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【私の毎日】5月27日(月) [2024年05月27日(Mon)]

5月27日(月)

9:00 羽田空港着

10:20 羽田発

16:00 イギリス・ロンドン着(空港待機約3時間半)

20:30 ロンドン発

22:55 スイス・ジュネーブ着

23:40 ホテル着

「日本の将来どうあるべきか」―講演録― [2024年05月27日(Mon)]

「日本の将来どうあるべきか」
―講演録―


B&G財団の「B&G」は”Blue Sea and Green Land”の略称であり、正式にはブルーシー・アンド・グリーンランド財団といいます。B&G財団は今年で創設51年となりました。

当時、財政的にはあまり豊かではなかったが、市町村を中心に子どもの健やかな成長を願って、知育・体育・徳育を学べる体育館や温水プールを含む海洋センターを全国に480ヶ所建設しました。51年を経過した今日も、市長、町長、教育長をはじめ、地域の皆さんの協力で立派に運営されています。

今年1月23日に第16回「B&G全国サミット」が開催され、恥ずかしながら、市長、町長、教育長の皆さん715名の参加者を前に、拙い講演をしました。以下は、最近B&G財団の報告書の中に掲載された講演内容になりますので、ご笑覧願い掲載しました。

********************
特別基調講演
「日本の将来 どうあるべきか」


日本財団会長
笹川 陽平


DSC_3096.JPG
基調講演する筆者



ご紹介を受けました日本財団の笹川と申します。お寒い中、多くの皆さんにB&G財団の会議にご出席を賜りまして、本当にありがとうございます。

思い起こせば、設立以来既に51年という歴史になります。ご承知の方もいらっしゃるかもわかりませんが、当時日本の体育施設というのは、年に1回か2回しか使用しない大競技場を作っていましたが、笹川良一はドイツに行き、当時のオリンピック委員会の専務理事であった方と議論したときに「これからは地方レベルで子どもたちをしっかりと健康に育てていくための施設作りが大切だ」ということを勉強し、それを実行して今日まで51年、皆様方の大変なお力添えをいただき、運営されてきたわけです。

今や世界は国連を始め、あらゆる方面で「継続性」という言葉が流行りになっておりますが、B&G財団の活動こそ先見性のある「継続性」で、しかも内容も年々充実し、時代の流れの中で変化をしながら発展してきたというこのB&Gのグループは、日本の中でも唯一で最大のものではないかと思っております。皆様方のご協力、ご活躍があったからのことで、心から敬意を表するものであります。

夏目漱石の高弟でありました東大の物理学者で文筆家でもありました寺田寅彦さんという方が「災害というものは忘れた頃にやってくる」という名言を吐かれていらっしゃいました。しかし今や気候変動に伴い、災害は忘れた頃ではなく何時どこで起こってもおかしくない時代になってきたわけです。世界の中でも日本は地震のプレートが3枚も入り込んでおりますために常に地震があり、体感するのはそれほどではありませんが、機械で計測しているのを見ますと、大体365日中340日ぐらいは揺れている状況だそうです。その上台風もありますし、昨今は地域的な豪雨も日常的に起こっているわけです。

ご承知のように、阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震、また今回の能登半島地震などの大きなもの以外にも集中豪雨は各地で起こっておりますので、我々日本財団は、約30の専門的なボランティアを各地に配備しております。彼らはボランティアと言いながらも仕事ぶりはプロです。小型重機も持っておりますし、それぞれのグループに300万円ずつお渡ししておりますので、戦国時代ではありませんが、災害が起こればすぐ「一番乗りでどこが駆けつけた」ということです。

私もちょうど正月でしたので、富士山の裾野1100mぐらいにある40年経ったボロ屋で過ごしておりまして、強烈な揺れが来ましたので、これは富士山が爆発したんじゃないかと思って一瞬たじろぎましたが、能登の地震だということでした。

