「地球の温暖化」
―多くの陸地が海面下へ―
今年の夏も気候変動の影響か炎暑が続き、線状降雨帯なる言葉も一般化した。人類は産業革命以来、たった約150年で自然を征服し、何千種類もの動植物、昆虫を絶滅させ、生活向上のための産業化は留まることを知らないほど温暖効果ガスを排出し続けている。このままの状況がこれから200年も続けば、気候変動は勿論のこと、海面上昇で我々人類は決定的なダメージを受けるのではないだろうか。
10月24日、国連環境計画は各国が現在の温暖化対策のままいけば世界の平均気温が今世紀末に産業革命前から最大3度以上上昇するとの報告書を公表した。これが人類の生存にどのような影響を及ぼすか浅学菲才の身には不明だが、いくつかの現象は明らかになってきている。
英米の調査プロジェクトである国際スウェイツ氷河共同研究では、南極の厚さ1キロメートル、幅1200キロメートルのスウェイツ氷河が数世紀以内に崩壊し、大幅な海面上昇を引き起こすとの報告書を発表した。仮にスウェイツ氷河及び西南極氷床の大部分が23世紀までに崩落すると、海面は60センチ以上上昇する。南極の氷床全てが崩壊した場合は、海面上昇は何と、3メートル超に達しかねないと警告する。
北極に面するグリーンランドは、面積約213万800平方キロメートルといわれており、日本の面積の5.73倍の大きな島であるが、そのほとんどは氷床で、氷の厚さは沿岸部で1500メートル、内陸部では3000メートルといわれ、氷床崩壊の場合、海面上昇は7.2メートルになると推測されている。
ネパールの「世界の屋根」ヒマラヤ山脈は、南極、北極に次ぐ膨大な量の氷を貯え「第三の極」と言われているが、昨年ネパールを訪れた国連のグテーレス事務総長は、「ネパールは30年余りで氷河の3分の一近くを失った」と述べた。「氷河崩落で大洪水が発生し、ヒマラヤの美しい雪山は徐々に薄れ、黒い岩に変わりつつある」とは、地元の人の発言である。
温室効果ガスの削減は他人事ではなく、人類の生存をかけた戦いなのです。長い地球誕生の歴史からたった約150年で地球の自然環境に深刻なダメージを与え、最悪の場合、200年以内には海面上昇は南極とグリーンランドだけ見ても3メートルをはるかに超えることになる。太平洋島しょ国の一つキリバス共和国は、最高地で海抜たったの1.4メートル。太平洋島しょ国のほとんどは海面下となり、バングラデシュでは国土の半分は海面下となり、日本はもとより世界的に陸地が減少するだけでなく、気候変動は人類の生存に深刻な打撃を与えることになるだろう。
「たった200年後」が、人類の英知によりこのようなことにならないことを願うのみである。