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―温暖化「島嶼国の叫び」を世界に― [2026年06月29日(Mon)]

―温暖化「島嶼国の叫び」を世界に―


産経新聞【正論】
2026年6月12日


急速な温暖化で海にも海水温の上昇やサンゴの白化など、さまざまな異変が起きている。最も深刻な影響を受けているのが、温室効果ガスの排出量が世界の1%にも満たない小島嶼(とうしょ)国だ。

停滞する温暖化防止を加速させるためにも小島嶼国の訴え・叫びを国際社会が共有することが何よりも必要。そんな考えで日本財団は6月3、4両日、東京都内で世界島嶼国海洋会議を開催した。

温暖化に関連して、小島嶼国に特化した国際会議が民間主導で開催されるのは異例のケース。外務省とユネスコ政府間海洋学委員会(IOC/UNESCO)の協力(共催)も得た。

≪天皇陛下ご臨席≫
太平洋、インド洋、カリブ海など世界の小島嶼国35カ国の首脳や閣僚、さらに20を超す国連機関や研究機関の関係者ら約300人が出席する会議となった。

初日の開会式には天皇陛下と訪日中のノルウェーのホーコン皇太子もご臨席いただき、天皇陛下から「国際協調によって地球規模の課題の解決につなげようとしていることに敬意を表します」との、お言葉を賜った。

高市早苗首相からは「会議を主導した日本財団に敬意を表します」との激励もいただき、身に余る光栄に責任の重さを改めて痛感した。

小島嶼国は太平洋などに点在する島国で、国連による公式な定義は「小島嶼開発途上国(SIDS)」。37の国連加盟国と20の自治領、非独立地域からなる。国連環境計画(UNEP)が2025年に発表した報告書によると、24年に世界で排出された温室効果ガスは二酸化炭素(CO2)換算で577億トン、うち小島嶼国からの発生は全体の1%に満たない。

しかし、激甚化する大型暴風雨など気候変動の悪影響を最も大きく受ける。南太平洋に位置するツバルのように温暖化による海面上昇で満潮時の水没危機に直面する国も出ている。

小島嶼国連合(AOSIS)の議長で、海洋会議の共同議長を務めたパラオのウィップス大統領は「海は今、私たちの地域社会が適応できる速度よりも速く変化している」、「現在の海洋ガバナンス(統治)は最も脆弱(ぜいじゃく)な立場にある人々に対して十分機能していない」と国際社会の取り組みに不満を述べた。

≪危機の最前線≫
気候変動を巡る国際会議は近年、何度か開催されている。しかし、「先進国と途上国の対立」や「各国の利害関係」などが複雑に絡み、“待ったなし”の状況にある温室効果ガスの削減も思うように進んでいない。最前線で海と危機に向き合う島嶼国の訴えを国際社会は真剣に受け止め、共有する必要がある。

広大な排他的経済水域(EEZ)、国連での投票権もあって、島嶼国の結束は国際社会を動かす力に成長しつつある。日本では太平洋島嶼国中心のイメージが強かった島嶼国問題を世界に広げるため、今回は世界の島嶼国に広く参加を呼び掛けた。

日本財団は1988年に「太平洋島嶼国会議」を開催して以降、一貫して海の課題に取り組み、158カ国で2000人を超す海の専門家を育ててきた。そのネットワークが世界の海底地形図作成や、いまだ90%が発見されていない海洋生物の新種発見など多くのプロジェクトを可能にしている。

今後は島嶼国が国際社会とのつながりを強化し、地域、世代を超えて、未来を切り拓(ひら)いていく必要がある。そのためにも、まずは小島嶼国の将来を担う人材育成を急ぎたく考える。

今後、気候問題のハブ機能を持つ組織を東京に設けるほか、5年後に2回目の世界島嶼国海洋会議を開催。当面10年間に1億米ドル(約160億円)の支援を予定している。

会議を共催したIOC/UNESCOは海洋科学や海洋観測などの調査・研究を国際的に推進する国連唯一の専門機関。海の保全と利用を両立させるため「持続可能な海洋計画と管理(SOPM)」の普及に努めている。共に手を携え、150を超える加盟国の協力も得たいと考えている。