我々の中で一番早く活動を始めたグループは、2日朝には現地に入りました。しかし今回ほど難しい地域はございません。それぞれの地域に孤立した村落がたくさんあり、自衛隊が出動しても大きな重機では道路が閉鎖されて使えない。様々な困難がありますが、我々その辺は慣れておりますし、出動する全員が小型重機の免許を持っております。今回は、小型の車に積み込んだ小型の重機、発電機、そして既に10日近く風呂にも入っておられなかった被災者に温水のシャワーと付属する着替えをする場所を設置したシャワーキット等を車ごとRORO船という船で運び、現地に届けました。断水の中、コロナをはじめ、様々な病気の発生も心配されますので、手洗いを何百回おこなっても浄化して使えるような装置もあり、毎日海上から船でこれらを運び込んでいるわけです。

災害時には常に、日ごとに状況が変化していきますから、その変化に対応したきめ細かいサービスが必要なんです。災害時に老人が寝られないという一番の問題は枕です。ですから今治の有名なバスタオルや素晴らしい枕を届けました。お年寄りは安眠が大変重要なことなのです。

災害はいつ起こってもおかしくない時代の中で、皆さん方の施設におきましても、防災の拠点として活躍していただいているというのは、東日本大震災でもそうでしたし、北海道でも熊本でもそうでしたし、今回の能登でも同じです。本来の皆様方の「青少年の健全育成」というところから、さらに発展してご活躍をいただいているということに心から敬意を表したいと思います。

さて皆さん、現状の日本国をお考えになった時、どのようなイメージを持っていらっしゃるでしょうか?

少子高齢化に代表されるように、これからの日本がどういう方向に進むのかということは、我々の大きな心配事であり、悩みであり、また後ほど説明いたしますが、若い人たちが実に深刻に日本の将来について憂いを持っている、そういう状況です。

私達が子どもの時分の社会科地理の授業では、世界地図の真ん中は日本でした。日本だけが赤く塗られておりまして、潜在的に私達の頭の中には「日本があって世界がある」ような印象を持っておりましたが、今やグローバリゼーションの時代になり「世界があっての日本」なんですね。日本独自では生きていくことは不可能だということは皆さんご高承の通りです。

しからば日本の現在地はどういうところにあるんでしょうか?

有名なイギリスの歴史学者アーノルド・トインビーという方が『歴史の研究』という本をお書きになりました。文明というものは生き物で、誕生し、成長し、成熟し、そして停滞し、いずれ消滅する。これまでに消滅した文明が26、27あるということを読んだことがあります。

しからば、日本は今どういう位置にいるのでしょうか?

昨今の新聞を見ますれば、GDPでは既にドイツに越されている。決してそれだけが国力ではありませんが、あと3年もすれば経済的にインドネシアにも追い越される時代の中、猛烈なスピードで世界が変化をしているわけです。社会構造も私達人間のものの考え方も、あらゆる面でイノベーションが起こっているわけです。はたして世界の社会変革のスピードに私たち日本がついて行っているのか。あるいは同じスピードで走っているのかということを考えてみますと、これは大いに危惧をせざるを得ないのではないでしょうか?

私は決して聖徳太子を批判するわけでもありませんし、大変尊敬する方ですが、十七条憲法の第一条に記されている「和をもって尊し」。日本古来の農耕民族として皆さん方の意見を集約し、その上に立って指導者が物事を進めてきました。戦後から今日まで何年になりましょうか。私が6歳のときに終戦でしたから、1945年から数えれば、多分78年から79年になるでしょう。

しかし、日本では大規模なイノベーションは起こりません。中国を含めて世界中あらゆるところでイノベーションが起こり社会変革が進んでおり、勿論その中には混迷することもたくさんありますが、日本ではイノベーションが起こらないということを私はずっと言い続けてきたわけです。

日本人の長所である「和をもって尊し」とする。農耕民族でしたからこれは仕方のないことではあります。どこの田んぼから刈り入れをやるか、どこの田んぼから順番に田植えをするかというのは、やはり長老を中心にしてみんなで議論し、みんなが納得し、その中から順番を決めるということ。これがまた日本人の持つ素晴らしい社会秩序であることは今も変わりはありません。

しかし、大企業を見てください。大企業におきましても、皆さんから見ればすばらしい人が、いわゆる富士山のようなどこから見ても美しい方が選ばれる方式は、現在のこのスピードの世の中に果たして合っているのでしょうか?

