「新聞報道から」その53
―日系人同士の国際交流希望―
日本財団初の世界調査 若者9割つながり求める日本財団(東京)は1日までに、世界規模で日系人の意識調査を初めて実施し、若い世代の9割が他国の日系人との交流を望んでいることが判明したと発表した。上の世代は各国日系社会での同胞意識を大切にしてきたが、若者らは国際的な日系人同士の横のつながりも求めていることが明らかになった。
調査は北中南米やアジアなど計36カ国・地域で昨年実施、18〜35歳を中心とする計約3800人分の回答を分析した。
主に日系人団体を通じた調査のため、担当者は「日本への関心が高い人の声が反映される傾向にある」と説明しており、日系人全体の実態を投影していない可能性もある。
国際交流を望む人が増えた背景にはインターネットの普及があり、64%が会員制交流サイト(SNS)を通じた連携を希望。日系人としての強い意識を持っているとした回答が74%に上った。
担当者は「戦時中、収容所に入れられた経験をした米国の1、2世らが日本と距離を置いてきたのに対し、若い世代は各国の少数派としてアイデンティティーを確かめたいという思いが強い」と説明する。
重要な日本的価値観としては82%が「頑張る」を挙げ、「尊敬」「感謝」「もったいない」と続いた。触れている日本文化としてはアニメや漫画、カラオケが多かった。
日系人は世界に推計約380万人おり、大半は世代交代に伴う日系人意識の希薄化が指摘されている。
※2020年9月2日付け「岩手日報」です。