≪健全な海を引き継ぐ責任≫
高市首相からは「異常気象や海面上昇に苦しむ国や地域への支援に取り組む」との力強い表明もあった。わが国は1万4000を超す島からなる島嶼国家、その先頭に立つ責任がある。そうした取り組みが、落ち込みが目立つ国際社会での発言力を取り戻す力にもなる。

日本人は古来、すべての命を育む海を「母」に例え、敬い、慈しんできた。温暖化の防止は、海の保全と持続可能な利用が両立して初めて、現実的な実現可能性が見えてくる。

海の未来なくして人類の未来はない。現在を生きるわれわれには、1000年、2000年後の子孫に健全な海を引き継ぐ責任がある。そんな思いを込め、「民」の立場で海洋問題に向き合っていく決意を新たにしている。(ささかわ ようへい)

「バングラデシュ野党指導者来訪」 ―二国間関係の意見交換― [2026年06月22日(Mon)]

「バングラデシュ野党指導者来訪」
―二国間関係の意見交換―


バングラデシュでは2024年にハシナ政権が崩壊し、新たに選挙が行われ、野党「ジャマート・イ・イスラム」の指導者シャフィクル・ラフマン氏一行が日本財団を訪問し、意見交換が行われた。

以下、5月7日付Deshkal Newsの記事(和訳)を掲載します。


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バングラデシュ・ジャマート・イ・イスラムのアメール議員、シャフィクル・ラーマン博士が日本財団会長の笹川陽平と会談



バングラデシュ・ジャマート・イ・イスラムの野党指導者でアメール議員のシャフィクル・ラーマン博士は木曜日、日本財団の笹川陽平会長と会談した。

会合には、党中央執行委員会のメンバーであるサイフル・アラム・カーン・ミロン議員と、野党党首の外交顧問であるミル・アフマド・ビン・カセム・アルマン議員が出席した。

議論は、バングラデシュと日本の関係、人道協力、教育・医療開発、若者のエンパワーメント、持続可能な社会進歩を中心に展開された。

ラフマン博士は、バングラデシュへの継続的な支援に対し、日本政府と日本財団に感謝の意を表し、7月の民衆運動で被害を受けた家族への支援、特に負傷者のリハビリテーションへの支援を同財団に要請した。

両者はまた、ロヒンギャ危機、地域情勢の安定、バングラデシュの民主化移行についても意見交換を行った。

笹川氏は、財団が今後もバングラデシュの発展、人材育成、人道支援活動を支援していくという決意を改めて表明した。

能登の地域交流拠点「みんなの憩いの場」 ―稲垣さん・草gさん・香取さんありがとう― [2026年06月08日(Mon)]

能登の地域交流拠点「みんなの憩いの場」
―稲垣さん・草gさん・香取さんありがとう―


能登半島地震で被災した石川県輪島市で5月3日、地域住民らの交流拠点となる施設「らいか堂」が開所した。施設は、日本財団と稲垣吾郎さん、草g剛さん、香取慎吾さんによる「新しい地図」が共同運営する「LOVE POCKET FUND(愛のポケット基金)」の支援により整備されたもので、高齢者をはじめ地域住民や復興支援関係者らが集う場としての活用されることが期待される。

以下、5月3日付サンケイスポーツの記事を掲載します。

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石川・輪島市の交流施設「らいか堂」の開所を祝う人々



元SMAPの稲垣吾郎(52)、草g剛(51)、香取慎吾(49)によるプロジェクト「新しい地図」が日本財団と共同運営する基金「LOVE POCKET FUND(愛のポケット基金)」が能登半島地震の支援として決めていた交流施設「らいか堂(旧名称・コミュニティBASEうるしはら)」が3日、石川・輪島市で開所した。

「らいか堂」は高齢者を中心に地域住民、復興支援関係者、医療関係者らが日常的に訪れ、交流できる拠点として設置。昨年2月に同基金が能登半島地震支援プロジェクトの第5弾として施設開設のため1億3105万7301円の寄付が決定したと発表していた。

この日、同市内で開所式が行われ、3人は仕事のため出席できなかったが、コメントを発表。

草gは「(尽力した)『ごちゃらあと』の皆さんは、ご自身も被害を受けた中で何度も立ち上がり、これまで輪島市の皆さんを支え続け、本当に大変な日々だったと思います」とねぎらい、香取は「輪島市の皆さん、一緒に力を合わせご協力くださり、本当にありがとうございました。直接この気持ちが伝えられなくて残念ですが、少しでもそちらに僕たちの気持ちが届けば、と思います」と感謝した。

