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「働くことに不安を感じる 8割弱」―第68回「日本財団18歳意識調査結果」― [2025年04月18日(Fri)]

「働くことに不安を感じる 8割弱」
―第68回「日本財団18歳意識調査結果」―


若者たちは「働くこと」に何を思っているのでしょうか。日本財団が2025年3月に実施した「18歳意識調査」では、78.2%の若者が「就職や働くことに不安がある」と回答しました。また、企業選びでは「給与や待遇」「福利厚生」「ワークライフバランス」などが重視され、理想の働き方も多様化しています。例えば、約4人に1人は「定年まで1つの会社で働き続けたい」と答えた一方、転職やフリーランスを望む声も少なくありません。

調査結果の詳細は、以下の4月11日付リセマムの記事および日本財団ウェブサイトよりご覧いただけます。

*******************
18歳意識調査、就職不安78%…理想の働き方が多様化

日本財団は2025年3月、「就職・仕事観」をテーマに68回目の18歳意識調査を実施した。調査の結果、78.2%が就活・働くことに「不安」を感じており、4人に1人が定年まで1つの会社で働き続けたいと答えたことが明らかになった。

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第68回18歳意識調査は、全国の17〜19歳1,000人から就職活動や働くことに対する不安感、理想の働き方などについてインターネット調査を実施した。実施期間は、2025年3月5日〜3月7日。

就職活動、さらに働くことに関しては「どちらかというと」を含め全体の78.2%が「不安がある」と答え、就活対策としては6割弱、特に女性は63%が「資格取得」をあげている。また、企業を選ぶ際に重視することは「給与や待遇が優れている」が過半数でトップ、福利厚生の充実を指摘する声も3人に1人にのぼっている。

理想の働き方では「定年まで1つの会社で働き続けたい」が26%、「より良い就業条件・職場環境を求め何度か転職したい」が24%と僅差で並んだ。そのほか、「特定の企業に属さず、フリーランスとして働きたい」3.1%、「自分で会社を立ち上げたい(起業したい)」4.5%、「転職を重ねながら自分の可能性を探りたい」4.6%、「まだ具体的には決まっていない」27.4%、「特にない」9.8%。

上司や同僚、取引先の人から受けた場合にハラスメントだと思う行為について、既に働いている人も含め尋ねたところ、「ミスについて大声で注意される」が5割を超え、「定められた勤務時刻よりも早く出勤する習慣がつくられている」「交際関係など、プライベートなことについて聞かれる」も約4割にのぼる。

18歳意識調査は、日本財団が選挙権年齢の引下げをきっかけに2018年10月より継続的に実施している。過去の調査結果など、18歳意識調査の詳細は日本財団のWebサイトで確認できる。

「タバコをめぐる世界の動き」―広がる規制強化の波― [2025年04月16日(Wed)]

「タバコをめぐる世界の動き」
―広がる規制強化の波―


近年、世界各地でタバコ規制の強化が広がっている。従来の紙巻きタバコのみならず、電子タバコや加熱式タバコも規制の対象となっている。一方で、日本のタバコ規制は依然として緩やかで、国際的な流れから遅れていると言わざるを得ない。以下、世界の動きをご紹介します。


●カナダ タバコ訴訟で和解案
タバコの健康リスクを巡る集団訴訟で、日本たばこ産業(JT)、アメリカのフィリップ・モリス・インターナショナル、イギリスのブリティッシュ・アメリカン・タバコの3社が総額約3兆5000億円を支払う和解案が調停委員より提案され、裁判は最終段階に入った。

●マレーシア タバコ製品・喫煙規制法を施行
マレーシア保健省は、10月1日付で「公衆衛生のための喫煙製品の規制に関する法(たばこ製品・喫煙規制法)」を施行した。

同法は12月に連邦議会下院で可決。上院での採決および国王の裁可を経て2月に公布されたが、施工が遅れていた。

同法は、たばこ製品の登録、販売、包装、表示、公共の場での喫煙の禁止に関する規則を定めたもの。特に、未成年者へのたばこ製品、喫煙物質、たばこ代替製品の販売、喫煙のためのサービスの提供禁止が盛り込まれている。電子たばこも規制の対象となる。
(2024年9月27日付NNA ASIAより抜粋)

