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7月20日(水) [2011年07月20日(Wed)]


トゥアンデラ首相より勲章を授与


7月20日(水)

7:30 朝食

8:40 サコ国務大臣、サル教育技術大臣、ナム初等・中等教育大臣

10:10 メディアインタビュー

10:50 DAMARA保健センター

12:00 フォクト国連連絡事務所長

12:40 マイカWHO代表と昼食

14:00 FAIRMED財団・ドリド代表

15:20 記者会見

19:00 トゥアンデラ首相主催夕食会・中央アフリカ政府より勲功章授与




メディアインタビュー

「マッセイ大学Sylffプログラム」20周年記念式典 [2011年07月20日(Wed)]


挨拶は鼻とオデコをつけて
マッセイ大学・マハレイ学長


「マッセイ大学Sylffプログラム」
―20周年記念式典―


マッセイ大学はニュージーランドを代表する大学である。

Sylff(笹川ヤングリーダー・フェローシップ・ファンド)は、世界44ヶ国、69の著名な大学の修士・博士課程の学生に授与されるもので、1987年、アメリカのフレッチャースクールを皮切りに続々と設立。今回はマッセイ大学とオーストラリアのオーストラリア・ビジネススクールの2校が20周年の節目を迎え、式典参加のため2泊5日という変則的なスケジュールで訪問した。

式典は、先方の出席者が30人弱という簡素なものであったが、20年前とは異なり、ちょっと変わった式典であった。

式典の前に、突然担当の先住民族マオリ人より式典の作法についての説明があり、学長挨拶の後にマオリ人がマオリ語の歌を唄うので、当方も筆者のスピーチの後に何でもいいから唄えという。

先方の出席者が起立し、マオリ人の低音による祈りの中を当方が入場し、対面する形で着席。筆者のスピーチの後、当方へ唄の番がまわってきた。幸い、同行者に日本財団を代表するテノール?・小沢直がおり、「千の風に乗って・・・私のお墓の前に・・・」を独唱。歌詞はともあれ、なかなかなものであった。

握手をしながらお互いの鼻とオデコをつける挨拶は初めてのことであり、近年、少数民族のマオリ人対策に神経を使っている様子がわかる一幕であった。

当然、ニュージーランドではラグビーの話が中心になる。今年は世界選手権がご当地ニュージーランドで開催される。勇壮なオールブラックも、最近はフランス、南ア、英国のウェールズ、スコットランド等も強く、予断は許さない。

東チモールの独立記念日で披露されたようなマオリ人兵士の勇壮な戦いの踊りも、オールブラックスの試合前の独特な踊りもなく、式典は静かに終了した。


****************


マッセイ大学SYLFFプログラム
20周年記念スピーチ


2011年6月27日
於:ニュージーランド・マッセイ大学
(原文・英語)

2月22日にニュージーランドのカンタベリー地方で発生した大地震では、130年の歴史を持つクライストチャーチ大聖堂の塔が倒壊した他、クライストチャーチ市で観測史上最大規模の液状化現象が発生し、4万から5万の家屋が被害を受けたと聞いています。その模様は日本でも毎日のように報道され、映し出される映像に日本国民が胸を痛めておりました。その矢先の3月11日、今度は日本で大地震が起こりました。この地震では、地震そのものの被害も甚大でしたが、その後襲ってきた大津波が一瞬にして人や家やビルを飲み込み、場所によっては集落全てを根こそぎ飲み込みました。私は高さ39メートルの津波に襲われたある町を訪れましたが、町の原型が残っておらず、陸には巨大な船がいくつも打ち上げられていました。私は自然の驚異に改めて恐怖を覚えたのと同時に、その津波を目の当たりにした方たちのことを思うと胸が痛んでなりません。今回の震災で2万4000人近くが犠牲となり、今も9000人近くが行方不明のままです。かろうじて生き残った人々も、その多くが家族や友人を失うのみならず、家や財産を失い、厳しい現実に身も心も衰弱しています。

