• もっと見る
« 2023年05月 | Main | 2023年07月»
leprosy.jp
resize.png日本財団はハンセン病の差別撤廃を訴える応援メッセージサイト「THINK NOW ハンセン病」を開設。皆様からのメッセージを随時募集・配信しています。
Google
<< 2023年06月 >>
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
プロフィール

笹川 陽平さんの画像
笹川 陽平
プロフィール
ブログ
カテゴリアーカイブ
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
リンク集
https://blog.canpan.info/sasakawa/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/sasakawa/index2_0.xml

【私の毎日】6月9日(金) [2023年06月09日(Fri)]

6月9日(金)

9:30 コロナワクチン接種

10:30 財団着

11:00 ルイージ・シナピ 国際水路機構(IHO)事務局人材育成事業(GEOMAC)担当部長

23.06.09 国際水路機関事務局 ルイージ・シナピ部長.JPG
ルイージ・シナピ 国際水路機構事務局・人材育成事業担当部長


13:00 山脇 康 日本財団パラスポーツサポートセンター会長

14:00〜17:00 笹川平和財団 

終日 原稿書き、寄付金への礼状書き

「Don’t Forget Leprosy」―らい菌発見150周年ウェビナー会議― [2023年06月09日(Fri)]

「Don’t Forget Leprosy」
―らい菌発見150周年ウェビナー会議―


ノルウェーのハンセン博士が「らい菌」を発見してから今年は150年目の節目の年で、6月21日、22日には博士の出身地・ノルウェーのベルゲン市で大規模な国際会議を行います。

今回はこの会議に参加できない方々を中心に、6月7日、第1回目のウェビナー会議を実施しました。

会議の中での私の発言は以下の通りです。

*****************

(各回復者団体からの発表の後)

E291A6E38392E3829AE383B3E38388E383BBE38386E38299E383BBE382BDE383BCE382B5E4BF9DE581A5E5A4A7E887A3.jfif
「ハンセン病を忘れないで」のTシャツを着て


笹川制圧大使:
 ウェビナーに参加している皆さんこんにちは、こんばんは、おはようございます。
 今年はハンセン博士がハンセン病の原因となるらい菌を発見して150年という節目の年ですので、この機会に「Don’t Forget Leprosy」ということで、本日は医療面からのウェビナーを開催しています。今、皆さんの素晴らしいご発言を聞かせていただきました。世界中でコロナの影響があり3年以上現場での活動が出来ませんでしたが、ようやく収束してきましたので、また現場での活動を活発化したいと考えています。
 先般はWHO総会に臨み、各地域の責任者、各国の保健大臣、またWHOのテドロス事務局長や人権問題の専門家であるターク国連人権高等弁務官にお会いし「Don’t Forget Leprosy」の話をしました。私自身世界中を回って、150年前にハンセン博士が発見したらい菌をこの地球上からゼロにしたいというWHOが目指す目標に向って、皆さんと共に活動していきたいと心から願っています。
 そして6月21、22日と、ハンセン博士がらい菌を発見されたノルウェーのベルゲンでハンセン病国際会議を開催する予定です。私は以前、ハンセン博士が研究されていた机やその上に置かれていた顕微鏡を覗く機会がありました。非常に困難な中でらい菌を発見して頂いたのだと感じています。先ほどお医者様から素晴らしい話があったので私の話が間違っているかもしれませんが、発見されてから70年、或いはそれ以上、らい菌に効く薬は存在しなかったのではないかと思います。効くだろうということで大風子油という熱帯地方の木になる実から精製した油を注射していましたが、今から見るとあまり効果がなかったのではないかと思います。世界の医学者が懸命に努力し、75〜80年前にダプソン或いはプロミンという薬がアメリカで開発されました。
 御高承の通り、アメリカには2つの療養所があります。1つはルイジアナ州のカービル、もう1つはハワイのカラウパパです。当時はアメリカにおいてもハンセン病に罹患すると名前を失い、番号で呼ばれ、この2つの療養所に収容されるというものでした。また、選挙権すら与えられないという厳しい差別も受けてきました。ダプソンの出現でようやくハンセン病は治る病気への一歩を踏み出し、1982年になってMDTという多剤併用療法が特効薬となり今日に至っています。
 長い間、恐らく人類が地球に出現して以来、ハンセン病は神罰、先祖が悪いことをした報いと言われてきました。しかしこれは大きな間違いで、単なる非常に弱い感染症であることをハンセン博士が発見したのです。150年と言いますが、その半分はらい菌は発見されたものの治療薬はありませんでした。治療薬が発見されるにはその後75年近くの時間がかかりました。そして今やMDTの無料配布により世界中で早期発見・早期治療をすれば、何の障害もなく治るという素晴らしい時代になりました。
 しかし残念ながら世界は広く、そうした事実を知らない人もいますし、まだまだ長い間の偏見や差別によりなかなか自分がハンセン病に罹ったことを人に言えず隠れて生活して病気が悪化するというケースが世界中に見られるのは残念であると同時に、私の活動が不十分と痛感しています。150年を機会に、またコロナの収束を機会に、関係者、ウェビナー参加の皆さんと力を合わせて、ハンセン病という病気を地球上から一掃しようではありませんか。ハンセン博士がらい菌を発見した150年を機に新たな挑戦をしていきたいと思います。私はその先頭にたって皆さんと働きたいと思っています。

