「ちょっといい話」その153
―日本財団 海洋環境保全でイニシアチブ創設―
日本財団と出版・メディアサービス・リサーチなどの事業を展開する英国のザ・エコノミスト・グループは3日、第8回ワールド・オーシャン・サミットにおいて、海洋保全に向けた新たなイニシアチブ「バック・トゥ・ブルー」を創設すると発表した。同イニシアチブでは、まず海洋生物や人間の健康に被害を及ぼしている海洋プラスチック、化学汚染問題に焦点を当て、2024年までの3年間、深刻化する海洋課題に共同で取り組む。
ワールド・オ−シャン・サミットで開催されたバック・トゥ・ブルー創設式で日本財団の笹川陽平会長は、「私たちは身近に起きる陸上の問題については良く理解しているが、地球表面の70%を占める海洋が抱える多面的な問題となると、その理解は十分に進んでいない。これは国境を越えた全人類の安全保障の問題だ」と警告。また、ザ・エコノミスト・グループのデイトン会長は、「ザ・エコノミスト・グループは2012年に初めてワールド・オーシャン・サミットを開催したが、それ以前にも、海が抱える問題、人間の活動が海洋環境に深刻な影響を与えていることを誌面で論じてきた」とし、「それから10年ほど経った今、私たちはこれまで以上に健全な海洋環境と力強い経済が伴う、海洋というヴィジョンに取り組んでいくつもりだ」と述べた。
バック・トゥ・ブルーが1月に北米、欧州、アジアなどを対象に実施した世界海洋アンケートによると、世界の二大関心事はプラスチック汚染(回答者の59.6%)と化学物質汚染(39.1%)、次いで気候変動(31.1%)であることが分かった。
※2021年3月4日付「日刊海事プレス」です。