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「手話言語法」―成立が遅れる不思議― [2018年01月29日(Mon)]

「手話言語法」
―成立が遅れる不思議―


手話言語法の制定を求める動きが高まっている。「手話を広める知事の会」には全都道府県が参加、独自に手話言語条例を制定した自治体は15県99市11町に上り、「手話言語法の制定を求める意見書」に至っては既に昨年3月、全国1788の都道府県市区町村議会の全てが採択している。

ここまで状況が煮詰まっているのに国会の動きはなお緩慢だ。特段、躊躇しなければならないような理由もないように思われ、超党派の議員による議員立法の制定を首を長くして待っている。

日本財団では1992年、米国のギャローデットなど2大学に途上国の聴覚障害者が留学するための奨学資金を設けて以来、聴覚障害者の支援事業を開始、全国初となる鳥取県の手話言語条例制定(2013年)作業にも研究会を作って参加した。そんな経緯もあって筆者は「手話を広める知事の会」の顧問を務めており、11月7日、参議院議員会館講堂で開催された同会総会にも出席、「手話言語法制定の機は既に熟している」と挨拶した。

2015年には国会への請願デモの先頭に立ち、衆・参両院で請願したが、私の顔を見て先生方が驚かれたのも、昔話になってしまった。

DSC01175.JPG
デモの先頭に立ち、衆・参両院で請願


手話は米国手話、韓国手話といった具合に各国にあり、音声言語との違いは伝えたいことを音声で表現するか、手指を中心にした動作で表すかの違いであり、それ自体が言語であることに何ら代わりはない。

全日本ろうあ連盟によると、世界で50カ国近くが既に憲法や法律で手話を固有の言語と認め、音声言語と同様、公用語にも指定している。障害者権利条約は言語を「音声言語及び手話その他の形態の非音声語」と定義し、わが国も2011年に改正された障害者基本法に「言語(手話を含む)」と記している。

わが国の聴覚障害者は約36万人。多くの人が音声言語を使えないために社会進出を阻まれてきたが、高い資質を持つ人が多く、手話が言語と認められれば、ごく普通の生活が可能となり、社会進出も加速される。新たな労働力として、ともすれば生活保護に頼る立場から脱出し、タックスイーターからタックスペイヤーに変わる道も開ける。

もちろん手話が言語として普及するためには、学校教育への取り入れや手話通訳士の増員が欠かせない。現在、各都道府県に登録している手話通訳士は約3500人。手話を社会に定着させるには大幅に不足している。そうした基盤整備を進める上でも、手話言語法の早急な制定が必要になる。

手話には「日本手話と日本語対応手話がある」との考えを、国会の動きが今ひとつ鈍い理由として指摘する声もあるようだが、筆者にはとても信じられない。「手話を広める知事の会」に出席した国会議員は、全員が党派を超えて言語法の制定に尽力すると決意表明した。これ以上、事態が進まないようでは「国会の怠慢」と言うしかない。


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