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笹川 陽平
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【私の毎日】7月13日(月) [2020年07月13日(Mon)]
7月13日(月)

7:06 財団着

9:30 笹川平和財団職員にスピーチ

13:00 小澤誠 外務省2020東京オリンピック・パラリンピック準備本部要人接遇事務局次長

終日  書類整理、各グループ打合せ
「海底地形図作成」―世界発信へ― [2020年07月13日(Mon)]
「海底地形図作成」
―世界発信へ―


日本財団は、GEBCO(大洋水深総図)と共同作業で行っている海底地形図の作成が、19%まで大幅に進んだことが世界的ニュースとなり、現在のところ、36ヵ国の主要新聞135紙に掲載され、TVでも大きく報道された。(7月8日現在)

イギリスの代表的新聞「ガーディアン」の記事を翻訳して掲載します。

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ガーディアン翻訳記事.jpg


地球最後のフロンティア:全ての海底地形を解明するための世界規模の挑戦

海底地形を2030年までに地図化する野心的なプロジェクトは各国の津波対策の強化、海洋生物の生息環境の保全、深海底採掘の監視の一助となるかもしれない。しかし、これは前例のない規模の挑戦である。

ヴィッキー・フェリー二氏のデスクの対面に位置する壁には大西洋とインド洋の巨大な地図がかかっている。182cm×243cmのその地図は情報地質学の研究者としてフェリー二氏が働くラモント・ドハティー地球観測研究所のプリンターで印刷できる最大の地図だ。「当然もっと大きなサイズの方が良い」と彼女は言った。

この地図は我々が従来見る世界地図より情報量が多い。特徴のない平坦な青い海ではなく、海底地形を表した地図は地上の表面のように山、渓谷、溝や平原といった起伏で溢れている。フェリー二氏は部下たちに彼らが研究している海底地形の特徴を地図の上に貼り付けるように薦めている。そのように貼り付けられたものの一つであるアルゼンチン沖の海底地形は数百メートルの高さに波打つ形状を見せている。その地図は、さも名探偵シャーロック・ホームズが難事件の推理を開始する場面のように、大きな謎が明らかになる予感を感じさせるものだ。「私たちは海のスケールの大きさを捉えようとしているのです。全体像と同時に、非常に細かな詳細も把握しようしているわけです。」とフェリーニ氏は説明する。

海底地形図を作成する挑戦は、2017年にニューヨークで開催された国連海洋会議から正式に始まった。その当時、全海底のわずか6%しか正確な海底地形図は存在しなかった。しかし、今年の6月21日、日本財団-GEBCO Seabed 2030の名で知られる世界的なイニシアティブは、最新版の海底地形図の発表をもって全海底の1/5を地図化したと公表した。

その影響は大きい。いくつかのレポートでは、すでに海洋が崩壊の危機に瀕していることが警告されている。2015年にUNEPが発表した「第1次海洋評価」では海洋が持っている基本的な機能が危機に瀕していることが明らかにされた。翌年、OECDは、海洋経済によって世界で3100万人のフルタイムの雇用と1.5兆ドルの経済価値が創出されていると発表した。海底地形図の有無は、海面上昇から海洋の酸性化、海洋生物多様性まで海洋のあらゆる重要な問題への対応に影響を及ぼす。

世界一周飛行中に太平洋上で消息を絶ったアメリア・イアハートのロッキード・エレクトラ機の捜索や沈没したタイタニック号の残骸捜索など海底地形をマッピングしようとする試みは20世紀中にも単発的にあった。さらに、2014年に行方不明となったマレーシア航空MH370便は我々を大いに困惑させた。現代技術をもっても、飛行機のような巨大な機体を探し出せないというのはどういうことだろうか。

人は海底より月の表面を知っているということをよく耳にする。我々の足元に広がる世界より何万キロも離れた星の方が到達しやすいという事実は驚くべきことだ。しかし、我々は海底地形をマッピングするのがなぜこれほどにも難しいのかということを飛ばしてしまう。海底に到達するまでには海という大きな障壁があるのだ。光は宇宙空間の中で高速かつ長距離進むことができるが、天体を観測するときに使用されるレーザー高度計は、海中ではレーザー波が吸収されてしまうので使用できない。

代わりに、音は空気中より水中の方が効率良く進む。現在、海底の測量には船底に簡単に取り付けることができるマルチビーム音響測深期が推奨されている。海底から反射される音波をコンピューターで分析すれば、3次元の海底地形ばかりでなく、水温や塩分濃度まで調査することができる。

時間のかかる作業である。フェリー二氏から以前見せてもらったものとは違うフォーマットの海底地形図が最近送られてきた。この海底地形図は未測量海域を黒で塗りつぶしたものだった。海岸線や航路はデータで輝いていた。その他は少数の針で刺したような光以外、闇に覆われていた。

国の将来が海洋と分かちがたく結びついている島国・日本以上に正確な海底地形図を必要とする国は少ないだろう。その日本の非営利団体である日本財団はモーターボート競走の収益金で運営されており、Seabed 2030の推進のために毎年200万ドル(約2億2千万円)を拠出している。同財団は過去にハンセン病の制圧や食糧安全保障など非常に解決の困難な世界的問題に取り組んできており、完全な海底地形図の作成はこうした同財団の使命に適うだけでなく、日本の国益にも資するものである。Seabed 2030は、日本の漁業資源管理、津波・台風対策、南シナ海の領土問題などさまざまな課題の解決に資すると見られる。