(パネルディスカッションQ&Aに移行)

ナディラ氏(インドネシア):
 らい反応や障害が残ることもあります。MDT治療後の対策には何が出来ますか。

笹川制圧大使:
 インドネシアに1年に6回訪問し、国中を回って病気を治したかったのですが、コロナで訪問することが出来ませんでした。しかしこれから行きますので待っていてください。インドネシアではテレビやラジオに出演し、一般の方にハンセン病はどのような病気なのか、そして早期発見・早期治療で治る病気であると話してきました。インドネシア中の人にハンセン病は怖い病気ではないと伝えたいと思いますし、ナディアにも協力いただきたいと思います。
 質問に関しましてはご承知の通り、この病気は手や足の末端神経が侵される病気です。体にパッチが出来た時に薬を飲めば治りますが、治療が遅れてしまうと手や足などに異常が出て潰瘍がでることがあります。しかし潰瘍はハンセン病によって発生するのではなく、らい菌により神経が侵され感覚がなくなり、例えば裸足で生活をしていることで傷が出来ても気付かず、傷口が広がり、結果潰瘍になります。エチオピアにも行ったことがありますが、手や足に潰瘍が出来た時には、自分の足の裏は見えにくいので、手当をして清潔にするために、互いに洗い合うなどセルフケアをするところが多いです。とにかく傷口を綺麗にしておけば、それ以上進行することはありません。やはり基本はセルフケアです。
 質問の中にあったようにMDTを服用し、中には副作用が起こる方がいます。熱が出たり体の異常が出たりすることがありますが、これは専門の病院に行っていただかないと手当の方法がありません。もし近くに病院がないようであれば、是非ともそうした患者が出る前に、どこにハンセン病をよく見てくれる病院があるかを調べておいていただくことが大変大事なことだと思います。ハンセン病に罹ったことを恥ずかしいと思う方もいるかもしれませんが、勇気をもって病院に行っていただきたいと思います。HIV/AIDSや結核と違って命を取られるものではありませんので、出来る限り早めに病院を見つけていくことが大切ですね。今度インドネシアで会いましょうね。

ラメッシュ氏(ネパール):
 ネパールではハンセン病が蔓延している地域があるほか、国境を跨いで患者がネパールに来ることもあります。ハンセン病に国境はなく、ハンセン病の解決に向けてどのようにしていけばよいでしょうか。