稲垣は「地域で受け継いでいきたいものが『らいか堂』という場でこれからもはぐくまれていくよう、僕たちは離れてはいますが心はひとつ、これからも寄り添っていけたらと思います」と誓った。

能登の地域交流拠点「みんなの憩いの場」 ―日本財団、8ヶ所計画の2番目― [2026年06月05日(Fri)]

能登の地域交流拠点「みんなの憩いの場」
―日本財団、8ヶ所計画の2番目―


日本財団では、能登半島地震の支援事業を現在も懸命に続けている。先般は、元SMAPの稲垣吾郎さん、草g剛さん、香取慎吾さんによる「新しい地図」と日本財団が共同運営する「LOVE POCKET FUND(愛のポケット基金)」が整備した交流施設「らいか堂」を紹介したが、日本財団は同時に能登各地で8ヶ所の交流拠点づくりを進めている。今回は、特に被害の大きかった珠洲市で、2番目となる交流拠点が完成した。

以下、朝日新聞社の上田真由美記者による4月28日付記事を掲載します。


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珠洲市 立ち止まり、泣ける場所に


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新たな交流拠点「中田文化額装店」の前で話す北沢晋太郎さん(右)



■能登の記者ノート
快晴の下、チューリップが咲く庭で子どもたちが駆け回る。4月中旬、石川県珠洲市の市街地にできた交流拠点の完成を祝う場で、主催者が口にした一言にはっとした。

「ちゃんと、泣ける場所をつくりたくて」
話したのは、北沢晋太郎さん(37)。ここで仲間と子どもの居場所を運営してきた。能登半島地震で建物が壊れ、日本財団の助成で能登に8カ所できる交流拠点の2番目として新築した。そのお披露目の場でのことだった。気になって、後で尋ねた。

「ちゃんと、悲しめていない気がして。やることがありすぎて忙しい。でも、みんな一人の人間。立場を脱いで、もっと感情を出していいんじゃないか。僕だって、そう」

心当たりはあった。この2年余り、「いまが踏ん張りどき」と走り続ける人たちにたくさん会った。この会場にも、きっと笑顔の奥で気持ちが張り詰めたままの人たちがいるのだろう。

拠点を設計した建築家の廣岡周平さん(40)は「路地のように出会いがあり、役割にとらわれない空間にしたかった」と説明した。細長い建物は奥に進むとカフェスペースや小上がりがある。様々な過ごし方をする人たちが、自然と交わる仕組みだ。

さまざまなものを包摂した家について、北沢さんは言う。「復興のためにと、決めることを急ぎがち。ここに来たら立ち止まって、本を読んだり相談したり考えたり。そういう場所にしたい」

「クリーンエネルギーの人材養成」 ―長崎市に施設完成― [2026年05月27日(Wed)]

「クリーンエネルギーの人材養成」
―長崎市に施設完成―


日本は世界と比べ、クリーンエネルギー、特に洋上風力発電を担う人材育成で大きく後れを取ってきた。日本財団は長年、技術者をイギリスやノルウェーへ派遣するなど人材育成に取り組んできたが、このたび、国内で本格的な訓練を行う独自の洋上風力人材育成施設が長崎市に完成した。

以下、4月28日付の日本経済新聞の記事を掲載します。

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日本財団洋上風力人材育成センターは「技能訓練棟」を新設した(長崎市)


長崎市伊王島町の「日本財団洋上風力人材育成センター」に新棟が建設され、28日、関係者に公開された。同センターは洋上風力発電の建設やメンテナンスを担う技能者の国内最大の訓練拠点として2024年にできた。

これまで提供してきた安全訓練に加えて、5月からは電気や油圧、機械などの技能訓練を新棟で行う。


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敷地内には風車の機械室「ナセル」の実物もある(長崎市)


同センターはNPO法人の長崎海洋産業クラスター形成推進協議会が運営する。欧米の風車メーカーなどが入る非営利組織「GWO」の基準に沿った作業員向けの訓練を、風車メーカーや建設会社、メンテナンス会社の社員らに提供する。

