「日本財団パラリンピックサポートセンター」
―その支援理由―
日本財団は、2020年のパラリンピックを全面的にサポートし、オフィスの提供、翻訳、通訳、経理事務等のバックアップをすることにした。今一つ知名度の低いパラリンピックを国民に啓蒙し、2020年を成功に導きたいと願っている。
ロンドンが良い例である。パラリンピックに力を注いだ結果、ロンドンは大成功した。今やパラリンピックの成功なくしてオリンピックの成功もはない。
日本財団は、何故100億円もの巨費を投じてパラリンピックを支援するのだろうかとの疑問の向きもあろうかと思う。
日本財団は、長く障害者支援活動を国内外で行ってきた。国内では福祉施設の建設、作業所支援、障害者の海外留学、手話言語法制定へ向けての活動、国際的には途上国の障害者学生の海外留学、義手・義足校の設立、障害者の組織化、職業訓練、障害者による文化・芸術祭の開催等々、枚挙にのぼる。
かつて日本財団では時代の要請の中で、日本の郊外に老人ホームや障害者施設を建設し、支援を行ってきた。その結果、町の中は健康な人だけの生活の場になってしまった。昔は盲人がいたら子供でも自然に手を引いたり道案内をしたものである。
近代化が進む中で、子供たちのみならず大人までが弱者に対する思いやりがなくなってしまったことに気付き、以来20年、箱物(施設)の建設支援は一切行っていない。かわりに障害者や老人の移動サービスのための自動車配備を徹底してきた。現在国内では約4万台の車両が日夜活動しており、クロネコヤマトに匹敵する台数である。6〜7年使用された車両は二次活用として、整備と若干改造を経てミャンマー、スリランカ、ペルーなどで活躍しており、多くの病院で喜んで使っていただいている。
長々と日本財団の障害者支援活動を述べたのは、障害者と健常者が共に垣根なく生活できる環境を社会に定着させたいからである。その意味において、障害者スポーツ、文化・芸術活動、起業家の成功等は健常者に感動を与えるものであり、失意に落ち込んでいる健常者が障害者の成功を見て発奮する人もいるだろう。
又、障害者は常に国や地方自治体の援助で生活していると思っている人が多い。事実そのような方々も存在するが、安倍首相が推進する「一億総活躍社会」が実現すれば、障害者も納税者へと一変させることもできるはずであり、大規模財政赤字の改善にもつながる。
日本財団は今、国連の中にも障害者の活躍の場を作るべく活発に活動している。地球規模で障害者が夢と希望を持ち、健常者に感動と生きる力を与える存在になってもらいたいものである。
るる述べたことでご理解いただけたと思うが、日本財団は健常者も障害者も共にコミュニティーで生活できる社会の形成を目指している。今回のパラリンピックサポートが、夢の実現の大きなステップになるようにしたいものである。
パラリンピックサポートセンター内部
窓側左はオープンで明るい25競技団体のスペース