「世界は混乱の時代へ」
―もしトラから確トラへ―
私は政治家でもなければ政治評論家でもない。ただ、ハンセン病制圧活動で世界を飛び回り、各国の大統領、首相、大臣レベルの方々とこれまで延べ2,000名と会談したことはある。ただ、生来の怠け者で会談記録を残してこなかった。
まして、外国の選挙予想などしたこともなかったが、今回のアメリカの選挙には注目している。鈍感な私ではあるが、アメリカ・ファーストのトランプの当選確実とみる。万一予想が外れた場合、丸坊主になって謝罪するつもりで、既に写真のように準備は完了している。
頭を丸めた筆者
ガザをめぐり、イスラエルと中東との関係の悪化、ウクライナに対するアメリカの煮え切らない態度による小出しの軍事援助と北朝鮮の参戦。EUの意見の不一致。BRICSへの参加国の増加とグローバル・サウスの発言力は、既に国連のウクライナ侵攻に対するロシア非難の決議案への反対票の多さでもわかる。
10月16日のブログ「来年のアフリカ開発会議」の専門家会合での挨拶の中で、来年のインドネシアで開催されるバンドン会議70周年では、反植民地運動の強化が宣言される可能性が予想される。また、まとまりの悪いアフリカ諸国だが、根強い反植民地運動、過去の奴隷問題に対する旧宗主国への謝罪と賠償の要求の可能性もあると書いた。
10月25日に南太平洋島嶼国のサモアを訪問された英国のチャールズ国王に国会議員の1人が罵声と共に、植民地支配と奴隷問題に対する賠償を要求した。10月30日付日本経済新聞によると、英国の旧植民地など56ヶ国でつくる英連邦はかつての奴隷貿易をめぐる賠償の協議を始めると報じた。私はこの問題がアフリカで惹起することを懸念して、先般の発言をしたのだが、既に英連邦の太平洋島嶼国やカリブ海諸国で、矢は吹き出していたのである。グローバル・サウスの発言が強化される中で、実に深刻な問題が噴出したものだ。
世界は厳しい分裂の方向に進みはじめた。確トラはアメリカ・ファーストを唱え、世界のリーダーシップを放棄するどころか、日本に対しても「日米安全保障条約に甘えるな、まずは自国の安全保障は自国ファーストでやれ」といいかねないお人柄だ。ロシア、中国と国境を接し、近くに北朝鮮も存在する。にもかかわらず「なんと日本は平和ですね」と外国の知人は嫌味を言う。
政治家諸君。裏金問題も結構ですが、今や世界は激動の時代に突入しています。国家の基本は何か。日本はどうあるべきか。役人の答弁書を読むだけでなく、国民に選ばれた政治家として自分の言葉でリーダーシップを発揮してもらいたいものです。願わくば、悪夢の時代が到来しないことを祈るばかりです。