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笹川 陽平
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国際開発ジャーナル「ミャンマーの現況と日本」 [2015年11月16日(Mon)]
「ミャンマーの現況と日本」


国際開発ジャーナルは主に日本のODAや、海外で活躍するNGOや企業の情況を掲載する専門月刊誌です。

70年近い少数民族武装勢力とミャンマー政府との紛争解決に向けた経緯が記されており、読者のご批判も参考にしたいと思い、掲載しました。

**************


国際開発ジャーナル
2015年10月号


Special Interview
〜日本財団会長 笹川陽平氏に聞く

積極的平和外交のモデルとなるか

大詰め迎えるミャンマー少数民族問題
70年以上にわたり政府と少数民族との間で武力紛争が続いてきたミャンマーで、10月15日、停戦協定が締結された。一部勢力は不参加ながら、和平の実現に向け一定の成果が上がったと言える。その立役者が、軍政時代から同国に入り、辺境地への支援を積極的に行ってきた日本財団の笹川陽平会長だ。2013年2月からは「ミャンマー国民和解担当日本政府代表」として奔走してきた同氏に、和解交渉の経緯と今後の展望を聞いた。
(聞き手: 本誌主幹・荒木光弥/本誌編集長・玉懸光枝)


政府と武装勢力の仲介に奔走
―少数民族武装勢力との和平交渉が大詰めを迎えていますね。

笹川 ここまで詰めに詰めてきた。この国には、7割のビルマ族に加え、100を超える少数民族が暮らしている。中でも大きく17グループの少数民族武装勢力が、今日まで政府側と闘い続けてきた。70年超の紛争の歴史は、そう簡単に解決される問題ではない。
 私は、彼らを理屈で説得するのではなく、「この人なら信頼できる」と思ってもらうため、1度より2度、2度より3度と回を重ね彼らを訪ねた。ゼロ泊3日の出張もあった。22時に自宅を出て羽田空港から夜半過ぎの飛行機に乗り、バンコク経由でタイの地方都市に移動して少数民族のリーダーと面会し、夕刻に現地を出てバンコクに戻り、深夜便で翌朝帰国しそのままオフィスに出勤することを3週間続けたこともある。また、信頼を醸成するために武装勢力リーダーの墓参りに渡航したこともあり、この3年間の訪問は50回に上る。
 協議がたびたび中断し、あわや決裂かという場面にも何度も直面したが、そのたびに私は政府と少数民族側の双方から仲介を頼まれた。45年以上祖国を離れ、パスポートもない少数民族武装勢力のリーダーの身の安全を保証した上で政府側との交渉の席に連れて行ったり、政府側から要望されて、中断した和平交渉の再開に向け、再交渉の場を設けたこともある。
 少数民族武装勢力が節目の場面でわれわれを活用してくれたのは、彼らと信頼関係が構築できたからだと思う。9月上旬の和平交渉では、「大統領と国軍司令官との会談に同席してほしい」との正式な依頼文書を17の少数民族武装勢力側から書面でいただいた。

──今のミャンマー政府側にまとめ役がいないということですか?

笹川 政府側の担当責任者は、アウン ミン大統領府付大臣だ。2012年には大統領府の管轄の下でミャンマー平和センターを立ち上げるなど、少数民族問題の解決に積極的に取り組んでいる。
 私自身の関与は、対話の場のセッティングや費用の支援、あるいは世界におけるミャンマーの客観的な状況に関する情報提供にとどめ、指図は一切しない。これはあくまでミャンマーの国内問題で、外国から干渉が入ると複雑化するからだ。外部者が上からの目線で「民主主義」や「人権問題」をかざして介入しても、うまくいかない。
 これまで日本が音頭を取って紛争問題を解決した事例はないだけに、ミャンマー和平が実現すれば、そのプロセスは日本にとっても積極的平和外交のモデルとなる。これまでの努力が実を結ぶかどうか、もう少し時間が必要だ。

平和の果実をすべての人々に
──日本政府はミャンマーの少数民族対策として5年間で100億円を計上しています。

笹川 予算規模は十分だ。ミャンマーは今後、産業が発展し、雇用が生まれ、都市部の多くのビルマ族は民主化の恩恵を実感するだろう。しかし、少数民族武装勢力も含めて皆に平和の果実を分かち与え、少数民族の中にも平和を希求する気持ちを醸成しなければ、この問題の解決はあり得ない。こうした支援を継続しているのは日本だけであり、われわれはその先遣隊だ。
 今後、本格的な停戦が実現したら、日本財団は日本の国際NPOやNGOと共に、それぞれの得意分野を生かした積極的な人道支援活動を実施したい。その後、国際協力機構(JICA)がインフラ整備を開始する―。この国の開発には、そうしたステップが必要だ。ミャンマーを舞台に、アジア的な紛争解決のモデルを作りたい。

──大いに賛成だ。少数民族武装勢力側が武器を手放せないのは、政府に不信感があるためです。和平の実現には、生活を豊かにし、政府への信頼を醸成するしかないという意味で、少数民族問題の支援には非政府組織が一番適しています。

笹川 常に中立の立ち位置でいるためには、非常に気も使う。例えば、私はこれまでどの国でもその国の民族衣装を着ることにしてきた。それにより、親近感がより醸成されるからだ。ミャンマーでもテイン セイン大統領との会談ではビルマ族の民族衣装を着ていたが、最近は少数民族側の立場も考慮し、洋服を着るようにしている。
 その一方で、ミャンマーには民主主義の受け皿としての市民社会ができ上がってきているのも事実だ。1988年に民主化運動に立ち上がった「88世代」がその代表格だ。今日のアジアでメディアが完全に自由化されているのは、日本とミャンマーぐらいだ。来たる11月8日の総選挙には日本からも選挙監視団を派遣し、私がその団長を務める。この国の少数民族問題は非常に複雑な連立方程式だったが、政府側も少数民族側もよくここまでがんばったと思う。
 日本の政府開発援助(ODA)も、要請主義を金科玉条にする時代は終わったのではないか。特に、国際機関を通じた援助は日本の顔を見えにくくしている。外国への人道支援にはもっと日本のNGOを活用し、日本の援助だと知らせる必要がある。そのためにも、ミャンマーの少数民族対策として計上された100億円は、すべての人々に「和平の果実」を実感してもらえるよう活用したい。
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