組織のトップに立つ人は、やはり自分の信念に基づいて「将来はこう変わるんだ、変わらなければいけないんだ」という信念と覚悟を持って仕事をするべきであり、そのようなリーダーが今、日本に必要になってきたわけです。グローバリゼーションの中で、私達の「和をもって尊し」とする文化の良いところは残しても、変わらなければいけない。ところがどんな組織においても、そういう先見性のあることを発言すれば「あいつは変わったやつだな。」悪い言葉で言えば、「あいつは変人だ。」となって、意見が通らないわけですね。

しかし今求められている指導者というのは、先頭に立って「私はこういうビジョンを持ってこういう方向に進んでいます。私が失敗したら責任を取って辞めます。」と言える指導者であり、そういうリーダーシップを持った人がいなければ、イノベーションは起こらないのです。

ですから見てください。お隣の中国にしても、どこの国にしても、世界中、私は122カ国も回ってきましたが、残念ながら、日本への評価は年々下がっております。素晴らしい国民性、素晴らしい四季に恵まれた、伝統ある穏やかな民族性というものは、インバウンドで現在来ている多くの観光客を見てもお分かりの通りです。私達は素晴らしい自慢すべきいうものを持ちながらも、宝の持ち腐れなのです。

これは別に政治の世界だけではありません。あらゆる分野で先頭に立つ人は、自信と覚悟が必要なのです。我々の先輩たちも、江戸時代でも明治維新もそうでしょう。責任を取って、場合によっては死を選んだのです。そのような覚悟をしっかり持った指導者が、このグローバリゼーション、イノベーションの時代には必要なのです。

経済界を見てください。どこにそういう人がいますか。二、三日前の新聞を拝見しても、首相官邸に経団連の会長と労働組合の会長が呼ばれて「来年の賃上げについて協力してくれ」と言われているんですよ。恥ずかしくないですか。賃金を決めるのは経団連のトップと連合の会長がサシでやる話です。自らの責任を放棄して、飄々として官邸に行って、総理から今年の春闘について要望を聞いて帰ってくる。これがリーダーと言えますか?これが自然の流れだと思い、不思議とも何とも思わない世の中になっているっていうことは大変恐ろしいことですね。

ハンチントンが書いた『文明の衝突』という本をお読みいただければわかるように、世界の8大文明の一つとして、日本は独自の文明として発達したということが書かれ、学問的にも位置づけられています。当初は中国の影響を受けてきた日本ではありますが、その後、日本独自の文化として発達し、日本語を作った。そして、ひらがな・カタカナも作った。今中国で使われている近代用語は全て日本語でございます。中国語ではありません。「中華人民共和国」という名前は、「中華」以外、「人民」も「共和国」も全部日本語でございます。何故そのようなことになったのか。

明治以来、日本の学者の中には、共産主義、社会主義に興味を持った多くの方がいらっしゃいますし、外国の文献を翻訳するために四苦八苦して言葉を作ってきたのです。慶應大学を作った福沢諭吉先生もそうですし、東京学士院学長だった西周さんもそうですし、全部言葉を作ってきたんですよ。ですから、資本主義も共産主義も社会主義も、労働者の賃金も、芸術も文化も哲学も全部、中国で今使われている言葉、時間だとか質量だとか、物理の世界に至るまで全部日本語です。したがいましてハンチントンは、世界8大文明の一つが、こういう小さな島国の中に出来上がったことに敬意を示しているわけです。

長い伝統の中に、四季がちゃんとほぼ四つに区別されながら、美しい自然とともに生きてきたというのは日本人だけです。産業革命以来、100年、150年、西洋社会はどのようにして自然を征服するかということで、今日の地球の混乱を招いてきたわけです。しかしながら日本はどうでしょうか?「自然とともに生きる」という言葉は日本だけの言葉です。ましてや、おそらく皆様方のお住まいの近所にもたくさんいらっしゃるでしょう。山の中に入っても3分の1を取って、3分の1は野生の動物のために、3分の1は次の収穫のためにとっておくという「3分の1方式」というのも、日本人が身につけた自然とともに生きていく術。このような日本の国を見本にしていれば、今の地球の温暖化問題だとか気候変動だとかということは起こらないで済んだと思っています。

