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【私の毎日】6月5日(月) [2023年06月05日(Mon)]

6月5日(月)

6:43 財団着

9:00 オックスフォード大学 Professor David Gann副総長

10:00 子どもサポート事業打合せ

11:00 冨永重厚 笹川日仏財団理事長

12:40 喜多悦子 笹川保健財団会長

15:00 日下公人 日本財団特別顧問

産経新聞【正論】少子化の厳しい現実を共有せよ [2023年06月05日(Mon)]

一少子化の厳しい現実を共有せよ―

産経新聞【正論】
2023年5月30日

 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が4月に発表した日本の将来推計人口によると、約半世紀後の令和52年のわが国の人口は、現在に比べ約3割少ない8700万人。うち10%超の約940万人を外国人が占め、日本人は7760万人。昨年、想定より11年も早く80万人を割った日本人の出生数も45万人にまで落ち込むという。

 ≪生産年齢人口が7%も減少≫
 50年も先の話で不確定要素が多いが、少子化による人口減少はわが国が初めて経験する事態。しかも65歳以上の高齢者人口が38%と令和2年比で10%増える一方、15〜64歳の生産年齢人口は59%から52%に減り、人口構成も大きく変化する。

 生産年齢人口の落ち込みは国力の低下を招く。まずは、そうした厳しい現実を国民全体で共有した上で、「政」が目指すべき国の将来像を語り、「官」がその具体策をまとめ、「民」が協力する好循環、政官民の挙国一致体制を確立することが必要となる。

 とりわけ政治の役割は大きい。有権者の耳に優しい公約を競い合う現状をそのままに国民の理解と協力を得るのは難しい。まずは政治が決意と覚悟を新たにして議論を興し、将来を切り開く本来の役割を果たすよう求めたい。

 国力が低下する一番の原因は、国の将来を支える子供数の減少、すなわち少子化だ。政府は現在、1人の女性が生涯に産む子供数を示す合計特殊出生率を1.8(希望出生率)に設定している。人口が静止状態となる置き換え水準(2.6前後)より低く、人口減少は避けられないが、穏やかな人口減少を実現し、年金や医療など基幹システムを取り巻く環境の急変を避けるのが狙いだ。しかし、1.30前後で推移するここ数年の出生率や、昨年は0.78にまで低下した韓国など各国の動向を見ると希望出生率の実現は極めて難しい。

 となると人口構成の急激な変化は避けられず、制度の健全な維持も困難となる。例えば年金制度。わが国は現役世代が支払った保険料を高齢者の年金給付に当てる賦課方式を採用しており、保険料を積み立て将来受け取る方式と違って、少子化で現役世代の数が急減すれば制度の大幅な見直しは避けられない。

 ≪先行きが見えない不安≫
 少子化の原因は、女性の社会進出の増加に伴う人生観・価値観の変化や所得格差の拡大、ウクライナ戦争など激動期を迎えた国際情勢、温暖化に伴い年々、激甚化する自然災害などさまざまだが、何よりも大きいのは、少子化の先にどのような社会が待っているのか、先行きが見えない不安だ。

 日本財団が3月、全国の18〜69歳の女性1万人を対象に、何の制約もなかった場合の理想の子供数を聞いたところ、40%が2人、25%が3人と答える一方で、21%は「子供は持ちたくない」と回答した。子供の将来を考える上で不安を感じる事項として「財政悪化による医療・年金など国の基幹システムの崩壊」を指摘する声も42%に上っている。

 これに先立ち昨年末に全国の17〜19歳1000人を対象に行った調査では、44%が「将来、結婚したい」と答えながら、「必ず結婚すると思う」は17%、同様に36%が「将来、子供を持ちたい」としながら「必ず持つと思う」は12%に留(とど)まった。両調査結果からも、女性や若者が将来に強い不安を持っている現実が読み取れる。

 少子化の加速要因となっている平均初婚年齢は令和2年、男性が31.0歳、女性29.4歳。50歳になった時点で一度も結婚したことがない人の割合を示す生涯未婚率は男性が28%、女性が17%(令和4年の内閣府調査)。年々上昇する数字にも不安が反映されている。

 これに対し岸田内閣は「異次元の少子化対策」を掲げ、児童手当など経済的支援の強化、働き方改革の推進などの対策を取っている。国債や借入金などを合わせた“国の借金”が3月末で過去最大の1270兆円に達する中、全体で10兆円規模とされる財源をどう工面するか。

 「こども未来戦略会議」を中心に議論し、6月末にも財源確保策を示す段取りというが、岸田文雄首相は消費税増税を行わない方針を示しており、どのような結論になるか見えない。

 ≪国際社会も日本に注目≫
 次代を担う子供への投資は社会の将来に対する投資でもある。少子化と高齢化が同時に進むわが国は、国力が急速に低下する下り坂に立たされている。厳しい現実が国民に広く共有されて初めて国民を交えた幅広い財源議論が可能になる。それが国づくりの基本であり、挙国一致体制にもつながる。

 少子高齢化の先端を行くわが国の取り組みに国際社会も注目している。一人でも多くの政治家が与野党の枠を超え、国の将来に向け積極的に発言されるよう願ってやまない。それが、この国が直面する厳しい現実を、国全体で共有する道につながる。
(ささかわ ようへい)


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