24年に「安全訓練棟」ができ、25年度は高所作業や応急処置などの訓練を約300人に実施した。新設した「技能訓練棟」では機械作業の知識を伝える。

30年に合わせて年間1000人の受け入れを目指す。「洋上訓練タワー」を整備し、実海域で船からタワーに乗り移る訓練も27年に始める方針だ。

協議会の副理事長を務める松尾博志氏は「日本の洋上風力産業の人材不足を解消する基盤として貢献できる」と話した。建設や機材購入などを含む事業費30億円は日本財団が助成している。

長崎では五島市沖で戸田建設などが浮体式の風車群による国内初の洋上風力発電所の運転を1月に始めた。西海市沖では住友商事などが着床式の洋上風力発電事業を計画している。

「聴覚障害者へ新たな支援」 ―日本財団電話リレーサービス― [2026年05月22日(Fri)]

「聴覚障害者へ新たな支援」
―日本財団電話リレーサービス―


三重県では、聴覚障害者が手話通訳を介して24時間警察に連絡できる新たな取り組みが始まった。このシステムは、日本財団電話リレーサービスが提供している。

以下、4月24日付朝日新聞小林裕子記者の記事を掲載します。

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交番不在時でも手話通訳
県警導入、24時間利用可能


県警は23日、県内の交番60カ所と駐在所125カ所のすべてで、勤務員が不在でも聴覚障害などのある人が手話通訳を介して警察署に連絡できるサービス「手話リンク」を始めた。

 手話リンクは日本財団電話リレーサービスが提供する。室内に掲示された二次元コードをスマートフォンなどで読み込めば、手話通訳オペレーターとのビデオ通話につながる。オペレーターを通して各警察署の署員と話す仕組み。データ通信料を除き、無料。24時間利用できる。

 交番や駐在所には、勤務員が不在の場合に備え、警察署に直接つながる固定電話が置かれている。ただ、聞き取りや発話が困難な人には使いづらかった。

 この日は、津駅前交番で、聴覚障害のある県聴覚障害者協会の深川誠子会長(56)がサービスを体験した。「困った時にいつでも安心して交番に行ける。手話が広がり、いろんなところでこのような環境が整ってほしい」と期待した。

 県警本部地域課の米田元彦次長は「取り組みを広く知ってもらい、必要な機会に活用していただきたい」と話した。

―国の「生命線」海運の安定強化を― [2026年05月13日(Wed)]

―国の「生命線」海運の安定強化を―


産経新聞【正論】
2026年5月7日


わが国は貿易(輸出入)のほぼ100%(重量ベース)、500kmを超す国内の長距離輸送の50%以上を海運に頼り、国内貨物も約40%を内航海運が担う。

海運は四方を海に囲まれた海洋国家・日本にとって文字通り生命線。どう健全に維持・発展させていくか、国の将来を左右する命題でもある。

≪船員不足と「ネットゼロ」≫
しかし近年、深刻な船員不足と2050(令和32)年に温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにする「ネットゼロ」の実現という2つの難題に直面している。

まず船員不足。現在、日本の海運会社が運航する外航船は3500隻前後、約95%はパナマやリベリアなどに船籍を置く便宜置籍船だ。1970年代前半に5万人を超えた日本人船員は現在約2千人。全体の約3・5%に減り、フィリピンなど外国人船員に頼る混乗船が大半で、有事の際、どこまでこの形が維持できるか、安全保障上の課題が残る。

一方、内航船舶は約5200隻、船員数は約2万2千人。日本人船員による運航を前提とした昭和41年の閣議了解もあって外国人船員の雇用は原則として認められていない。

令和5年現在、内航船船員の26%が60代以上。見張り不十分や不適切な操船などヒューマンエラーが海難事故の80%を占めるという。急速に進む少子化・人口減少を前にすると人手不足の解消は難しい。

船舶の自動化・無人化が現実的な解決策と考えられ、日本財団は2020年、造船や海運、通信など幅広い企業と協力して40年に内航船の50%無人運航化を目指すプロジェクトを立ち上げた。

今年3月には、プロジェクトで新造された内航コンテナ船など4隻に、地上2カ所の支援センターから衛星通信経由で指示を送り、複数の船が同時に自動運航する世界初の試みも公開された。

4隻は人の介入が不要な「レベル4」の自動運航技術を使って神戸港〜東京港間などを運航し、桟橋への離着桟も行われた。4隻とも自動運航船として国土交通省の船舶検査に合格しており、既に商用運航を開始している。