その方たちを救おうとこれまでに国内外から多くの支援をいただいておりますが、なかでもここニュージーランドにおかれましては、自国の被災から2週間余りしか経過していない中、政府をはじめ多くの方々が日本への支援を表明して下さいました。そして地震発生からわずか48時間後、交通網が遮断され、余震が続いていたにもかかわらず、レスキュー隊が現地に入り、救助活動を開始して下さいました。この「友情」と「思いやり」にどれだけ多くの被災者が勇気づけられ、どれだけ多くの日本国民が感謝したことでしょう。私自身、ニュージーランドと日本の友好関係の深さを再認識した次第です。

さて、今年はマッセイ大学にSylffプログラムが設置されてから20年になります。尊敬するHon. Steve Maharey副学長をはじめとするSylff運営委員の皆様、そしてSylffフェローの皆さんにお目にかかれることができ、大変喜んでおります。本事業は、基金の寄贈を行う日本財団と、この管理及びフォローアップを一手に引き受ける東京財団、そして実際に奨学金の運営に関わる設置大学の3者が共同で実施しています。ここニュージーランドでは、マッセイ大学のたゆまない努力により、これまでに多くの優秀なフェローが世に送り出されました。関係者の皆様のご尽力に深く敬意を表します。

24年前に開始されたSylffプログラムは、社会が抱える課題に果敢に取り組み、解決策を示していくことの出来るヤングリーダーを育成することを使命としています。グローバルな視点に立ち、強い使命感を持ち、それぞれの専門分野で力を発揮できるポテンシャルを持つ人をフェローとして選出し、選ばれた方が将来リーダーとして活躍できるよう、必要な知識や能力、或いは経験を積めるようなプログラムになっています。

そして将来みなさんには、社会が抱える様々な問題に取組んでいただき、人々の生活に少しでも良い変化をもたらせられるようにリーダーシップを発揮して欲しいと思います。私はこれまでにSylffプログラムを終えた大勢のフェローがそれぞれの専門分野で培った知識や経験を存分に発揮し、人生をかけて尚足りないくらいの大きな目標、即ち「大義」を掲げ立派なリーダーとして社会を牽引している姿を見て参りました。今年はマッセイ大学にSylffプログラムが設置されて20年という節目の年でもありますので、Sylffフェローが目指すべきリーダーとは何かを、今一度確認したいと思います。

まず、リーダーとして仲間と協力しながら社会が抱える困難な問題に立ち向かい、私自身もおおいに刺激を受けたSylff フェローの方々をご紹介したいと思います。90年代前半、セルビアは、政治的混乱の影響からハイパーインフレが発生し経済は深刻な打撃を受けていました。まさにその混乱期にベオグラード大学でSylffフェローとして学んでいたのがDr. Dejan Soskicです。彼は2010年7月、セルビア国会の承認を受け同国中央銀行総裁に就任いたしました。Dr. Dejan Soskicは現在も総裁として、物価や外国為替市場におけるセルビアアディナールの安定化等、国家の金融課題に取り組んでいます。

また、NGOで活躍しているSylffフェローもいます。90年代後半、コンゴ民主共和国は政府と反政府勢力による内戦の渦中にあり、現在も内紛は続いています。非戦闘地域であっても政府の治安維持機構が機能せず、無法地帯となっている地域すらあります。この惨状を少しでも良くしたいと想ったFr. Rigobert Minani-Bihuzoは、90年代後半にSylffフェローとしてイタリアのペドロ・アルペ社会研究センター(Institute of Political Education Pedro Arrupe)で学びました。卒業後、彼はGroupe JeremieというNGOを立ち上げ、コンゴ民主共和国の民主化のために今も活動を続けています。

