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11月18日(月) [2013年11月18日(Mon)]
11月18日(月)

13:00 国際グループ事業打合せ

14:30 玄 秀盛 日本駆け込み寺代表

16:00〜17:00 「語り場」日本財団職員との対話

17:00〜18:00 「語り場」日本財団職員との対話

18:30 西澤 豊 時事通信社社長
「福島原発 放射線1ミリシーベルト問題」その1 [2013年11月18日(Mon)]
「福島原発 放射線1ミリシーベルト問題」その1


国際原子力機関(IAEA)の調査団は、日本政府が目標として掲げる被ばく線量『年間1ミリシーベルト以下』に必ずしもこだわらなくとも良いとの見解を示した。

この重要なメッセージに、日経、産経、読売が社説で論評したが、反原発の朝日、東京、毎日は、自らの社論に都合が悪い内容だったのか、論評はなかった。

日経は「1ミリシーベルトでは目標が高すぎて非現実的だなどと批判もあり、除染の進め方をめぐる論議に一石を投じた形」と評した。産経は「非現実的な目標が復興の妨げになる弊害を、外部の客観的な視点から指摘したもの」と評価。読売も「適切な指摘」とし、環境省に対し「IAEAの見解に添い、徐染を加速させることが求められる」と強調した。
以上は、世界日報10月31日、「メディアウオッチ」から引用させていただいた。

筆者はここで原発是非論を述べるつもりはない。原発事故発生後の被災地の住民の安全確保、特に健康管理についてである。

筆者は3月11日の事故発生以来、メディアを通じて流れる一部科学者や物知り顔の専門家と称する人々の、まさに「煽り(あおり)行為」と言っても過言ではない報道の洪水に心を痛めていた。

日本財団は、チェルノブイリでの10年間の救済活動で、約20万人に及ぶ精密な子どもの健診を実施した経験があり、その詳細な報告書は国際的にも高い評価を受けていた。しかし、メディアは何の興味もなかったのか、問い合わせもなく、この貴重な経験が生かされることはなかった。

その中心として活動した長崎大学の山下俊一教授が福島で「健康問題」で指揮をとることになり、チェルノブイリの教訓が生かされると期待していたが、メディアは教授の片言隻句(へんげんせっく)を取り上げ、非難の嵐どころか、退任さえ求める声で湧き立った。何遍も激励する筆者に、WHOを中心に国際機関でもまれてきた強靭な精神力を持つ教授は、「笹川さん、心配しないでください。私は福島の住民の健康管理に命を懸けていますから」と、常に冷静であった。

孤軍奮闘する山下教授の心中を想い、「チェルノブイリの経験を生かし、東京で国際的な放射能の専門家を集めて会議を開き、市民に放射線についての正しい啓蒙活動を行いましょう」と提案したところ、「笹川さん、それは是非、被災地の福島県で願いたい」とのことで、被災から6ヶ月後の9月、世界一流の放射線専門家の出席を仰ぎ、福島県立医科大学で『放射線と健康リスク』に関する国際会議を主催した。

09.11 会議で挨拶.jpg
会議で挨拶


その2ヶ月後に『正論』に投稿した1ミリシーベルトは実現可能な数字なのか』は、その後2年を経過した現在でも説得力のある一文であると考えている。

読者諸子には、今一度お読み願いたいと、再度アップするものです。

****************

【正論】日本財団会長・笹川陽平 
1ミリシーベルトは実現可能な数字なのか


2011年11月29日
産経新聞 東京朝刊


 「福島の状況はチェルノブイリに比べ限定的で被曝(ひばく)線量も低く、怖がる必要は全くない」、「福島の子供たちの甲状腺での線量は低く、このレベルで何らかのリスクがあったケースはない」−。日本財団がこの9月、福島県立医科大で開催した「放射線と健康リスク」に関する国際会議に出席した内外第一線の専門家は、2時間を超す長時間記者会見でこう言い切った。

 ◆チェルノブイリとは違う
 2日間にわたる会議では、全県民を対象に福島県が実施する健康調査の重要性や政府と地方自治体、国際機関などによるタスクフォースの設置など8項目を内容とする「結論と提言」をまとめ、会議を後援した政府にも提出した。