●イギリス 紙巻きタバコ禁止へ
イギリスの下院は16日、2009年1月1日以降に生まれた人が生涯にわたって紙巻きたばこを買えなくする法案を可決した。

リシ・スーナク首相が主導した「紙たばこ・電子たばこ法案」は、383対67の賛成多数で下院を通過した。首相経験者を含む複数の与党・保守党幹部が反対票を投じた。

施行された場合、イギリスのたばこ規制法は世界で最も厳しい部類のものとなる。
(2024年4月17日付BBC News Japanより抜粋)

●香港 タバコ規制強化、新型は保有も禁止へ
香港政府は6日、たばこ規制を一段と強化する方針を発表した。既に販売が禁止されている新型たばこについて、個人使用目的での所持も処罰の対象とすることなどが含まれる。

電子たばこや加熱式たばこなどの新型たばこは2022年に輸入、宣伝、製造、販売、商業目的での所持が禁止されたが、依然として使用者がいることから規制を強化する。販売禁止前に買いだめていた分などが手元にあったとしても、今後は条例違反を問われることになる。

フレーバー付きのたばこも禁止する方向。フルーツなどの風味で刺激を和らげた商品は、青少年や女性が喫煙を習慣化するきっかけになりやすいとの理由だ。
(2024年6月7日付NNA ASIAより抜粋)

●シンガポール 保健省、電子・加熱式タバコ監視を強化
シンガポール保健省は、国内で禁止されている電子・加熱式たばこの使用、持ち込みを阻止するための対策を強化すると発表した。

政府は電子・加熱式たばこが健康に有害で若者の喫煙のきっかけになるとして、所持や使用、売買、輸入を禁止している。しかし、ソーシャルメディアやメッセージプラットフォームを通じた違法販売が横行し、問題となっている。

保健省は関連当局と連携し、今後数ヶ月間にわたって入国時の所持品チェックを強化するほか、オンライン上の販売広告に対する監視を強化し、広告を削除する。

入国時のチェックに関しては、電子・加熱式たばこの所持の有無を申告させ、所持を申告した場合は罰金処分なしで没収する。申告しないで持ち込もうとした場合は罰金を科す。

シンガポールで電子・加熱式たばこを所持、使用、購入した場合は最高2,000Sドル(約22万円)の罰金、売買や輸入では初犯で同1万Sドルの罰金、または最長6カ月の禁錮刑、あるいはその両方が科せられる。
(2023年12月21日付NNA ASIAより抜粋)

●ラオス 電子タバコ禁止へ
ラオスのビライ副首相兼治安維持相は、電子たばこを禁止する方針を示した。若年層を中心に、電子たばこの依存性が懸念されることを受けた措置となる。ラオス・タイムズ(電子版)が11月30日伝えた。

ビライ氏は先に開催された国会で、違法薬物についての規制を改正し、電子たばこを禁止対象に指定するとの方針を報告した。治安維持省は、電子たばこは従来のたばこと同程度に害があり、適切な規制を導入しなければ依存者が増加するとの認識を示している。

ラオスでは8月、首都ビエンチャンのミタパブ病院の医師が、電子たばこが原因の呼吸器疾患で死亡した若者の例を挙げ、利用に警鐘を鳴らしていた。

世界保健機関(WHO)は2022年の報告書で、ラオスではたばこに関係する疾病で年間約6,800人が死亡し、経済上の損失は3兆6,000億キープ(約254億円)に上るとの推計を示した。
(2023年12月5日付NNA ASIAより抜粋)

●バングラデシュ 電子タバコの輸入禁止
バングラデシュ暫定政府は、電子たばこの輸入禁止を発表した。公衆衛生や青少年への影響を低減するため。ファイナンシャル・エクスプレスなどが8日までに報じた。

「輸入方針規則2021―2024」の禁止項目に追加した。ファイナンシャル・エクスプレスによると、今回の禁止は昨年12月12日に暫定政府の諮問委員会で決定した。
(2025年1月10日付NNA ASIAより抜粋)

産経新聞【正論】党利党略の国会論戦に落胆する [2025年04月14日(Mon)]

―党利党略の国会論戦に落胆する―


産経新聞【正論】
2025年4月11日


令和7年度当初予算が年度末ギリギリの3月31日、ようやく成立した。

≪大局を欠く議論≫
党利党略に立った議論ばかりが目立ち、少数与党の中で期待された熟議、激動する国際社会を視野に大局的見地に立った議論は最後まで希薄だった。

わが国は内外とも、かつてない難題に直面し、国民は政治がどのような方針を打ち出すか、注目と期待を寄せていたはずだ。

国会に提案された個々の施策の重要性を否定するつもりはないが、国の進路、将来像など大局に関する議論はほぼ皆無。日本の政治は果たして大丈夫か、不安を抱かせる結果を招いている。

