「複合災害の恐れ」
―災害大国日本―
1月22日の大雪(積雪23cm)の日の夕方、赤坂、永田町周辺を通ると、冬用のタイヤやチェーンを用意してなかったのか、緩い坂道を登り切れない車が多く、後続の車が列を作り大混乱していた。
鉄道ダイヤは乱れ、高速道路は3日間も通行止めで、毎度のことながら災害に対する大都市のひ弱さが目につく。加えて翌23日には群馬県・草津白根山の本白根山が噴火、噴石で地元のスキー場で訓練していた自衛隊員1人が死亡、11人が負傷したとのニュースが飛び込んできた。
我国には111の活火山があり、首都直下型地震や南海トラフ大地震がいつ起きてもおかしくない。最近は富士山の噴火を予測する記事さえ、雑誌やWebでしばしば目にする。一連のニュースを見ながら、この国が災害多発国であり、誰もが災害とともに生きていかなければならない宿命にあることをつくづく実感する。
私は昨年11月30日付の
産経新聞「正論」で「災害対策の基本は『自助』にあり」と書いた。大災害、時には大規模な複合災害が予測される中、最後に自分を守るのは自分しかいないという心構えの必要性を訴えたつもりだ。
あの大雪の中で大地震が発生したら?
台風通過時に大地震が発生したら?
私は昭和20年3月10日の東京大空襲の生き残りである。10万人余りが死亡、負傷者数十万人、東京中焼け野原で焼失家屋数は不明の生き地獄であった。それを思うと、今から対処する方法を個人個人が考えておく必要を痛感する。
災害対策ではしばしば「帰宅難民」が問題となっているが、複合災害では帰宅などできるわけもなく、会社に泊まるなど「自分で自分を守る」手立てをしっかり考えておくべきだろう。
大規模災害、ましてや複合災害が発生したら、行政の対応はほとんど無力である。個々人のサバイバル意識が高まっているのであれば幸いだが、水や非常食など災害の備えをする家庭が近年、大幅に減っているとの気になる調査結果もある。
「災害は忘れた頃にやってくる」
昔からの格言である。
しかし「備えあれば憂いなし」
今一度、災害対策の原点である「自助」の精神を確認しようではないか。