とはいえ、海底地形図の作成は、誰もが無料で使用することができる地図の完成に向けて、世界4か所の地域センターが協力して推進している真に世界的な共同事業である。ドイツのアルフレッド・ウェゲナー研究所が南極海の、ストックホルム大学とニューハンプシャー大学が北太平洋と北極海を、ニュージーランドの国立水・大気研究院が太平洋南部と西部を、先述したフェリーニ氏が所属するコロンビア大学のラモント・ドーティ地球観測所が大西洋とインド洋を分担している。

4つのセンターで収集された情報は5つ目のセンターである英国サザンプトンの海洋学情報センターでまとめられ、GEBCO海洋水深総図と呼ばれる海底地形図に取り込まれる。データはパブリック・ドメインとされ、著作権料等を気にせず誰もが自由に経済的目的にも利用できる。

「海洋の調査に携わったことがある人であれば、誰しもがGEBCOのデータを利用したことがあるのではないか」とニューハンプシャー大学でプロジェクトディレクターを務めるロシェル・ウィグリー氏は語る。「海底に光ファイバーの敷設を行う会社だけでなく、津波や台風の予測や調査を担う人々、海洋生物の生息環境や海流モデリングを行う研究者たち等にすでに広範に活用されています。」

海底地形図を完成させようとする取り組みは常に新たな素晴らしい発見を伴う。フロリダ沖では海の真ん中にサンゴ礁が見つかり、メキシコ湾では難破船が発見された。今後計画されている氷床に関する研究はGEBCOの海底地形図を使い、海が融解や海面上昇にどのような影響を与えているのか解明しようとしている。

賛否両論の意見がわかれる地球至上最も大規模な採掘作業である深海底での海底資源採掘も地図を必要とする。国連国際海底機構(ISA)は、既にいくつかの国営・民間企業に深海探査の許可を与えた。早ければ今年中に海底資源開発開始の許可が出る見込みだ。多くの場合、深海の掘削を進めようとしている者たちはGEBCOの海底地形図を作成する者たちよりはるか先を行っている。国際自然保護連合(IUCN)が2018年に発表した海底採掘に関する報告書の主執筆者、ルック・キベール氏によるとこうした海底資源開発事業者は海底に鉱物があることを裏付ける確かな証拠を探しており、GEBCOが提供しているデータよりも詳細なデータを求めており、多くの場合、既に手に入れていると彼は言う。加えて、GEBCOの情報はISAがより効果的に海底資源開発事業者を監督するために有効活用できるかもしれないと彼は付け加えた。深海底の採掘においてはGEBCOの情報を両刃の剣と捉える人もいるかもしれない。

海底地形図作成においてもう一つの課題は海中騒音の問題である。空気銃、海軍の使用するソナーおよび海上船舶交通によって発生する海中騒音は、海中の音に頼って狩りをし、泳ぎ、仲間とコミュニケーションをとる海洋哺乳類の生活に大きな影響を与えている。ニューハンプシャー大学の大学院生であるヒラリー・ケーツ・ヴァーギス氏は、最新の研究でSeabed 2030事業が使用しているマルチビーム音響測深機から発生する音は、音の影響に敏感な海洋哺乳類であるアカボウクジラの摂食活動に影響を与えないという結果を発表した。一方で、米国海洋大気庁(NOAA)の生物学者、アナマリア・デアンジェリス氏は、Seabed 2030が地球全域を対象とする事業のため、マッピングに使用される音響測深機が様々な生息地で生きる海洋哺乳類にどのような影響を与えるかについて理解を深めるために更なる調査が必要との見解を示している。

海中騒音を減らすひとつの方法として、既に海底地形図の作成を行っている船舶からの情報をクラウドソーシングで集めるというやり方がある。億万長者のヴィクター・ヴェスコーヴォ氏が5つの大洋の最も深い地点へのミッションに取り組んだ際、Seabed 2030の地図作成者はその行程の中で音響データの収集を行った。Seabed 2030の他の民間事業者のパートナーも彼らが提供できるかぎりのデータを寄付している。クラウドソーシングは極めて重要だ−質の良い測深器さえあればクルーズ船、政府の水路部、週末に船を楽しむ人からすらデータを取得できる。もし、まだ未解明の4/5の海底を1隻の調査船で調査すると仮定すれば、200年かかると見込まれている。

しかし、「データの共有はある種のタブーとみなされている」と、インド洋に位置する研究所に海底地形情報の取得のためにしばしば接触を試みているフェリーニ氏の部下の一人ティナー・ヴォアハンジー・マーティン氏は語る。海底地形情報は、しばしば独占的な所有権のあるものと考えられ、無償で提供するにはあまりにも価値があるものとみなされる。「相手先に訪問していきなり “こうしてほしい。私たちが期待するのはこれです。” などと話してもうまくいきません。パートナーとして認められなければいけません。それがデータ提供に積極的でない組織を巻き込む最善の方法だと思います。」

フェリー二氏はさらにアメリカにおける科学研究は納税者によって支えられており、それがデータは常に無料で入手できるという期待につながっている点を指摘し、「全世界が同じような考え方で動いているわけではないことを私たちはまず認識する必要があります。その上で、相互に有益な連携のあり方を見出さなければなりません。」と付け加える。

以上のような状況があるものの、ここまでの進捗のペースを踏まえれば、2030年のゴールへの到達は可能なことのように思える。しかし、フェリー二氏の壁に掲げられた地図の完成は、始まりに過ぎない。「私たちがすべきことや知るべきことは、海底地形の形状以外にもまだたくさんあるのです。海底地形図は、より大きな知にたどり着くための一つのピースに過ぎないのです。」
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