 日本財団では1986年に起きたチェルノブイリ原発事故の後、20万人を超す子供の国際調査を10年以上支援。会議は、この中で培われた世界保健機関(WHO)や国際原子力機関(IAEA)、国際放射線防護委員会(ICRP)など専門機関とのネットワークを利用して実現し、両事故の違いが会議の焦点のひとつとなった。

 チェルノブイリ事故では大爆発した炉が2週間にわたって燃え続け、ロシア、ウクライナ、ベラルーシを中心に広大な地域に放射性物質が飛び散った。自身も被災者であるウクライナ医学アカデミーのチュマック博士は「福島の状況はチェルノブイリとかなり違う」とした上で、避難を余儀なくされた場合の悲惨さとストレスを指摘、「住民が福島を離れるのは害の方が大きい」と語るなど、冒頭の見解が大勢を占めた。

 ◆遠のく故郷に戻る道
 前置きが長くなったが、私はかねて、正反対と言っていいほどに開きがある難解な原発論議の現状が国民の不安を助長し、国や行政の選択肢を狭める結果になるのを危惧してきた。環境省が先に打ち出した除染の基本方針を見ると、この懸念が現実になった気がする。環境省はこの中で、年間の被曝線量が20ミリシーベルトを超える地域を「特別除染地域」に指定し国が除染を行う一方、20ミリシーベルト以下〜1ミリシーベルト以上の地域は自治体が除染を行い国が財政支援する、とした。当初、5ミリシーベルト以上を下限としていたが、自治体や住民の反対で1ミリシーベルト以上に広げたという。

 果たして1ミリシーベルトが実現可能な数字だろうか。国が除染の対象とした以上、誰もがこの数字を安全性の基準と見る。作業が遅れれば不安が広がり、環境省がいくら年20ミリシーベルト以下の地域の避難は不要と呼び掛けても被災者が故郷に戻る道は遠のく。

 除染が不要と言っているのではない。しかし、除染にはただでさえ気が遠くなるような時間がかかる。チェルノブイリの除染作業は2065年の完了を目標に現在も続けられている。5ミリシーベルト以下から1ミリシーベルト以下にしたことで、福島県内に限られた対象地域は周辺の栃木や茨城、群馬、千葉にも広がる。莫大(ばくだい)な費用を見通すのも難しく、作業を担う自治体や住民の負担も重くなる。
 福島大が東電福島第1原発の周辺8町村の全世帯を対象に行ったアンケートで、回答を寄せた人の4分の1以上、34歳以下では過半数が「自宅に戻らない」と答え、その理由(複数回答)として8割以上が「除染が困難」を挙げるなど、住民が除染の難しさを先取りしている面もある。

 ◆福島で住民と向き合え
 加えて、年1ミリシーベルトとなると世界平均で年2・4ミリシーベルトとされる自然放射線との兼ね合いも出てくる。国際会議でもICRPのゴンザレス副委員長はインドをはじめ世界各地に高い放射線を発する地域がある点を指摘、「年20ミリシーベルトは危険な数字ではない」と語った。

 今は平時ではない。依然、非常事態が続いている。1ミリシーベルトは平時の目標値であり得ても、非常時の選択としてはあまりに実現困難な数字ではないのか。当初の5ミリシーベルトならともかく、1ミリシーベルトに広げたことで、復興への道のりが見えなくなったような気さえする。英紙フィナンシャル・タイムズも11月10日付の特集で、仏核物理学者の見解として、住民が避難すべき基準を年10ミリシーベルト以上とするとともに1ミリシーベルトを「非現実的」と指摘した。

 世界では多くの国が今後も原発を必要とし、老朽化が目立つ施設も多い。広島、長崎の原爆に加え、原発事故も経験した日本がこの危機をどう乗り越えるか、世界は注目している。その経験と教訓は世界の共有財産ともなる。

 事態を前進させるには、学者・専門家が広島、長崎やチェルノブイリのデータを基に「信頼のおける統一見解」を示すことで、国民の不安を少しでも緩和するしかない。会議では「自分たち科学者は住民が分かるようなコミュニケーションがうまくない」との反省の言葉も出た。専門家は今こそ被災地に入り分かりやすい言葉で住民の疑問に直接答えるべきである。

 住民が不安から故郷を離れるのは原発事故の最大の悲劇である。福島県民の絆を保つためにも国、自治体、専門家は一致して協力する必要がある。
(ささかわ ようへい)

*20日(水)につづく
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