世界は「自然を征服するのが人間だ」と。そういう生き方の中で、今こそ日本のこの良さというものを世界に発信していかなきゃならないにも関わらず、残念ながらそういう人物が現れてこないということは非常に残念なことです。

皆さんご承知の通り、新渡戸稲造という方がいらっしゃいました。『武士道』という本を英語で書きました。そしてアメリカの大統領はこれを読んで感激して100冊も買ってですね、「新渡戸稲造の『武士道』という本を読め」と言いました。そして彼がスイスにできた国際連盟の次長のとき、「人種差別こそ最大の人権問題だ」ということを世界で初めて国際連盟で発言して賛否を求めたところ、賛否同数になり、議長であったアメリカの大統領によって否決されてしまった。今ヨーロッパの人々が人権問題を声高に唱えていますが、「今更何だ」と思います。最初に言ったのは日本人ですよ。そういう国際的に活躍してきた日本人は枚挙にいとまがないことは皆さんご高承の通りです。しかしながら、今の若い人たちは、後で話しますが、そういう可能性を失いつつあるのが現状です。

しかしここで一つだけ、ひょっとしたらひょっとすることが起こりそうなんです。それは皆さんが「笹川さん変なことを言うな」って思うかもわかりませんが、アメリカでトランプさんが大統領になる可能性が非常に高くなってきた。フロリダの知事・デサンティスが撤退しました。トランプは四つの刑事事件で起訴されているんですよ。国会議事堂に乱入させた張本人はトランプですよ。その人が大統領になったら、大統領特権で自分のそういう罪は全部免責にするんです。そういうお方がアメリカに多分、誕生するでしょう。

日本はその時どうしましょうか?「アメリカは世界一の武器大国になる。しかしそれは自国のために使うんだ。それぞれの国はそれぞれが、自分の国は自分で守るのが当たり前だろう。」こういうことを言っているんです。アフガニスタンでタリバンを制圧するために20年間、200兆円のお金を使い、1750人のアメリカの若い青年が戦死し、数千億円の近代的な武器をそのまま放置して逃げ出したのはアメリカですよ。

ウクライナ戦争はどうでしょう。まだ次の追加の武器も出せません。もちろん兵士など1人も死なせるわけにはいきません。そういう中で、私たち日本人は戦後80年近く、日米安全保障条約に守られていると皆さん思っているんですよ。アメリカはもう血を流しませんよ。どうするんです。沖縄を含めて、あらゆるところにアメリカ軍の基地があります。こんなにたくさんの米軍基地がある国なんて世界にないのです。しかもそのために、皆さん飛行機で来られたと思いますが、羽田に到着する航空路すらアメリカ軍に抑えられていて遠回りしなきゃいけない。経済的にもいくら損しているかはわかりません。国賓というのは相手国の飛行場に飛行機の車輪がついたときから国賓なんです。アメリカ大統領が日本に国賓で来るのにどこに降りるんですか。横田でしょう。米軍基地ですよ。G7が広島で行われました。どこに降りたんですか。岩国の米軍基地ですよ。気がついてもらえないのですが、そういう意味で日本は植民地ですよ。横須賀にはインディペンデントという軍艦が常に止まっています。独立っていう意味ですよね。象徴的なことが行われているけれども、私達は何となく戦後、平和な時代を過ごしてまいりました。

世界で最も地理的に危険だと言われているのは、実は日本なんですよ。もちろん台湾問題もありますが、北朝鮮があり、中国があり、ロシアと国境を接してますよね。世界の有識者はよくわかっていますが私達は誰も気づいてない。にも関わらず、日本人は優しい性格でのんびりしてる。万一トランプが「自分の国は自分で守れ」と言い出したらどうするのでしょうか?

