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9月23日(金) [2016年09月23日(Fri)]

9月23日(金)

7:30 財団着

8:00-9:00 鳥海美郎 日本財団アドバイザー

9:00 スピーチ打合せ
     
11:30 「義足」事業打合せ

13:00 大竹美喜 国際科学振興財団会長
    丸山茂徳 東京工業大学教授
    戎崎俊一 理化学研究所主任研究員 

15:00 ニッポンドットコム・スタジオ内覧

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新装なったスタジオにて


16:00 鍬本浩司 笹川平和財団・笹川太平洋島嶼国基金事業室長

16:30 前川美湖 笹川平和財団・海洋研究調査部海洋政策チーム

18:30 運輸総合研究所・懇親会(挨拶) 

「第5回放射線と健康についての専門家会議」―甲状腺課題の解決に向けて― [2016年09月23日(Fri)]

「第5回放射線と健康についての専門家会議」
―甲状腺課題の解決に向けて―


チェルノブイリ原発事故から30年、福島原発事故から5年半が経過した。日本財団では9月26、27の両日、福島県立医科大、長崎大学、笹川記念保健協力財団との共催で「第5回放射線と健康についての福島国際専門家会議」を福島市で開催する。

タイトルは「福島における甲状腺課題の解決に向けて〜チェルノブイリ30周年の教訓を福島原発事故5年に活かす」。世界保健機関(WHO)、原子力放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)、国際原子力機関(IAEA)や福島県立医科大、長崎大など内外の専門家が参加、甲状腺がんに焦点を絞り、科学的証拠の検証や住民に対する長期の健康見守り事業の在り方などを検討し、今後に向けた提言をまとめる予定だ。

過去4回の会議などで示された各国際機関や専門家の見解は「福島原発事故に伴う被爆レベルは放射線による影響がみられない程に低く、将来的にもその可能性は低いだろうとデータが示している」とする点でほぼ一致している。その一方で事故発生当時18歳以下だった福島県内の子供37万人を対象にした甲状腺調査の結果、130人を超す子供が甲状腺がんの手術を受けている事実もある。

背景に甲状腺がんや導入された甲状腺超音波検査に対する認識の違いがあると思われるが、何よりも放射能に対する不安が事態を一層、深刻化させている面が強い。日本財団と笹川記念保健協力財団ではチェルノブイリ原発事故で10年間にわたり18万人の子供たちを診察支援した実績があり、専門家会議はチェルノブイリ事故で甲状腺被害を調べた専門家の見解や福島の現状に対する各国際機関の報告を基に、福島の現状をより正確に把握するのを目的としている。

私はチェルノブイリや福島の原発事故で特に科学者に対し「信念と責任を持って、分かり易い言葉で真実を伝える勇気持ってほしい」という願いを強く持ってきた。東日本大震災6カ月後に開催した第1回の専門家会議の提言には「私たち科学者は、もっと国民に易しい理解のできる言葉で説明する能力に欠けていた」との自己批判も入っている。

半年も前の話になるが、公益財団法人日本科学協会が日本財団の助成を受け実施する笹川科学研究助成の研究発表会・研究奨励の会が4月、東京都内のホテルで開かれ、私は研究生を前に以下のような話をした。

「福島原発事故が起きて突然1ミリシーベルトとか100ミリシーベルトとか、馴染のない言葉が氾濫し人々を恐怖のどん底に陥れました。中には名の通った先生が何の検証結果もないのに“10万人の人が癌で死ぬ”といった発言をし、メディアがその方向に動いてしまった面もあったように感じます。私はその時、新聞の投稿欄に、除染基準となった1ミリシーベルトに疑問を投げ掛けました。インドのケララ州のように天然の放射線が10ミリシーベルトを上回る地域が世界には数十カ所もあるのに何故1ミリシーベルトなのか。海外の放射線学者からも驚きの声が出ましたが、結局これが除染基準となり、故郷を離れた人たちに、もう故郷には戻れないという恐怖心をトラウマとして植え付けてしまったのです。

原発に賛成とか反対と言っているのではありません。当時の福島の住民の避難と健康の問題について話しています。ある新聞は福島にいた方が北海道で甲状腺がんを発病したと一面トップで報じました。山で採れるキノコや山菜は内部被爆を起こすから絶対に食べてはいけない、という記事もありました。私に言わせれば、自分たちの故郷の山で採れた山菜が食べられないというストレスの方が遥かに大きいのです。だから科学者を目指す皆さんには、何が真実か、責任を持って語る勇気を持ってほしいのです」

会では日本科学協会の大島美恵子会長も「研究というものはあなた方自身の研究ではなく、人間社会の未来をより豊かに、より安全にするための研究であり、研究者だけの世界であってはいけません」とするとともに、「皆さんの専門的な研究、課題をお聞きしても難しくてさっぱり分かりません。どのように分かりやすい言葉で国民の人たちに説明できるかということも科学者を目指す皆さんには大変重要なことです」と指摘された。

福島の甲状腺被害をめぐっては現在も専門家の間で激しい議論が続いている。Webを開いても「福島の議論はなぜ決着がつかないのか:科学の限界と科学者の責任」、「福島の甲状腺がんが被爆影響と認められなかったら追及されるもの」、「政府側科学者たちの不審な言動」といった激しい見出しが目に付く。

第5回国際会議では現実を踏まえた冷静な議論を通じて国民にも理解されやすい提言がまとまるよう期待している。

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