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【私の毎日】5月9日(月) [2022年05月09日(Mon)]

5月9日(月)

6:44 財団着

終日 原稿書き、寄付金への礼状書き、事業打合せ

「みらい志向の福祉施設建設」―400件の公募から6件入賞― [2022年05月09日(Mon)]

「みらい志向の福祉施設建設」
―400件の公募から6件入賞―


下記の6件が400件の公募の中から選ばれました。
今年の助成金は5億円となります。

【団体名】 特定非営利活動法人かしわのもり
【設計者名】株式会社トコト一級建築士 事務所
【整備場所】北海道河東郡鹿追町
【助成金額】290,310,000 円

【団体名】 社会福祉法人丹緑会
【設計者名】合同会社わくわくデザイン
【整備場所】栃木県小山市
【助成金額】300,000,000 円

【団体名】 一般社団法人 Burano
【設計者名】NIDO 一級建築士事務所
【整備場所】栃木県小山市
【助成金額】222,390,000 円

【団体名】 社会福祉法人聖救主福祉会
【設計者名】JAMZA 一級建築士事務所
【整備場所】東京都江東区
【助成金額】282,790,000 円

【団体名】 特定非営利活動法人縁活
【設計者名】b.i.n 木村敏建築設計事務所
【整備場所】滋賀県栗東市
【助成金額】52,510,000 円

【団体名】 社会福祉法人新生福祉会
【設計者名】株式会社伊東豊雄建築設計 事務所
【整備場所】広島県尾道市
【助成金額】300,000,000 円

審査員は下記の方々です。

工藤 和美:建築家 シーラカンス K&H、東洋大学 教授 ※審査委員長
北川 聡子:社会福祉法人麦の子会 常務理事・総合施設長
竹宮 健司:東京都立大学都市環境学部建築学科教授
塚本 由晴:建築家 アトリエ・ワン、東京工業大学大学院教授
成瀬 友梨:建築家 成瀬・猪熊建築設計事務所
前田  晃:日本財団 専務理事
森下 静香:社会福祉法人わたぼうしの会 Good Job!センター香芝 センター長

以下は私の挨拶です。

******************

「みらいの福祉施設はどうあるべきか」のコンペを実施したところ、なんと、想定を上回る400以上の応募を頂いたのは、我々の想像以上に本プロジェクトに関心が大きかったということで、望外の喜びでもありました。そして今回見事に受賞された6施設の方々とその設計者に、心からお祝いを申し上げます。

私は長く福祉の問題に関わってきました。以前は数多くの老人ホームや障害者施設を全国各地につくってきました。その結果「私がやってきたことは間違っていたのではないか」ということに15年ほど前に気が付きました。その理由は、そうした施設を町の中ではなく、主に郊外に沢山作ってきたからです。郊外に施設を設置することで、町の中から老人や障害者がいなくなってしまったのです。この結果、町には健康な人だけが住む世の中となってしまいました。これは大変な間違いを犯したという深い反省があります。

社会福祉の施設というと、ある種の固定観念に基づくイメージを多くの国民がもっています。しかし、これを打破し、福祉施設がもっとオープンな形で多くの方と触れ合える場に変えていきましょう。古来から日本には助け合いの精神があり、この精神が今日の日本を作ってきました。戦後平和な時代になると、あらゆることを政府・行政に任せるようになり、権利の主張だけをしてきた結果が今の日本ではないでしょうか。日本人はコミュニティで互いに助け合って生きていくという伝統をもっておりましたが、そういった良き伝統が失われてしまったのは大変残念なことです。その反省を含め、これからの福祉施設は開かれた施設にして多くの方々が参加できるオープンな新しいコンセプトに基づく施設とはどのようなものかと考え、公募の企画に至りました。

少し話がそれますが、今の福祉施設では、例えば障害者を雇用すれば、月額最大17万円ほどの補助が出ます。しかしそこで働く障害者は1.5万円足らずの月給にしかなりません。これは大変おかしいことだと思います。雇用する側の額が多くて、そこで働く人の取り分は少ない。ですから、日本財団は障害者の賃金を3倍以上に増やそうと頑張っています。具体例を申し上げれば、今般国会図書館が電子化を進めているということで、その作業を障害者に任せてほしいと願い出たところ、「出来るわけがない」という反応でした。我々は「やってみなければ分からない」という考えのもと、障害者を指導し作業を行いました。結果、国会図書館の人からは「健常者がやるよりより良く出来ている」という反応を頂きました。今は国会図書館から仕事を頂き、福祉施設の皆さんに作業を教え、彼らに活躍いただいています。多くの障害者には働く意欲も能力もありますが、社会の側が「障害者はこうだと」という固定観念があるのではないでしょうか。

