「ちょっといい話」その117
―海と日本プロジェクト―
日本財団の「海と日本プロジェクト」の今夏の活動は、地方テレビ43局、参加企業約3000社150万人の老若男女、子ども達が参加した大きな運動となり、全国各地の地方紙でも紹介する記事が数多く掲載された。
「海と日本プロジェクト」は、さまざまな形で日本人の暮らしを支えている海で進行している環境の悪化を、子供たちをはじめ、全国の人々が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げることを目的としている。
東奥日報(青森県、9月23日付)は、きれいな陸奥湾を守るために2019年度に発足した「むつ湾クリーンアッププロジェクト」の活動報告会が青森市で開かれたことを伝えた。これまでに沿岸や街中の清掃活動に県民三千人超が参加したという。弘前大学の環境サークルが7市町村の沿岸清掃で回収したごみを無作為に抽出して内容を調べたところ、ペットボトルなどのプラスチックごみが全体の半数を占めたほか、韓国や中国からの漂流ごみもあったことがわかったという。
北日本新聞(富山県、9月23日付)によれば、親子で魚のさばき方を学ぶ「さばける塾」が富山市内で開かれ、県内の10組19人がフクラギ(ブリの幼魚)の調理に取り組んだ。講師役は富山県魚商業協同組合の理事で、参加者は包丁でフクラギを三枚に下し、海鮮丼用の刺身に切りそろえ、骨や頭部を使ったみそ汁もつくった。さばける塾は命の大切さと自然の恩恵を感じてもらい、魚食振興や海洋環境保護の意識喚起を図ろうと、毎年全国で開かれている。
神戸新聞(9月23日付)は、兵庫、徳島両県の小学5、6年生約40人が世界遺産登録を目指す鳴門海峡の渦潮について調査し、神戸市内で行った学習結果の発表会を取り上げた。渦潮の観察を続けた児童らは「潮の満ち引きで海峡の海面に高低さができ、海水が低い方に流れる」などと渦潮のメカニズムを解説した。この知識は冊子にまとめられ、淡路島の海水を煮た「自凝雫塩(おのころしずくしお)」とセットにして販売される。
四国新聞(9月24日付)は、香川県内の小学5年生18人が、日本遺産「北前船寄港地・船主集落」として認定された多度津町を訪れ、廻船業で財をなした豪商邸などを見学した学習ツアーのリポートを写真二枚とともに掲載した。児童らは、多度津が江戸から明治時代に日本海や瀬戸内海を往来して交易を担った北前船の寄港地であったことや金毘羅参りの海の玄関口となったことなど、海との関わりの中で発展した歴史を現地で実感したようだ。
「海と日本プロジェクト」では、「海を学ぼう!」、「海をキレイにしよう!」、「海を味わおう!」、「海を体験しよう!」、そして「海を表現しよう!」の五つのアクションを推奨している。紹介した四つの記事は、これらのアクションのいずれかに該当していた。
日本財団の活動を取り上げた記事には地味な扱いもあるが、丁寧に取材し、きっちり書き込まれたものも少なくない。いずれも日本財団のプロジェクトの最前線の動きを伝えるものだ。
記事の一つひとつが、日本財団への励ましだと私は思っている。