「新聞報道から」その102
―パラサポ存続へ調整―
競技団体 活動資金確保へ 東京パラリンピックを見据え、パラスポーツの基盤強化と普及促進のため来年3月末までの時限的な組織として設立された日本財団パラリンピックサポートセンター(パラサポ)が、少なくとも1年の活動延長を目指して調整を進めていることが2日、関係者への取材で分かった。パラの各競技団体は経営が厳しく、年間20億円以上を支出して国と助成の両輪となっているパラサポの存続を望む声が強かった。
パラサポは財源や人員体制などの運営基盤が脆弱(ぜいじゃく)な各競技団体の支援を目的に、日本財団が約100億円を拠出して2015年5月に設立。強化費の分配やパラスポーツ専用体育館「パラアリーナ」の運営など競技力向上の支援をするほか、共同オフィスの無償提供、経理や翻訳、広報など諸業務の肩代わりなどで組織運営も後押し。事業・管理総額で19年度予算は約22億7000万円、20年度は約20億8000万円の経常費用を計上した。
当初はパラサポが役目を終える21年度末までに各競技団体の運営が安定すると期待されたが、新型コロナウイルス禍による東京大会の延期は各競技団体の経営を直撃。企業の経営悪化により新規スポンサーの獲得は困難を極め、活動資金の確保に頭を悩ませる。
東京大会後は、国や企業からの支援が、さらに先細りとなることが予想される。
パラサポは普及活動の成果も大きく、需要が増加している。国際パラリンピック委員会(IPC)の公認教材「アイム ポッシブル」の日本版の開発に携わり、全国の小中高校など約3万6000校に無料配布。パラスポーツをテーマとした体験授業なども実施し、パラリンピック運動の拡大に寄与している。
※2021年1月3日付「東京新聞」です。