日本の大会社は障害者の法定雇用率もあり、障害者の雇用を進めているといいます。しかし実態は、障害者だけを集めて仕事を請け負ってくれるところに障害者を預けているに過ぎず、自分の事務所に障害者を入れて一緒に仕事をしていないのです。このような現状がまかり通っていては真の障害者雇用ではありません。

率直に反省しますと、福祉関係の支援は失敗とは申しませんが、成功したとも申せません。私たちの福祉施設作りは建物も内容も本当に当事者の為になっていたのでしょうか。アフターコロナの時代は、こうした方々も含めみんながもっと人間らしい生活が出来る多様性の社会であると考えています。

日本財団では、アイルランド出身の社会起業家が創設した企業ネットワークであるValuable500と共に世界的大企業における障害者雇用を促進する活動をしています。こうしたイノベーションは、常に話し合いで物事を決める日本企業では起きません。日本には素晴らしい起業家精神を持った若者が多数いますが、日本の大企業では小さなイノベーションは起きても大きなイノベーションは起こせません。なぜなら、「私が責任をもってやるから、皆さんお願いします」と言えないからです。「みんなよろしいですか、みなさんに賛成いただけるのならやりましょう」というものでは常識的な発想以上のものは生まれません。日本の大企業ではイノベーションが起きないというのは私の自説です。イノベーションを起こす人は変人と言われます。なぜなら、そうした人は常に人より先を見ているので、理解が得られないのです。今回のコンペで福祉施設の方々と設計家が議論を重ねて応募をされました。近い将来、福祉施設の在り方に大きな変革を促すことになると私は確信しております。これをきっかけにして更に活躍し社会にイノベーションを起こしてほしいと思います。

以前日本財団は、福祉施設でのお菓子作りやパン作り、クリーニングなど3000件近く応援しましたが、うまくいきませんでした。それは、福祉事業者に経営マインドがないからでした。多少は売れましたが、それは福祉施設で作った商品だからというお情けで買ってもらうことが多く、長続きしませんでした。一般の企業と競争できるものを作って欲しいということで、日本財団も努力し、「真心絶品」という民間と太刀打ちできるブランドを立ち上げたがダメでした。本当に失敗の連続でした。

しかし今回の企画は商品ではなく、オープンな社会の中で助け合う施設というものです。私が小さい時分は白杖をついているおじさんがいれば子供たちは「どこ行くの」「一緒に行こう」と連れて行ったものです。そんな光景は街中にたくさん見られました。電車で最近ホームからの転落事故が多くなりました。以前は「危ないよ」と腕を引っ張って誰ともなく助けていました。今やホームには多額の費用をかけて転落防止の設備ができました。助け合いの精神は学校で学ぶことではなく、日本古来の助け合いのコミュニティで身についていたのではないかと思います。

今回予想以上の応募をいただき関心の高さを目の当たりにしました。皆さんの働きによって、若い建築家に興味を持ってもらい、日本の福祉施設を変えてほしいと思います。願わくばこのプロジェクトが若い建築家の皆さんの登竜門になって欲しいとも思います。現代社会はぎすぎすして孤立し、大人も子供も、コミュニティを無くしてしまいました。こうした問題を解決すべく、日本財団では子どもと大人が集える、学校でも家庭でもない第三の居場所の整備を進めています。第三の居場所は、子どもが年配の方から昔話を聞く、将棋や碁を教えてもらう、また学生からサッカーなどのスポーツを教えてもらえる場所を目指しています。今は500ヶ所を目指していますが、すぐに1000ヶ所にしたいと考えています。人間的ふれあいが出来る場所で自然に学ぶことが沢山あります。学校と家庭だけではない異世代の交流が大変重要なのです。

今回のプロジェクトを成功させていただき、日本全国の福祉施設を変えていきましょう。日本には障害者の皆さんがちゃんと賃金がもらえる仕事、例えばちょっとした部品の組み立てなどですが、そうしたものが沢山あるのに、中国に出してしまっています。これを変えれば、すぐ障害者の平均賃金は3〜4万円になり、障害手当と合わせれば生活できます。今は福祉施設もそこまで気がまわっていないので、そういった施設にしていきましょう。世界に冠たる日本の福祉施設として、単なる施設ではなくコミュニティの中心になるような施設にして下さい。



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