• もっと見る
« 2022年03月 | Main | 2022年05月»
leprosy.jp
resize.png日本財団はハンセン病の差別撤廃を訴える応援メッセージサイト「THINK NOW ハンセン病」を開設。皆様からのメッセージを随時募集・配信しています。
Google
<< 2022年04月 >>
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
プロフィール

笹川 陽平さんの画像
笹川 陽平
プロフィール
ブログ
カテゴリアーカイブ
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
リンク集
https://blog.canpan.info/sasakawa/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/sasakawa/index2_0.xml

「”Don’t Forget Leprosy”キャンペーン」―第5回アジアにおける取り組み― [2022年04月08日(Fri)]

「”Don’t Forget Leprosy”キャンペーン」
―第5回アジアにおける取り組み―


今回は3月25日約2時間、同時通訳にヒンディ語、ネパール語、ベンガル語、インドネシア語、英語を使ってZoomで開催した。

それぞれの出席者がコロナ禍の中でも積極的に活動されておりますが、ここではその発言を省略させていただき、私の挨拶とQ&Aを掲載しました。

*******************

笹川制圧大使:
みなさんの元気なお顔を拝見し嬉しく思うと同時に、素晴らしい報告をありがとうございます。キリバスのエレイさん。共に一緒に船に乗って患者を探しに行ったことは懐かしい思い出です。バングラデシュのパハンさん。ハシナ首相も出席いただいたバングラデシュにおけるハンセン病大会の開催、そして大会後の回復者会議の開催を貴殿が中心となって尽力いただいたことをよく覚えています。インドのマヤさんは、回復者組織であるAPALの立派な幹部の一人として活躍いただいています。そしてインドネシアのユリさんは、2018年にお会いしましたが、回復者組織のPerMaTaで活躍いただいている重要な人物の一人です。それぞれの皆さんが素晴らしいお話をしてくださいました。また、インドササカワハンセン病財団(SILF)のタルン・ダース会長はインドを代表する企業団体の指導者として長く活躍され、私がインドにおけるハンセン病制圧活動に一層の力を入れるということでご協力を頂き、今もSILFの会長を務め、努力していただいております。本日はダース会長からもお忙しい中スピーチを頂き感謝申し上げます。コロナの為になかなか皆さんと直接お会いする機会がありませんが、Zoomなどオンラインを通じて皆さんの話を直接聞けるということは、便利な時代になったといえるのかもしれません。笹川保健財団はコロナの時期でも決してハンセン病を忘れてはいけないと、”Don’t Forget Leprosy”キャンペーンを毎週のように世界中を対象に実施下さっています。多くの方々にハンセン病の本当の姿を知っていただくためにも、回復者そして医療関係者の真実の声を聴いていただき、ハンセン病に関する正しい知識を持っていただきたいと思います。そうすることで、ハンセン病の病気そして差別、偏見を無くすことが出来ると考え、毎週のように本日のようにオンラインで多くの方々に話をする機会を設けています。本日は活動が困難な状況においても、一人でも多くの患者を発見し、また、偏見と差別を無くすために、回復者の方が自信を持って活動をしているという報告を受けて、心強く思いました。これからは回復者の皆さんがハンセン病の偏見や差別を無くす主人公として、また、社会を変える指導者として活動をしてほしいと私は強く願っています。キリバスのエレイさん。キリバスではハンセン病の担当官は3〜4名だったと記憶しています。しかし、皆さんの事務所の掲示板を拝見した際、予定がぎっしりと書きこまれていたことをよく覚えています。これは、いかに毎日患者探しと患者に対する薬の提供あるいは励ましの活動に努力されているかの証であり、感銘を受けました。これからも皆様の精力的な活動を期待しております。私自身は微力ではありますが、常に皆さんのそばにいて、歴史的な病気であるハンセン病を無くすための活動を皆さんと共に続けていきたいと願います。活動に際して困ったことがあれば笹川保健財団に連絡を頂きたいと思っています。相談を頂くことで支援のアイデアが生まれ、皆さんの助けになることもあるかもしれないので遠慮なく連絡を頂ければと思います。改めて本日の皆さんの報告に私自身も大変元気づけられました。皆さんと共にDon’t Forget Leprosyの活動を強力に進めていきましょう。ありがとうございました。

