「パラアリーナ再開、練習拠点に」
―要請あればオリパラ関係者の無料PCR検査も―
新型コロナウイルスの感染拡大を受け昨年4月以降、感染者の療養施設として使われていた日本財団パラアリーナ(東京・品川区)を4月1日から再びパラアスリートの専用練習施設として活用することに決め、2月25日、発表した。4月中旬には敷地内に独自のPCR検査所も設けてパラ選手の感染防止を進めるほか、大会組織委員会の要請があれば、オリパラ関係者の無料PCR検査にも協力する考えだ。
パラアリーナは2018年6月に開設され、鉄骨1階建て。約3000平方メートルの床にはブラインドサッカー、ゴールボール、車いすラグビー、ボッチャなどパラ競技のコートが施設され、国内では数少ないパラ競技の練習拠点となっていた。新型コロナの感染拡大で昨年4月以降、感染者の療養施設に転用されていたが、8月24日に予定されるパラリンピックの開会まで半年を切り、パラアスリートの練習場が大幅に不足している現状なども踏まえ、再度、練習施設に戻すことになった。隣接する仮設住宅型療養施設は引き続き療養施設として利用される。
▼パラサボセンターを恒久施設に
発表にはパラ・パワーリフティングの山本恵理選手、車いすラグビーの島川慎一選手も出席した。ともに選手キャリアの半分以上をパラアリーナで過ごした経験を持ち、療養施設になって以降、練習方法などに苦労した体験を披露した上で、パラアリーナ再開の喜びを語った。
コロナ禍の収束が見えない中、東京五輪・パラリンピックの開会を危ぶむ声も出ているが、「こういう時だからこそ大会を開催する必要がある」。関連して、来年の北京冬季五輪後までの予定で、2015年に開設した「日本財団パラリンピックサポートセンター」(山脇康会長)=東京・赤坂の日本財団ビル=についても恒久施設として使用、子どもの夢を育てる考えを説明した。
▼無料PCR2月24日から受付開始
24日に当初予定より半月遅れで受け付けを開始した無料PCR検査に関しても、この間の経過を説明した。検討の結果、当初、東京都に限った対象区域を神奈川、埼玉、千葉を加えた1都3県に拡大することになったのが一番の違い。高齢者福祉施設の関係者を対象に継続的なPCR検査を実施し、重症化するリスクが高い高齢者への感染を防止する当初の狙いに変わりはない。
対象となる高齢者施設は1都3県で計約1万700カ所。東京都の約3200ヵ所のうち広域型特別養護老人ホームなど約750ヵ所は東京都が独自にPCR検査の実施を計画しており、事業はこれを除いた養護老人ホームや介護医療院など約9950ヵ所が対象となる。対象人員は約56万人。どの程度の施設から申し込みがあるか予測は難しいが、東京都を手始めに順次、3県にも拡大、希望者全員について週1回程度の検査実施を目指す考えでいる。
検査実務はPCRに幅広く取り組んでいる木下グループ(本社:東京都新宿区)に委託し、1日5000検体からスタート、3月中には1日2万検体まで増やす。グループの検査の質・精度に関しては大学研究機関の専門家から高い評価を得ており、今後も検査全体の管理、監督を専門家に委託する考えだ。
今回の調査は、首都圏全体の高齢者施設全体に網を掛ける異例の試み。コロナウイルス感染に関する貴重な学術的資料も得られると期待している。検査は当面8月末までを目途としているが、ワクチン接種の進捗状況や7、8月の時点の国内の感染状況など不確定要素も多く、こうした点を見ながら9月以降の対応を決めたいと考えている。
パラアリーナで行われた記者会見

