「中国の小話」その63
―中国のノーベル賞受賞者―
二人のノーベル賞受賞で、日本中が明るい話題に沸いている。
本当にお目出たいことで、一日本人として誇らしく嬉しいことである。
大村智先生のオンコセルカの特効薬は、日本財団でも1991年から2006年まで、総額$1,014,103でへレンケラー・インターナショナル財団を通じて購入。アフリカの人々のお役に立ったことも喜びであった。
ところで、中国でも中国大陸で活躍する自然科学者が初めてノーベル賞を受賞したニュースで賑わっている。過去のノーベル賞受賞者で、中国人、或いは中国出身者の数が決して少ないわけではない。しかし、いずれも今回の受賞者とは違うのである。
【問】中国人でノーベル賞を受賞した人はいるの？
【答】いっぱいいるよ。しかし、皆、外国籍なんだ。
丁肇中（物理学賞）、李遠哲（科学賞）、朱棣文（物理学賞）、崔琦（物理学賞）
賽珍珠（文学賞）、銭永健（化学賞）など、皆そうだよ。
【問】中国の国籍を持つ者でノーベル賞を受賞した人はいないの？
【答】いるけど、皆、中華民国（台湾）人だよ。
李政道（物理学賞）、楊振寧（物理学賞）などがそうだよ。
【問】中華人民共和国の国籍でノーベル賞を受賞した人はいないの？
【答】いるけど、自分が中国人であることを認めていないんだよ。
フランスにいる高行健（文学賞）がそうだ。
【問】中華人民共和国でノーベル賞を受賞した人はいないの？
【答】いるけど、我々は彼が中国人だとは認めていないんだ。
ダライ・ラマ（平和賞）がそうだよ。
【問】自分も政府も中国人民共和国の人民だと認めたノーベル賞受賞者はいないの？
【答】いるけど、今、刑務所にいるよ。劉暁波氏（平和賞）だよ。
だから今回初めて中華人民共和国の国籍で、しかも中国国内で活躍するノーベル賞受賞者が
生まれたんだ。屠呦呦氏（生理学・医学賞）だよ。
彼女は「三無科学者」（博士学位無し、海外留学の経験無し、国家アカデミーにあたる
中国科学院と中国工程院院士の資格無し）なんだ。
こんな目出たいことはないね。
中華人民共和国万歳！！
屠呦呦さん、乾盃！！
屠呦呦さん
※参考
中国出身のノーベル賞受賞者
丁肇中 中国系アメリカ人、1957年物理学賞
李遠哲 台湾生まれのアメリカ人、1986年化学賞
朱棣文 中国系アメリカ人、1997年物理学賞
崔 琦 中国河南省生まれ、アメリカ国籍取得、1998年物理学賞
銭永健 中国系アメリカ人、2008年化学賞
李政道 中国系アメリカ人、1957年物理学賞
楊振寧 中国系アメリカ人、1957年物理学賞
高行健 中国江西省生まれ、フランス国籍取得、2000年文学賞
ダライラマ 法王、中国籍、1989年平和賞
劉暁波 中国吉林省生まれ、中国籍、2010年平和賞
莫 言 中国山東省生まれ、中国籍、2012年文学賞
屠呦呦 中国浙江省生まれ、中国籍、2015年生理学医学賞
注：賽珍珠（パールバック/Pearl S. Buck）
中国に40年間在住したアメリカ籍作家。（中国系ではない）
1938年ノーベル文学賞を受賞。
ハンセン病制圧活動記 (51)