※パネルディスカッションQ&Aに移行

ウダイ・タカール氏(インド):
 2030年までにハンセン病を根絶することは可能でしょうか。
 目標達成の為に私たちがとるべき行動は何でしょうか。


笹川制圧大使:
ウダイさん、しばらくぶりですが、大変元気な姿を拝見し嬉しく思うと同時に、力強い声を聞かせていただき感謝致します。インドにおける回復者の皆さんがまだ自信もなく、また、APALという回復者の皆さんの団体が出来る前から、貴殿の心のこもった回復者の皆さんへの支援活動というものを私は長く見て参りました。貴殿のハンセン病の患者、回復者に対する深い愛情を拝見しながら、貴殿のようになりたいということで、私は貴殿の背中を見ながら活動してきました。2030年までに根絶は可能かという質問をいただきましたが、大変難しい質問といえます。2030年という目標に向かって努力をするという目標設定は正しいものであると思います。なぜならば、以前WHOで患者数を1万人に1人以下にしようという目標設定をしたからこそ、今日までに患者数の激減を実現することができたという例もあるからです。しかしながら、皆さんには「100マイルの道のりは99マイルをもって半ばとす」と申し上げてきました。インドにおけるハンセン病の問題は、皆さんの努力により99マイルまできました。しかし残りの1マイルは大変難しいものであることは事実です。今やメディアが発達しスマートフォンといった近代的な道具によって、TwitterやFacebookなどのSNSを通じて各自が簡単に情報発信できるようになりました。是非ともこうしたSNSを通じてハンセン病に関する正しい知識の発信に努めてください。例えば、自分や家族の体のスキンチェックをして「白いパッチがあればハンセン病かもしれない」という知識や「薬は無料で手に入る」という知識があれば、病院へ行くようになるでしょう。なぜなら、風邪を引けばのどが痛かったり鼻水が出たりなど自覚症状がありますが、ハンセン病の最大の問題の一つは痛みの症状がないという点であり、自覚症状がないからこそ1年そして2年と放置してしまうからです。全ての人にハンセン病の初期症状を知っていただくことが、2030年までにハンセン病をゼロにするにあたり最も重要な方法だと思います。私は各国でテレビやラジオに出演するようにしていますが、視聴者には「番組が終わったらすぐにスキンチェックをしてほしい」とお願いしています。単純だからこそ難しい問題かもしれませんが、全ての国民にハンセン病に関する正しい知識を持っていただければゼロにすることは不可能ではありません。しかし問題は、治療が遅れたために障害が発現してしまったときです。ウダイさんもご承知の通り、障害が発現したことにより偏見や差別という社会が持っている病気もまた発生しやすくなります。ハンセン病で発現した障害も、交通事故で不幸に障害を持ってしまったことと何ら変わりはありませんが、長い間人類がハンセン病に対して神罰である、遺伝する病気である、感染力の強い病気である、などの間違った理解を頭の中に持ち続けてきてしまった社会の病気を治していくことは並大抵のことではありません。こうした偏見や差別を無くすためにも、早期発見・早期治療の努力が必要だと思います。現在回復者の皆さんが、ウダイさんの力もあり、インドでは大きな力になってきました。近年までは「恥ずかしい」「新たな差別を呼ぶ」と消極的でしたが、今や皆さんが率先して活動を開始してくれています。これは歴史上近年までなかったことです。こうした組織化や激励活動を牽引してきたのがウダイさんです。引き続きお互い力を合わせて参りましょう。努力を続けるということ以外に2030年にハンセン病をゼロにするということは実現できませんが、必ず解決できると信じていますので、一緒に活動して参りましょう。

ナディラ・ベラディナ氏(JAVAというNGO、インドネシア):
 ハンセン病制圧活動の一部として、障害の予防は何故重要なのでしょうか。
 これまでに何がなされ、これから何がなされるべきでしょうか。

