホウズキイカは、ダイオウイカ科の
ダイオウイカと並び、世界最大級の無脊椎動物として知られており、ミズダコと並び、どちらも海の伝説の怪物、クラーケンの正体だったのではと考えられている。
成長すると最大7mに達すると推定されているが、14m以上になるダイオウイカに比べれば、ずいぶん短い。ただし体重は最大500kgにも達し、この点ではダイオウイカを大きく上回る。
だが今回シュミット海洋研究所の調査船ファルコー2号に乗った国際チームが目撃したのは、体長30cmほどのまだ子供のダイオウホウズイキイカだ。
水深600mに潜った遠隔操作無人探査機「SuBastian」のカメラが捉えた映像では、まるでガラスのような透明な体をしたダイオウホウズイキイカが静かに漂う様子を観察することができる。

Schmidt Ocean Institute
映像の検証に参加したオークランド工科大学のカット・ボルスタッド博士は、その神秘的な姿に畏敬の念を覚えると
ニュースリリースで伝えている。
自然な環境にいるダイオウホウズイキイカの子供の映像を目にできるなんて、ワクワクします。この子が人間の存在にまったく気づいていないと思うと畏敬の念すら覚えますね(ボルスタッド博士)
その体のガラスのような透明度は成長するにつれて失われると考えられているが、詳しい生態はわかっていない。
それがはじめて発見されたのは、1925年に捕獲されたマッコウクジラの胃の中からだった。それ以降も、クジラや海鳥に食べられた姿か、せいぜい漁船に捕獲された死体としてしか観察されてこなかった。
それが最初の発見から100年目にして、ついに自然界で生きる姿が目撃されたのだ。
映像:
https://youtu.be/lzPoG9H8Hlo