わが国には1万4千を超す離島がある。うち人が住む有人離島は417(令和2年現在)。昭和30年ごろから始まった人口流出で本土を結ぶ航路の縮小・廃止が続いてきた。利用者の減少と船員不足で、この流れがさらに加速する恐れがある。

政府は日本の領海や排他的経済水域(EEZ)の根拠となる15地域71島を「特定有人国境離島地域」に定め、財政支援に乗り出している。近く東京都の新島、式根島など4地域6島を追加指定する方針と聞くが、自動運航船こそ離島の人口流出の歯止めになり得ると期待する。

≪整ったオールジャパン態勢≫
一方、脱炭素化。温暖化に伴う豪雨災害や山火事が世界各地で多発する中、2015年に採択されたパリ協定は、「産業革命以降の気温上昇を1・5度に抑える」との目標を設けた。

これを受け、国際海事機関(IMO)も50年頃までに温室効果ガスをゼロにする方針を打ち出し、日本政府も同時期までに温室効果ガスの排出をゼロにするカーボンニュートラル宣言を発表した。

海運から排出される二酸化炭素(CO2)は全体の約2・5%に当たる年間約9・2億トン。いくつかの国で次世代の燃料にアンモニアやメタノールなどを使う船の開発が進められているが、中心は大型の外航船。こうした現状を受け22年に「内航船水素利用コンソーシアム」を立ち上げた。

運航事業者や造船所、メーカーなどと協力して、究極のクリーンエネルギーである水素を燃料とするゼロエミッション船の開発を目指すのが狙い。研究拠点となる「水素エンジンR&D(研究開発)センター」も2年前、広島県福山市に完成しており、30年までの実用化を目指している。

温暖化防止の観点からも、ゼロエミッション船の開発は必須であり、急を要する。

開発が進めば、中東情勢の深刻化でホルムズ海峡が封鎖され、原油価格が高騰する今回のような事態を避ける道も見えてくる。両プロジェクトとも造船、海運、舶用機器など舶用メーカーのほかに商社やAI、通信、自動車など幅広い企業が参画し、オールジャパン態勢ができている。国との連携も進み、今後、幅広い官民協力で事業が軌道に乗ると期待する。

≪海洋国家としての責任≫
近年、各種調査で国の将来を不安視する声が、次代を担う若者を中心に増えている。背景には、世界が激しく揺れ動く中、社会の基幹システムやインフラを今後も安定した形で維持できるのか、といった不安がある。

海運は基幹インフラであり、船員不足も新たな燃料の開発も国際社会が共通して直面するテーマである。海洋国家・日本がその対策の先頭に立つべきは言うまでもない。
(ささかわ ようへい)

「日本財団 暗黒酸素に挑戦」 ―光合成以外に酸素は発生するのか― [2026年05月11日(Mon)]

「日本財団 暗黒酸素に挑戦」
―光合成以外に酸素は発生するのか―


私たちは学校で、酸素は光合成によって生成されるものと学んできた。しかし、海底5000メートルの無酸素状態と考えられてきた暗黒の世界において、なぜ生物の存在が可能なのか大いなる疑問であった。

深海の熱水孔が噴出するところでは、エビのような生物が集まっている映像を目にしたこともあり、何らかの化学反応で酸素が生成されているのではないかとの疑問を抱いている。先般訪問した世界的な海洋研究機関のウッズホール海洋研究所の専門家も、確かにそのように考えられるが、科学的に解明されたわけではないとの見解であった。

今回の話は、日本近海の深海底に数多く存在する、ソフトボール大でレアメタルを多く含む「マンガンノジュール」から酸素が発生している可能性があるとの、スコットランド海洋科学協会のスウィートマン教授の研究発表を受けたものである。これを踏まえ、日本財団はこの研究を成果あるものにするため、支援を行うこととした。

以下、1月20日付海洋ニュース&テクノロジーの記事(原文英語)を掲載します。

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深海の「暗黒酸素」の謎に迫る世界初の着底装置を公開


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地表の約1,200倍の圧力に耐えることができる世界初の着底装置(ランダー)2基が、海洋の最も深い謎の一つ――「暗黒酸素はどこから生まれるのか」――の解明に貢献することが期待されている。


