「タバコをめぐる世界の動き」
―広がる規制強化の波―
近年、世界各地でタバコ規制の強化が広がっている。従来の紙巻きタバコのみならず、電子タバコや加熱式タバコも規制の対象となっている。一方で、日本のタバコ規制は依然として緩やかで、国際的な流れから遅れていると言わざるを得ない。以下、世界の動きをご紹介します。
●カナダ タバコ訴訟で和解案タバコの健康リスクを巡る集団訴訟で、日本たばこ産業(JT)、アメリカのフィリップ・モリス・インターナショナル、イギリスのブリティッシュ・アメリカン・タバコの3社が総額約3兆5000億円を支払う和解案が調停委員より提案され、裁判は最終段階に入った。
●マレーシア タバコ製品・喫煙規制法を施行マレーシア保健省は、10月1日付で「公衆衛生のための喫煙製品の規制に関する法(たばこ製品・喫煙規制法)」を施行した。
同法は12月に連邦議会下院で可決。上院での採決および国王の裁可を経て2月に公布されたが、施工が遅れていた。
同法は、たばこ製品の登録、販売、包装、表示、公共の場での喫煙の禁止に関する規則を定めたもの。特に、未成年者へのたばこ製品、喫煙物質、たばこ代替製品の販売、喫煙のためのサービスの提供禁止が盛り込まれている。電子たばこも規制の対象となる。
(2024年9月27日付NNA ASIAより抜粋)
●イギリス 紙巻きタバコ禁止へイギリスの下院は16日、2009年1月1日以降に生まれた人が生涯にわたって紙巻きたばこを買えなくする法案を可決した。
リシ・スーナク首相が主導した「紙たばこ・電子たばこ法案」は、383対67の賛成多数で下院を通過した。首相経験者を含む複数の与党・保守党幹部が反対票を投じた。
施行された場合、イギリスのたばこ規制法は世界で最も厳しい部類のものとなる。
(2024年4月17日付BBC News Japanより抜粋)
●香港 タバコ規制強化、新型は保有も禁止へ香港政府は6日、たばこ規制を一段と強化する方針を発表した。既に販売が禁止されている新型たばこについて、個人使用目的での所持も処罰の対象とすることなどが含まれる。
電子たばこや加熱式たばこなどの新型たばこは2022年に輸入、宣伝、製造、販売、商業目的での所持が禁止されたが、依然として使用者がいることから規制を強化する。販売禁止前に買いだめていた分などが手元にあったとしても、今後は条例違反を問われることになる。
フレーバー付きのたばこも禁止する方向。フルーツなどの風味で刺激を和らげた商品は、青少年や女性が喫煙を習慣化するきっかけになりやすいとの理由だ。
(2024年6月7日付NNA ASIAより抜粋)
●シンガポール 保健省、電子・加熱式タバコ監視を強化シンガポール保健省は、国内で禁止されている電子・加熱式たばこの使用、持ち込みを阻止するための対策を強化すると発表した。
政府は電子・加熱式たばこが健康に有害で若者の喫煙のきっかけになるとして、所持や使用、売買、輸入を禁止している。しかし、ソーシャルメディアやメッセージプラットフォームを通じた違法販売が横行し、問題となっている。
保健省は関連当局と連携し、今後数ヶ月間にわたって入国時の所持品チェックを強化するほか、オンライン上の販売広告に対する監視を強化し、広告を削除する。
入国時のチェックに関しては、電子・加熱式たばこの所持の有無を申告させ、所持を申告した場合は罰金処分なしで没収する。申告しないで持ち込もうとした場合は罰金を科す。
シンガポールで電子・加熱式たばこを所持、使用、購入した場合は最高2,000Sドル(約22万円)の罰金、売買や輸入では初犯で同1万Sドルの罰金、または最長6カ月の禁錮刑、あるいはその両方が科せられる。
(2023年12月21日付NNA ASIAより抜粋)
●ラオス 電子タバコ禁止へラオスのビライ副首相兼治安維持相は、電子たばこを禁止する方針を示した。若年層を中心に、電子たばこの依存性が懸念されることを受けた措置となる。ラオス・タイムズ(電子版)が11月30日伝えた。
ビライ氏は先に開催された国会で、違法薬物についての規制を改正し、電子たばこを禁止対象に指定するとの方針を報告した。治安維持省は、電子たばこは従来のたばこと同程度に害があり、適切な規制を導入しなければ依存者が増加するとの認識を示している。
ラオスでは8月、首都ビエンチャンのミタパブ病院の医師が、電子たばこが原因の呼吸器疾患で死亡した若者の例を挙げ、利用に警鐘を鳴らしていた。
世界保健機関(WHO)は2022年の報告書で、ラオスではたばこに関係する疾病で年間約6,800人が死亡し、経済上の損失は3兆6,000億キープ(約254億円)に上るとの推計を示した。
(2023年12月5日付NNA ASIAより抜粋)
●バングラデシュ 電子タバコの輸入禁止バングラデシュ暫定政府は、電子たばこの輸入禁止を発表した。公衆衛生や青少年への影響を低減するため。ファイナンシャル・エクスプレスなどが8日までに報じた。
「輸入方針規則2021―2024」の禁止項目に追加した。ファイナンシャル・エクスプレスによると、今回の禁止は昨年12月12日に暫定政府の諮問委員会で決定した。
(2025年1月10日付NNA ASIAより抜粋)