2000年以降のSylffフェローもリーダーとして、困難な問題に挑んでいます。イスラエルとパレスチナ自治政府の和平交渉が2000年に決裂して以来、イスラエルとパレスチナ双方の自爆テロが頻発するなど、情勢は混迷を極めています。この時期にアメリカのタフツ大学フレッチャースクールでSylffフェローとして学んだDr. Amal Jadouは、現在PLO Misssion in Washington D.C.のdeputy chiefとして、パレスチナ外交の第一線で活躍されています。私は「大義」を掲げ大きな目標の達成に向けて活躍しているリーダーを輩出できたことを大変喜ばしく思うのと同時に、せっかくの機会ですので、実際に彼らにお会いして感じた信頼されるリーダーに必要な能力について3つほどご紹介したいと思います。

まず最初に、物事をしっかりと整理し、的確な判断を下せる能力です。先ほどお話した3人の例からも分かりますように、「大義」のある大きな仕事は複雑で、問題を取り巻く状況も流動的です。このような問題に取組んでいくためには、多岐にわたる情報や知識を集めるだけでなく、分析をし、時勢や情況、情勢を見極め、どの方針を取るのか、どのような手段を用いるのか、冷静かつ的確な判断がリーダーには求められます。広い視野を持った思慮深い判断力は、リーダーにとって欠かせない能力の一つです。

また、「大義」のある大きな難しい (challenging) 仕事に取組んでいくには共に働く仲間が必要です。そして、彼らのモチベーションが社会をより良くするための原動力となります。よって仲間たちのモチベーションを維持し、更に高めていく能力はリーダーにとってとても重要です。社会の課題が大きければ大きいほど、簡単には結果がでず、時には失敗することもあるでしょう。そのような場面では、チームやグループ、或いは組織のメンバーの課題解決に向けたモチベーションが低下してしまうことが往々にしてあるので、リーダーは仲間を鼓舞(encourage)し、モチベーションを維持することが求められるのです。

3つ目は、必ず夢や目標を達成しようとする献身的なコミットメントを持って困難に立ち向かい、リーダーとして最後まで挑戦し続けられる能力です。人種差別が激しかった1950年代60年代のアメリカで、公民権運動の指導者であったキング牧師はまさに、この献身的なコミットメントを有していた偉大なリーダーであったと言えるでしょう。人種差別撤廃という「大義」の下に非暴力主義を掲げ、自宅の爆破や投獄など、自らの身を危険に晒してまでも「大義」を全うするために、群衆の先陣をきって活動されました。彼の示した献身的コミットメントに、多くの人が感銘を受け、今なお社会に影響を与えているのです。このような献身的なコミットメントは、リーダーとして重要な資質です。

少しでも良い社会を作りたいという目標に向かって邁進し、的確な判断を下せること、仲間のモチベーションを高めること、そして献身的なコミットメントを持つこと。これらの能力を活かし、Sylffフェローが世界の様々な課題解決に取組んでいるチームやグループ、そして組織のリーダーとして活躍してくれています。

そして私自身の経験からもう一つ加えさせていただくとすれば、今までの枠組みにとらわれずに、豊かな想像力(Imagination)を様々な場面でめぐらせてほしいと思います。グローバル化により一層多様性が増し、社会の状況が目まぐるしく変わる昨今、自分が見たり触れたり、経験したことのない世界で課題解決に取組む機会が多くなります。そのような環境で、課題に解決策を示し、より多くの社会の発展に貢献していくためには、想像力豊かに取り組んでいくことが大事です。これらを参考にしていただき、私はSylffフェローの皆さんに少しでも良い社会を実現するためにそれぞれ目標をたてて、それに向かって邁進していただくことを心から期待しています。

最後になりますが、ニュージーランドと日本は地理的には離れておりますが、多くの(42)都市で姉妹関係を結んでおり、スポーツであったり、ホームステイであったり、何百という交歓がいつも行われています。また、日本からは毎年多くの留学生がニュージーランドを訪れ勉学に励んでいます。その背景には、ニュージーランドが日本と非常に良好な関係を保っているということが言えると思います。どうか、これからもニュージーランドと日本の友好関係(フレンドシップ)を末永く続け、更に深めていくことができれば、一人の日本人としてこれ以上の喜びはありません。本日は在ニュージーランド日本大使でいらっしゃいます三田村英人大使にご臨席賜り感謝申し上げます。
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