「18歳意識調査 外国人労働者」
―プラス評価がマイナス評価を大きく上回る―
出入国在留管理庁や厚生労働省によると、2020年、わが国に在留する外国人は約288万人に上る。新型コロナ禍で多少の出入りはあるが、この20年間だけで100万人以上増え全人口の約2%を占める。外国人労働者も約172万人に上り、日常生活でも職場でも外国人と接する機会が大幅に増加、外国人に対する日本人の意識も変わりつつある。
それでは若者はこうした現状をどう見ているかー。昨年11月、「国際・多文化共生意識」をテーマに第43回目の日本財団18歳意識調査を行い、17〜19歳1000人に外国人子弟や外国人労働者に対する意識などを聞いた。
まず日常生活。在留外国人の増加を反映して、小、中、高校時代に「同じ学年に外国にルーツのある子どもがいた」とする回答は32.5〜26.7%に上り、10%弱は自宅近くに外国人が住んでいた、と答えている。そうした親近感もあってか、外国にルーツのある子どもが「国籍を問わず」あるいは「両親がともに外国籍であっても」、自分と同等の教育や医療、福祉が保証されるべきだ、とする回答は「そう思う」、「ややそう思う」を合わせ、いずれも60%前後に上っている。
次いで外国人労働者増加が日本に与える影響。「労働力の減少が抑えられる」、「社会や経済が活性化する」、「日本人の価値観が多様化する」、「文化が多様化する」といったプラス評価がいずれも30%台を記録、「そうは思わない」とする声の約1.5〜同2倍に上っている。一方、「地域の治安が悪くなる」、「日本人の就職先が奪われる」、「社会保障のコストが上がる、「日本文化が損なわれる」といったマイナス評価は23〜16%に留まっている。
さらに外国人労働者が日本にプラスになるためには何が重要か、質問したところ、「知識・技術の高さ」が40.2%でトップ、次いで「日本語力」(38.6%)、「長く日本に住むこと」(25・9%)、「若さ」(21%)、「どの国から来たか(出身国)」(20.4%)が続いた。ただし若さや出身国に関しては「そう思わない」とする否定的回答が多数を占めている。
一部を除き全体的に「どちらともいえない」とする回答が40〜50%に上っているのも特徴。今後、外国人労働者問題がどのように推移していくのか、先が見えない分、若者に戸惑いを生んでいる気もする。日本労 働組合総連合会(連合)が2018年9月、全国の20〜69歳の男女1000人に対し行った「外国人労働者の受入れに関する意識調査」では、「よいことだと思う」が51%、「よくないことだと思う」が25%。世代によって賛否に大きな差があったようだ。
EU(欧州連合)―各国などでは近年、移民問題も絡み世論が割れる傾向にあるとされ、外国人労働者問題にはそれだけ微妙で複雑な要素も多い。調査結果を見ながら、若い世代を中心にした国民意識の変化を引き続きフォローしていく必要があると感じている。