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「インド・ニューデリー訪問」その1 [2011年08月17日(Wed)]


トイレで寝泊まりし、手術の順番を待つ女性


「インド・ニューデリー訪問」その1


ハンセン病制圧活動で42回目のインド訪問だが、4日間、ニューデリーだけに滞在する出張は初めてである。

ニューデリーは、昨年英連邦の国際スポーツ大会が行われたため、飛行場、道路も完備され、名物の車のクラクションも少なく、道路を歩く牛も一頭しか見なかった。高層ビルは制限されており、ホテルからの展望は緑の木々に覆われ、まるでヨーロッパのような佇まい。オールドデリーと比べ、別の国のようである。

一見平穏に見える風景だが、近年、経済成長著しい世界最大の民主主義国家で中層階級も急速に増大していることは喜ばしいことだが、当然のことのように難問山積であり、深刻でもある。

ホテルの部屋に配布されたインドの有力紙「ヒンドゥスタン・タイムズ」8月3日の朝刊には、病院の診察を待つ女性が、使用されていない男便所で寝泊まりしている写真が掲載された。

インド最大の病院であるデリーの全インド医学科学研究所(All India Institute of Medical Science – AIMS)は1日に何と、1万人の患者を診察し、約320件の外科手術を行う。それでも数千人の患者が治療を待っており、患者は家族や友人に伴われてくるので、待つ人の数は厖大である。

救急患者以外で手術を待つ日数は数日から長い人では2年も待機している。半数の診察希望者はデリー以外の他州からの貧しく旅費や滞在費もない人々である。したがって診察の順番がくるまで公衆便所、地下鉄の駅、高速道路の下などで生活して順番を待つ。

Ramrati(女性45才)さんは、心臓の弁の手術を行う予約をとるために2ヶ月も待っている。2週間前まで病院の敷地内の木の下で暮らしていたが、病院側が気の毒に思って病院の外にある使われなくなった男子トイレを使用するよう計らってくれた。

日本の医療制度は健康保険も完備され世界最高水準である。アメリカでは共和党の反対を押し切って、ようやく保険制度確立へ一歩進んだ。経済発展著しい中国には、国民保険も老人介護制度もない。

世界人口約60億人の3分の1の約20億人は一日1ドル以下の貧困層といわれる。医者の診察は勿論のこと、近代的医薬品を一度も手に入れることなく「神のおぼしめしのままに」といって亡くなっていく人々も大勢見てきた。

何とかこの人々を救いたいと考えたのが、それぞれの国の歴史・文化に根ざした伝統医薬品の活用であった。値段は西洋医薬品の10〜20分の1である。効能と品質はそれぞれの国の保健省に責任を持って管理させ、「富山の薬売り」方式で各家庭に薬箱を配布。使用した分だけ後日支払うもので、モンゴルでは日本財団の成果を確認して全家庭に配布する国家プロジェクトの法案が準備されつつあるという。

筆者はこれを全世界の貧しい人々に普及したいと願っている。
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