「ハンセン病の歴史保存」
―ウェビナーによる国際会議―
コロナ禍では海外活動もままならず、ウェビナーによる国際会議が中心になってきた。
ハンセン病に苦しんだ過酷な歴史を保存する活動は世界で活発化している。多磨全生園にある「ハンセン病資料館」は、世界最高の資料館である。今回の会議は、スペインとポルトガルの歴史保存を中心に、各国の取り組みが議論された。
以下、私の開会挨拶です。
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2021年1月22日午後7時
本セミナーの開催にあたり、スペインのフォティリアス療養所のホセ代表、ポルトガルのロビスコ・パイス療養所のマグダレーナ代表に対し、厚く御礼申し上げます。
皆さんご承知のとおり、ハンセン病の歴史は、医療、人権、福祉、あるはそれに関連する政策など、さまざまな角度から捉えることにより、現代社会が直面する諸課題の解決に繋がる多様な学びを私たちに与えてくれます。
例えば、ハンセン病は不治の病といわれてきた時代から、化学療法の発展により治る病気へと転換した医療発展の歴史であるとともに、病気への誤った認識から端を発し、社会が患者を排除し、偏見差別をしてきた過ちの歴史でもあります。そして何よりも、病気とそれに伴う偏見差別と闘ってきた、患者、回復者、その家族、さらには医療従事者の方々の闘争の歴史でもあります。
日本財団および笹川保健財団は、このような問題意識の下、現在そして将来の世代が、ハンセン病の歴史からさまざまな学びを汲み取ることができるよう、その歴史を保存する取り組みを支援してきました。
本ウェビナーは、両財団が毎年「世界ハンセン病の日」に合わせて開催するグローバル・アピール・キャンペーンの一環として行うものであり、この機会により多くの方々にハンセン病にかかわる歴史保存の重要性を理解していただくことを目的としています。私は現在世界中でハンセン病に関する歴史保存についての活動が活発化していることは、世界の各地で見てきましたが、本日は、かつて私が訪問したスペインやポルトガルで展開されている活動が紹介されます。私は登壇者のみなさまから貴重な話をお聞きすることを大変楽しみにしています。
我々は、世界の多くの国々で、人類が犯した大きな誤りであるハンセン病の歴史から貴重な学びを汲み取り、将来に伝え遺してゆく責任があります。今回の会議が基点となって、世界中の関係者が連携してハンセン病の歴史保存に努力していこうではありませんか。