スコットランド海洋科学協会(SAMS)のアンドリュー・スウィートマン教授は、2024年に、深海に存在する金属団塊が酸素を生成している可能性があることを発見し、大きな注目を集めた。これらの団塊は希少金属を含み、数千メートルの深海における生物分布の理解を深める可能性がある。太陽光が届かない環境であるにもかかわらず酸素が生成されている可能性は、光合成など太陽光に依存した酸素生成という従来の科学的理解に疑問を投げかけるものである。

しかし、この酸素が深海の暗闇の中でどのように生成されているのかは、いまだ明らかになっていない。日本財団はこの課題の解明に向け、3年間の研究プロジェクトに資金提供を行っている。本プロジェクトには、スウィートマン教授に加え、ボストン大学の地球生物学者で火星探査ローバーにも関わったジェフリー・マーロウ教授、そしてノースウェスタン大学の著名な化学者フランツ・M・ガイガー教授が参加している。

研究チーム(日本財団「暗黒酸素研究イニシアティブ(DORI)」)は、この謎の解明のため、宇宙探査機器を思わせる高度に専門化された2基のランダーを設計した。スウィートマン教授の娘にちなんで「アリサ」「カイア」と名付けられたこれらの装置は、団塊が海水と自発的に反応して電気を生み出すのか、あるいは生化学的プロセスが関与しているのか、もしくは未知の要因が存在するのかを検証する。

スウィートマン教授は次のように述べている。
「これらのランダーは非常にユニークであり、英国で最も深い海域に到達できる唯一の装置です。深海における生命がどのように酸素を得て生存しているのかという、根本的な問いに答えるためには、極めて高い圧力に耐える必要があります。」

日本財団の支援には、この世界初のランダーの建造が含まれている。ランダーは今春、太平洋中央部のクラリオン・クリッパートン帯(CCZ)に投入され、初期結果は年内に得られる見込みである。本プロジェクトは、IOCユネスコにより国連「海洋の10年」の活動として認定されている。

日本財団の海野光行常務理事は次のように述べている。
「3名の第一線の研究者と連携し、暗黒酸素の謎の解明に向けた研究に着手しました。本研究を通じて、すべての国に資する具体的な科学的知見を提供することを目指しています。日本財団としては、深海の保全と持続可能な利用のバランスを図るための政策判断や行動を後押しすることを目的としています。」

DORIの重要性について、マーロウ教授は次のように述べている。
「私たちの惑星の仕組みについては、まだ分かっていないことが非常に多くあります。こうした大きな問いは、通常は他の惑星を探査する際に扱われるものであり、私たち自身の地球についてのものではありません。微生物が進化の過程で獲得してきた驚くべき能力を踏まえると、多金属団塊の内部で実際に何が起きているのかを解明できることを大いに期待しています。」

研究チームは、ランダーに加え、「水中渦共分散法(Aquatic Eddy Covariance:AEC)」と呼ばれる装置も投入する予定である。これにより、対象海域における酸素のフラックス(移動量)を測定し、酸素生成のパターンや、他の環境要因が関与しているかどうかを明らかにする。アリサとカイアは、水サンプルの採取、団塊の精密測定、化学トレーサーの導入などを行い、水の酸化に関連するプロトンの存在を検出する。これは、電気分解による酸素生成か、その他のメカニズムかを区別する上で重要な指標となる。

ガイガー教授は次のように述べている。
「暗黒酸素とその発生源については依然として不明な点が多いものの、これまでに回収された団塊の一部を用いた実験室での研究では、顕著な電圧が発生することを確認しています。しかし、こうした電位がどのように形成されるのか、また深海底の極めて高い圧力環境下でどのように酸素が生成されるのかについては、まだ解明されていません。」

さらに、
「本研究は、これらの団塊がどのような仕組みで酸素を生成しているのか、その正確なメカニズムを特定することを目的としています。また、海洋環境がその機能に影響を与えているのか、あるいは全く別の要因によるものなのかについても明らかにしていきます。」

スウィートマン教授は次のように締めくくっている。
「これはまさにグローバルな研究プロジェクトであり、その成果も世界的な影響を持つものです。暗黒酸素が確認されている可能性のある海域は複数存在しています。本研究の結果は、地球上の生命に関する最も大きな謎のいくつかを解明する手がかりとなる可能性があり、大変興味深いものです。」