笹川制圧大使:
素晴らしい質問に感謝致します。私は2年前のコロナが発生する前は、インドネシアに毎年6回訪問し、各地を回ってクスタ(※インドネシアではハンセン病のことをクスタと呼ぶ)を無くすための活動をすると約束したものの、コロナになってしまい実現できていないのは残念なことです。インドネシアはインド、ブラジルに次いでハンセン病の患者数が多い国であることは貴女もご承知の通りです。しかしながら、インドネシアから新しい活動が始まりました。それは、医者、私、そして回復者組織であるPerMaTaからの代表の3人でテレビ・ラジオに出演し国民に呼びかけるという取り組みです。テレビ・ラジオを通じて、クスタの正しい知識を理解いただくのは勿論のこと、何より優れているのは、視聴者から質問を受けるということです。例えば、「妊娠をしているが生まれてくる子供はハンセン病にかかってしまうのか」という母親からの心配の質問や、「体にパッチが出来たら全てクスタなのでしょうか」といった質問もあります。その時は「ペンなどで押していただき、痛くなければクスタの可能性があります」といった回答をさせていただくなど、直接住民の皆さんと話が出来るように努力しています。また、クスタの最大の問題の1つは、障害が出てしまうことがあるということです。障害があるために、社会の人々から偏見や差別を受けてしまうことも多く、障害さえなければ風邪や結核から回復した人と同様に差別の対象になりません。障害が出ないようにするためには、何より早期発見・早期治療が肝心です。私は「番組が終わったらすぐに家族で体のチェックをしてほしい」とお願いしています。白いパッチがあり、ペンなどの尖ったもので押してみても痛みがなければクスタの可能性がありますが、その時点で見つけてくれたのなら薬を飲めば何の障害もなく治ります。障害が出る前にどうやって早く発見するかということが難しいところで、先に述べた通り白いパッチが出ても痛いなど自覚症状がないので、なかなか病院に行かないということが問題の1つです。風邪であれば症状があるのですぐに病院に行こうとなりますが、クスタは痛くもなんともないので、結果として1年そして2年と放置し障害に繋がってしまいます。一度障害が出てしまうと治すのは技術的にも難しいことですから、障害を見て「あの人はクスタになっている」と偏見や差別の対象となってしまうこともあります。本来はいろんな事由で障害をもつことがありますし、障害があっても健常者と同じように生活をする権利がありますが、残念ながら人々の中には差別する気持ちが残っていることがあるということも事実です。障害が出ない段階で治すことに皆さんの協力を頂きたいと思います。ナディラさんもぜひこの活動に協力ください。

スジャータ・ブダトキ氏(ネパール):
 ハンセン病について、今後の笹川制圧大使の展望を教えてください。

笹川制圧大使:
ネパールにも何回も訪問しました。治安が悪くてなかなか地方に行けないもどかしい時が沢山ありましたけど、国が落ち着いてからはハンセン病患者の多いインドのビハールとの国境地帯にも伺いました。ネパールは患者が多い国ですが、ハンセン病を無くすために活動しているNGOが多数あり、回復者の組織の活動も活発です。訪問するたびに、ハンセン病を無くすために多くのステークホルダーが参加下さっており、ネパールにおける積極的な活動に敬服しております。残念ながらコロナ禍により、私たちが行くことが出来ませんが、Zoomなどのオンライン会議が主流になってきましたし、スマートフォンをもってSNSを使用することが出来る時代になりましたから、一人一人がメディアの役割を果たせるようになりました。貴女もおやりになっていると思いますが、どんどん情報発信を行っていただき、友人や知人にハンセン病についての正しい知識を伝えてほしいと思います。科学の発達した現代においても、ハンセン病は神様の罰である、遺伝する病気であると、誤った理解をしている人が多数います。こうした間違いを正していくことはSNSを通じて各自で行えることです。勿論私自身「現場には問題と答えがある」というのが人生哲学であり、コロナが収束したらネパールを訪問して直接貴女にお目にかかり、共に現場での活動を再開したいと心待ちにしております。
| 次へ