この伝統ある日本の国、世界の8大文明と言われる日本国が、これからの激動にどのようにして対処していくかということを考えたとき、アーノルド・トインビーの『歴史の研究』で言えば、日本はまさしく成長期はもう終わっていますよね。これは停滞期なのか、日本国の衰退の始まりなのか、私は岐路に立っていると思いますし、私達はここで次の世代の人たちのために、この素晴らしい世界に冠たる8大文明の一つである日本という国を次の世代子々孫々に残していく必要があるんです。

少しデータを皆さんにお見せしましょう。日本財団は毎月「18歳の意識調査」をあらゆる角度からやっておりますが、これは各地の新聞のコラムなどで、たくさんお使いいただいております。

「日本国の将来、自分の国の将来をどう思うか」を中国、インド、イギリス、アメリカ、韓国、日本で調査しました。「自分の国の将来について、良くなるかならないか」という問いに対する答えです。中国は95%以上の人が「自分の国は将来良くなる」と思っています。韓国でも33%の人が「将来韓国は良くなる」と。本当は日本よりもっとひどい状況なんですけどね。ところが日本の18歳で「日本の将来は良くなる」と考えているのはたった13%です。自分の国に対してプライドもないし、いかに将来良くしようという意欲もここには感じられません。これは18歳の子供たちの責任ではありません。私達の世代の責任なのです。

そして、これから10年後の自国の世界に対する競争力、主に経済的なことですね。それについて中国、インド、韓国、イギリス、アメリカ、日本の18歳の意識を比べた時、中国、インドが52%と31%です。あれだけ成熟したアメリカでも7.6%が10年後もまだ競争力があると考えている。日本は何と1.4%です。

18歳の未来を背負う日本人が、日本の将来にこれほど悲観的な見方をしているのです。10年後の我が国の国際競争力や如何という質問でも、インドは50%、日本はたったの2.6%、桁が違うんです。中国やインドの途上国、イギリスやアメリカに比べても日本はたった2.6%ですよ。

「国際社会で日本はリーダーシップを取れるか。国際社会での日本の優れたリーダーがいるか」という質問に対しても、日本は最低です。残念ながらアメリカ、イギリス、中国、韓国に比べて「国際社会で活躍できる日本の人材はほとんどいない」というのが18歳の皆さんの見方です。「自分の将来について、目標を持っているかどうか。」これも6カ国の中で最低ですが、約60%の人はある程度目標も持っているといいます。他の国々はアメリカもイギリスも中国も韓国も80%以上です。

そして肝心なことは、18歳で選挙権を与えました。なぜ成人式を18歳でやらないんでしょうか?18歳で選挙権を与えて、20歳で成人式とはおかしなことですね。どうでしょうか?18歳は大人かどうか。どう思われますか。アメリカ人で「18歳は大人だ」というのが86%、イギリスも86%、中国は71%が「18歳で大人だ」と言っております。韓国でも47%、日本は「18歳で大人だ」と思う人はたった27%です。

子供に選挙権を与えているんですよ、日本は。大人だと思っていないという人に選挙権を与えているんですよ。そして「若い人が選挙に来ない」って言っているんですよ。だって「自分たちは子供だ」と思っているから選挙に行きませんよ、というと極論になるかもわかりませんが、このような日本の次を背負う子供たちに、一体私達はどうしたらいいのか。大きな責任があるわけです。

そのためにはやはり今日お集まりの皆さんのように、それぞれの日本の地域社会の中において責任を持って仕事をされている方々が、自信と覚悟を持って、それぞれの地域で今申し上げたような課題に基づいて仕事をしていただくという思いが、私は次の世代の子供たちには自信と勇気を与えると思うんです。これは東京ではありません。首相官邸でもありません。霞が関の役人でもありません。国民の苦しみや悩みや将来に対する不安に最も接触しているのが皆さん方なんです。どうぞ皆さん方こそ自信と勇気を持ってください。「このままでは日本は駄目だ。俺1人が声を上げたって駄目だよな」と決して思わないでください。かつて陽明学というものが日本では盛んでございました。「知行合一」という言葉がありましたね。知識を持った人は行動しなきゃいけない。今は知識を持った人は口と舌だけで金儲けをしている人ばかりです。そういう人を「口舌の徒」と言うのです。皆さん方はそうではありませんよね。本当に住民に密着したところで日々苦労して、どうしたらいいんだろうと常に悩んでいらっしゃる。よくわかります。問題意識を持っていらっしゃる皆さん方がこれを解決する最も重要なポジションにいらっしゃるわけですので、どうぞ自信と勇気をもって対処していただきたいと思います。