暗黒酸素に関する詳細は、dark-oxygen.netをご参照ください。

「海底地図作成27.3%へ」 ―日本財団GEBCOプロジェクト― [2026年04月22日(Wed)]

「海底地図作成27.3%へ」
―日本財団GEBCOプロジェクト―


日本財団は、2017年より大洋水深総図(GEBCO:General Bathymetric Chart of the Oceans)とともに、「Seabed 2030」プロジェクトを通じて海底地図の作成に取り組んでいます。

昨年公表された進捗では、世界の海底の27.3%が地図化されたことが明らかになりました。その範囲は着実に拡大しており、海洋への理解の深化に寄与するものと期待されます。以下、Hydro Internationalの記事(原文英語)を掲載します。

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Seabed 2030最新アップデート:広大な新たな海底エリアの地図化が進展

世界水路の日を記念し、日本財団とGEBCOの共同プロジェクトであるSeabed 2030は、現在、世界の海底の4分の1以上が最新基準で地図化されたことを発表しました。新たに400万平方キロメートルの海底データが追加され、地図化された範囲は世界の海洋の27.3%に達しました。これはインド亜大陸に匹敵する広さです。

この進展は、世界的な機運の高まりの中で実現したものです。先週ニースで開催された国連海洋会議では、世界のリーダーや海洋専門家が、地球規模の課題に取り組むために海洋の可能性を引き出す大胆で協働的な行動を呼びかけました。気候変動へのレジリエンスや食料安全保障に至るまで、海洋は重要な役割を果たしていますが、その多くはいまだに地図化されていません。Seabed 2030は、その状況を変えることを目指しています。

ブルーエコノミー
国際水路機関(IHO)によって制定された世界水路の日は、海洋理解の深化において水路学が果たす重要な役割への認識を高めることを目的としています。今年のテーマ「海底地図化:海洋アクションを可能にする」は、水深測量データがブルーエコノミーの基盤となり、持続可能な海洋エネルギー、沿岸観光、漁業を支えるとともに、生物多様性の保全や気候変動対策に向けた国際的な取り組みに貢献することを強調しています。

津波の早期警報システムの向上から、海底ケーブルの敷設の指針、さらには生物多様性のホットスポットの特定に至るまで、海底データは実社会における的確な意思決定と行動を可能にします。

過去12か月の間に、Seabed 2030は14の新たな組織からデータ提供を受けました。これには、コモロ、クック諸島、ケニア、モザンビーク、タンザニアの5か国からの初めての提供も含まれています。現在では世界中の185を超える組織がデータ提供に参加しており、本プロジェクトは海底の完全な地図化に向けた国際的な支援の拡大を引き続き促進しています。

「日本サッカー協会と日本財団」 ―子ども支援で協定― [2026年04月17日(Fri)]

「日本サッカー協会と日本財団」
―子ども支援で協定―


近年、子どもたちを取り巻く環境は複雑化しており、不登校の増加や自己肯定感の低下など、課題は深刻化しています。日本財団では、子ども支援を最重要課題の一つと位置づけ、次世代を担う子どもたちを支えるさまざまな取り組みを進めています。

このたび、スポーツの持つ力に着目した新たな連携も始動しました。以下、4月3日付の世界日報の記事を掲載します。

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日本サッカー協会(JFA)と日本財団の連携協定締結記者会見に出席した宮本恒靖JFA会長(右から3人目)、日本財団の笹川順平理事長(同4人目)ら


日本サッカー協会(JFA)と日本財団は17日、東京都内で子供支援に向けた連携協定締結の記者会見を行った。

JFAの宮本恒靖会長は「子供たちの未来は日本の未来だ。サッカーには人をつなぎ、可能性を広げる力がある」と連携の意義を強調した。日本財団の笹川順平理事長は、小中学校の不登校が全国で30万人を超える現状に触れ、「未来のある子供たちを支えていく」と述べた。

今回の包括協定で、自己肯定感の低さや体力低下、不登校の増加などの課題解決に向け、スポーツを通じた取り組みを強化する。会見には、社会人野球、茨城ゴールデンゴールズの片岡安祐美監督、日本フィギュアスケーターズ協会の小塚崇彦代表理事、JFAリスペクト委員会防災・復興支援部会部会長の永島昭浩氏も出席した。
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