「イラン豆知識」
一昨年5月と昨年の3月にイランを訪問した。イランは、北はアゼルバイジャン、アルメニア、トルクメニスタン、東はパキスタン、アフガニスタン、西はトルコ、イラクと国境を接する人口約8000万人の中東の大国である。
アメリカとは今なおギクシャクしているが、日本との関係は、ペルシャ文明の数々の文物がシルクロードを経て日本にも届き奈良の正倉院に展示されていることでも分るように良好である。
イスラム圏には大きく分けるとシーア派とスンニ派が存在する。イランはシーア派で、隣のイラクはスンニ派だったサダム・フセイン政権が倒れた後、イラン・シーア派の影響が増大している。対するサウジアラビアはスンニ派でアメリカとの関係も良好である。
イランでは女性の副大統領が誕生したこともあり、2016年5月には、笹川平和財団やイラン女性・家庭環境担当副大統領府が協力して首都テヘランで「平和と持続可能な開発における女性の役割」をテーマに国際シンポジウムを開催した。安倍昭恵・首相令夫人にも出席いただき、スピーチはもちろん、記者会見にも応じてもらい好印象で迎えられた。イランと日本の関係拡大に民間交流が大切なのは言うまでもない。

シンポジウム会場
ヒジャブを纏った女性たち
イランでも女性の社会活動の重要性は次第に認識されてきている。しかし、女性にはヒジャブ(頭、顔を隠す布)が強制され、街中にイスラム革命防衛隊の監視も残っているようで、女性が男性と手をつないで歩くといった自由が認められているわけではない。サウジアラビアでは不倫は死刑だが、イランでも石打による死刑の宣告例もあり重罪である。
シンポジウムの合間に、これまで知らなかった、いろいろな話を聞いた。以下、気の向くままにイランの豆知識として記します。
1)イランの主食は米。
首都テヘランは、荒涼とした荒地と裸の山に囲まれているが、カスピ海の近くは緑豊かな山岳地帯と田園が広がっているという。
2)イランでは家庭を大切にする。
妻は料理自慢の人が多く、夫が外食するのを嫌う。自分で作った料理を夫に食べさせ、喜んでほしいと思っている。夫は定年退職後も家庭で可能な限り妻の横に座り、話に夢中になるそうだ。定年後は粗大ゴミ、濡れ落ち葉といわれるどこかの国とは大いに違う。
3)イランでは「嫉妬の目」というものを極端に嫌う習慣がある。
例えば新車購入の儀式。4つのタイヤの下に、目に似ている玉子を入れ、「嫉妬の目」をつぶすのが習慣らしい。
4)会社や学校は午前7時〜午後2時。
帰宅後、主食の昼食を家族で食べ昼寝に入る。夕食は9時〜10時で軽め。ヨーグルトを食べることが多い。寝る前に胃に負担をかけないためらしい。イラン人にとって、日本人を含め外国人が朝、ヨーグルトを食べるのは不思議なことらしい。
5)男性がいるところで女性は必ず「ヒジャブ」を被り黒い洋服を纏う。
男性に女性を意識させないためらしい。ただし、女性だけの集まりになれば、それはそれで華やかな服装に彩られるようだ。しかし一歩外に出るときは、黒のマントとヒジャブで没個性的な服装に早変わりする。
6)学校なども一つの教室に仕切りがある。
男女が左右に分かれた授業となり、それならば男女別々の学校にすればよさそうだが、財政上、ままならないそうである。
7)まだまだ従姉弟婚が多い。
近親結婚の弊害も多いようだが、半面、都心部では恋愛結婚や離婚も多く、高学歴の女性は結婚が30歳を超えるケースも増えている。最も、これはこれで問題があるらしい。