日本財団も「このままではダメだ」と考えます。人生生きていく上で「国語も算数も理科も社会も、音楽も図工も体操も何でも全部できなかったら優秀ではない」と言われるような日本のこの偏差値教育が、このイノベーションの時代に最も弊害のある教育方法なんです。今日は教育長の皆さんもたくさんお見えになっていらっしゃると思います。日本財団はこれからZEN大学という大学を通信教育で始めます。今、国立大学に入る優秀と言われる人たちは、ほとんど経済的に恵まれた家庭のお子さんです。小学校、中学校から塾に通い、そこで勉強して一番授業料の安い国立大学に入る。そして地方でご両親がご苦労なさっている方々が、経済的に豊かでないにも関わらず、授業料の高い私立の大学に入る。こういう逆転現象が出ている中で、偏差値教育ではあれもこれも取り組む。

時代は変わっています。スマホの時代になりました。あらゆる情報が自宅で得られるようになりましたし、日本は資源も何もないのですから、日本財団は、これからは人材を養成する以外にないと考えます。「20年30年かかっても、新しい日本をつくる世界のリーダーを作ろう」ということで、ZEN大学という大学を文科省に申請しました。それぞれの地域で、自宅でしっかり勉強できます。しかも授業料は国立大学より安い38万円ですから、ほとんど東京の学校に来る10分の1以下で勉強ができるわけです。そして、好きなことだけを学んでいただく。「好きこそものの上手なれ」って昔からあるにもかかわらず、嫌いな音楽や図工までやらなくちゃいけないのでしょうか?好きな道で行かせてあげてほしいんです。嫌な勉強をさせるから学校に行きたくなくなるんです。それは単に自宅で勉強するだけではなく、通信教育ならば何回でもわからないところは再生して勉強ができます。ただそれだけでは人間ができませんから、それぞれの地域の、あるいはB&Gの施設も使わせていただくかもわかりません。スマホの時代はそれぞれが孤立化してきておりますので、ときには実践活動でB&Gの施設などを使わせていただき、友人関係もきちっと作っていただく。私は、偏差値教育に対抗する新しい手法を、これからの最後のお勤めだと思っております。

日本は資源がありません。人材を養成するということが最大の重要事項ではないかと思っております。文科省から許可が出ましたら、皆様方と相協力しながら、子供たちが滅入っているこの状況から明るい日本へ、「あなたたちこそこれからの日本を明るく豊かにする。世界から尊敬される国に変わるために努力してください」ということを、皆さん方とともにやっていきたいと願っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

「毎週の海外出張」―今回は10日間― [2024年05月27日(Mon)]

「毎週の海外出張」
―今回は10日間―


5月8〜13日のマレーシア・タイ出張、5月18〜21日の台湾出張、今朝から10日間の4ヶ国訪問です。

29日午前中まではジュネーブで、ジュネーブ高等国際問題研究所を訪問し、笹川ヤングリーダー奨学基金の活動状況について意見交換を行うほか、WHOでの各国保健大臣とハンセン病制圧活動についての意見交換。29日午後の便でスウェーデンに移動。30日にスカンジナビア・ニッポン ササカワ財団の理事長と朝食。その後ステファン・ロベーン元首相とストックホルム国際平和研究所で会談、午後はスウェーデンの名門大学であるウプサラ大学にて笹川ヤングリーダー奨学基金の現状について意見交換ほか、ハマーショルド財団を訪問し、夕方の便でジュネーブへ。31日WHO総会場で第40回の笹川健康賞授与式。引続き各国保健大臣と面談の上、午後の便でドバイ経由フィリピンへ。6月1日夕刻マニラ到着後、フィリピン海事産業庁50周年記念式典参加。翌2日午前中、沿岸警備隊の儀仗礼を受ける。午後の便でバンコク経由バングラデシュへ。4日、ハシナ首相、サマンタ・ラル・セン保健大臣とバングラデシュでのハンセン病制圧活動について協議。5日朝帰国予定です。
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