「日本財団は敗けないぞ」
―いいとこ取りの国際社会―
近年、海洋問題が急速に国際社会で中心テーマの一つになってきた。日本財団は海洋に関する人材育成を50年前より実施しており、既に156ヶ国1800名以上のササカワ奨学生が世界中で活躍している。
某大国は今年、大々的に持続可能な海洋の為の国際プラットフォームを立ち上げる国際会議を開催する準備を行っているが、それは私が2017年6月ニューヨークで開催された国連海洋会議で問題提起したことであり、某国の開催趣旨は私の問題提起に酷似しており、日本財団の担当者が厳重に注意をしたところ「まったく知らなかった」とのことであった。専門家であれば知らないわけはなく、注意をしなければ自国の手柄として会議を開催し、主導権を取るつもりであったのだろう。
39年前に開始したアフリカの小規模農家支援は「緑の革命」でノーベル平和賞を受賞したノーマン・ボーローグ博士とカーター元大統領、そして亡き父である笹川良一の三人で開始したものであるが、近年この「緑の革命」の言葉を使用してアフリカで活動を開始した団体もあるが、最近は竜頭蛇尾の傾向にあるようです。
かつてハンセン病の治療薬を世界に無料配布するために製薬会社に国際機関が交渉したところ、話は不調に終わった。その為、日本財団は治療薬を5年間5000万ドルで購入、世界中で約500万人の治療に成功し、患者数は激減した。その後この製薬会社は無料で治療薬を提供するようになった。
最近ではロヒンギャ問題でバングラデシュのバサンチャール島への移住に「台風の通過地帯への移住は人権問題だ」と声を大にしていた。この問題で日本財団が支援活動を開始して、その様子をビデオで外国メディアに提供したら様相は一変、批判はなくなり、外国からの現地視察と援助の申し込みが多数寄せられているという。日本政府も5億円の援助を決定しており、これは有難い話で歓迎すべきことです。
日本財団は別に支援活動を独占するつもりは全くなく、逆に先駆けをしたことで多数の団体・組織が参加することは大歓迎ではありますが、冒頭の例のように国際社会は「横取り」する悪習(?)があることも事実で、しっかりとしたエビデンスと広報活動の重要性を実感しており、日本財団は今後、国際広報の充実が最大のテーマの一つになってきました。反省を込めての一文です。