笹川制圧大使:
 私はネパールを度々訪問したものの、貴国では内戦が続き、ハンセン病の患者の皆さんのところに行けませんでした。インドと国境を接しているタライ地方も度々訪問しました。その折、ネパールでは病院にインドからの患者が沢山来ているのを拝見しました。ネパールの病院の方が国境を越えてきた方に非常に親切に接していらっしゃったのが印象的でした。彼らが「同じ悩みを持った人を助けるのは崇高な活動であり、また使命である」とおっしゃっていたことに感動しました。
 国境問題について、インドとネパールの国境というと弊に囲まれているように思いがちですが、実態は畑と畑で繋がっていて、国境には石があるだけで自由に出入り出来ます。インドとネパールの保健省の間において、こうした患者にどう対応するか政府間で話し合って欲しいとお願いしましたし、制圧を達成するまでは活発に議論が行われていたと承知しています。幸いにも両国が制圧に成功したことからこうした会合も減っています。しかし、インドから越境してくる患者はネパールの病院は素晴らしいと理解しており、また、ネパールの病院関係者が人道的対応で国境を越えてきた人に対してネパールの国民と同じように親切な治療を提供しているのを見て感激しました。状況が許す限りインドからの患者についても今まで通り診察・治療をしていただければ有難く、またネパールの病院関係者の人道的立場に立った活動を高く評価しています。

ラメッシュ氏:
 引続きハンセン病を無くすために活動し、治療に専念していきたいと思います。16の地域でハンセン病の罹患率が高いので、政府からの支援をもとに草の根からハンセン病を無くすことに貢献していきたいと思います。ハンセン病に国境はないと考えており、インドからの患者にも十分な支援をして参りたいと思います。ネパールにも笹川制圧大使には是非またお越しいただけることを期待しております。

笹川制圧大使:
 先般のWHO総会において、ネパールの保健大臣ともお話しする機会があり、患者がゼロになるように強力な活動をお願いしたいと伝えてきました。お招きいただき感謝すると同時に、またネパールに行きたいと思います。逸話として、タライ地区に行ったときホテルに泊まっていましたが、病院訪問の折にホテルに迎えに来てくれたのは車ではなく、なんと象でした。ネパールでは、象に乗って病院を訪問した楽しい経験があります。

ムウェンドワ氏(タンザニア):
 アフリカ地域はハンセン病の有病率が高く、まだ発見されていない隠れたケースも多い状況です。回復者団体はどのような貢献ができますでしょうか。

笹川制圧大使:
 貴国を何度も訪問し、大統領に直接ゼロにする活動を強化して欲しいとお願いしてきました。そしてハンセン病をゼロにするためには、これからは回復者の皆さんが主役になって欲しいと世界中でお願いしています。一番ハンセン病について経験があり、そして回復した皆さんがこれから新たな患者に障害を発現させないために、早期発見・早期治療をしなければなりません。つらい経験をしてきた皆さんが協力をして下さることが最も大切だということで、笹川保健財団は世界中で回復者の皆さんの組織づくりに懸命に努力しています。皆さんが「ハンセン病は単なる病気だ」「神罰でもなければ、偏見や差別をすることは誤りである」とはっきり主張し、また「かつて罹患したことがある」と自信を持って社会に発言し、新しい患者が出ないよう努力する回復者の団体を作って欲しいですし、笹川保健財団はムウェンドワさんのような回復者の組織を支援していきたいと考えています。皆さんが活躍して「この病気は怖いものではなくすぐ治る」「白いパッチが出てきたらハンセン病の可能性が有ると疑い病院に行って欲しい」と、経験に基づいてお話していただくこと自体が人を助ける重要で意義ある活動になります。自信を持って発言と行動をお願いしたいですし、隠れた患者についてもムウェンドワさんや回復者団体の人が「早期発見・早期治療で完治し、薬は無料である」と言ってくださることは、医師や保健省が言うよりも説得力があると思います。一人でも多くの隠れた患者を見つけていただき、早期発見・早期治療で回復してもらうよう協力をお願いします。我々も皆さんの活動を支援していきます。

ムウェンドワ氏:
 助言を全うしていきたいと思います。先般、障害予防委員会を立ち上げました。まだまだ活動は始まったばかりですが、今後活発にしていきたいと思います。

笹川制圧大使:
 コロナも収束し、ハンセン博士がらい菌を発見して150年という記念すべき年を一つの好機として、世界からハンセン病がゼロになるようお互いに協力をして参りましょう。
| 次へ