「バチカンは国家か?」
―立派な国家です―
バチカンとは、「教皇聖座(Holy See)」と「バチカン市国(Vatican City State)」の総称。「教皇聖座」とは、カトリック教徒の総本山、また「教皇の国」を意味し、宗教機関でありながら国としての側面を持つ。(国連を含めた多くの国際機関に「教皇聖座」又は「バチカン市国」として加盟又はオブザーバー参加している)。
一方、「バチカン市国」とは、「教皇聖座」に居所を提供している領域としての国家を指す。
「教皇聖座」とは、ローマ教皇及びローマ教皇庁(政府に相当)を総称した概念で、約13億人とも言われる信者を擁するカトリック教会の最高機関であり、国家としての側面も持つ。元首は、ローマ教皇フランシスコ(第266代、2013年3月13日就任、アルゼンチン出身)で、首相はピエトロ・パロリン国務長官、外相はポール・リチャード・ギャラガー外務長官である。
議会は絶対君主制のため無い。ただし、議会に準じる司教会議(シノドス)において、世界各地の上位聖職者がカトリック教会の指針について協議している。通常1〜4年に1度開催。また特定のテーマに関する特別司教会議が開催されることもある。
政府は、教皇の公務執行中央機関であるローマ教皇庁(Curia Romana)が相当する。その最高機関は国務省で、内務省に相当する総務庁、外務省に相当する外務庁及び大使人事等を扱う在外公館担当庁等が設置されている。
「バチカン市国」は人口615人で、面積は日本の皇居の約三分の一の国である。元首はローマ教皇で、教皇に立法権、行政権及び司法権が属しているが、それぞれ立法権は教皇の名のもとにバチカン市国教皇委員会が、行政権は教皇の名のもとにバチカン市国教皇委員会委員長が行政長官とし、司法権は教皇の名のもとにバチカン市国の司法制度に設立された諸機関が行使している。
日本との関係でいえば、フランシスコ教皇は過去に2回訪日されたことがあり、教皇になってからは2019年に訪日されている。また、2022年は日本・バチカン・国交樹立80周年にあたる年でもあった。
日本におけるカトリック信者数は約43.5万人(司教27名、その内枢機卿1名、大司教2名)となっている。