当初予算は4月から1年間の国の運営方針として、石破茂首相が国会に提案した。自信と責任を持って提案した以上、衆参両院の予算委員会審議にも、もっと毅然とした姿勢で臨んでほしかった。
審議が二点三転したのは、小数与党の中で予算を成立させる駆け引きの結果としても、時代が求める強いリーダーとは逆に “ひ弱さ”を感じたのは筆者だけではあるまい。

参院予算委員会の審議を大幅に遅滞させた当選1回の自民党衆院議員に対する石破首相の10万円商品券配布も然り。配布が自民党の長年の慣行だったとしても、「政治とカネ」の問題が長く尾を引く中での配布はあまりに軽率。「李下に冠を正さず」の言葉を引くまでもなく、非難されても仕方がない。

同様に野党に対しても注文を付けたい。今国会でも、高校授業料無料化や所得税の非課税枠「年収103万円の壁」などを巡り、新たな給付や負担減を求める野党案が出された。国民にとって手厚い施策が好ましいのは言うまでもない。

しかし、国債や借入金などを合わせたわが国の借金残高はGDP(国民総生産)の約2倍1300兆円にも膨れ上がり、先進国でも最も深刻な財政状況にある。総額115兆円と過去最大となった令和7年度予算も、一般会計のほぼ4分の1を公債の発行でまかなっており借金残高はさらに膨らむ。

「何の問題もない」という専門家の見方もあるようだが、経済に疎い筆者に言わせれば借金はない方がいい。新年度予算を見ても歳出のほぼ4分の1が国債の償還や利払い費に充てられており、新たな政策の圧迫要因にもなっている。しかも、そのツケは将来世代に回る。

≪財源明示の責任≫
野党の立場にあっても提案する以上、どう財源を確保するのか明示するのが公党としての責任である。深刻な財政の悪化は聞こえのいいバラマキ政策が長く続けられた結果である。財政ポピュリズムと言うしかなく、本来、表裏一体である権利と義務のうち、権利の主張が国民の間に肥大化する悪しき風潮も生んだ。

日本財団が令和5年に全国の17〜19歳1000人に「国会が有意義な政策論議の場となっているか」聞いたところ「そう思う」と答えた若者は「どちらかといえば」を含めても5人に1人だった。2年を経て数字はさらに低下している気がする。次代を担う若者が期待しない政治が、その役割を果たすのは難しい。

わが国は少子化による人口減少で国力も落ち、医療や年金など国の基幹システムが崩壊する事態も懸念されている。国外に目を転ずれば、ロシア、中国、北朝鮮に囲まれたわが国の安全保障環境は急速に厳しさを増し、世界の危険地帯の一つに数えられている。

トランプ氏が2度目の米大統領に就任して以降、米国第一主義に立った強引な関税政策などが矢継ぎ早に打ち出し、世界が振り回され、わが国もその例外ではない。というより、国内政治の低迷もあって何らの対応もできていない現状にある。

事業で年に何回も外国を訪れ多くの要人と会うたびに、国際社会の中で日本の存在感が急速に落ち込んでいる現実を痛感する。存在感が薄れれば外交力は落ち、一度、落ちた力を回復するのは容易ではない。

石破首相は立党70周年の節目となる3月の自民党大会に向け「(有権者に)うけることばかりやっていると国は滅びる」と語った。国の健全な発展を期すため、国民にも負担増を含め、新たな協力を求める決意と理解する。

≪党の明日より国の明日を≫
国難を乗り切るには政治が与野党の壁を超え、国づくりの先頭に立つ必要がある。そのためにも聞こえのいい政策を競い合う政治とは決別しなければならない。7月の参院選に向け、野党だけでなく与党からも減税・バラマキの歳出圧力が強まるような事態は避けるべきである。

国会議員ひとり一人が自分の明日、党の明日より、まずは国の明日を考え、責任と勇気を持って行動されるよう望んで止まない。それが政治の世界を志した人間の心意気である。

(ささかわ ようへい)

「異次元の少子化対策」―人口の1/3は外国人となる― [2025年04月07日(Mon)]

「異次元の少子化対策」
―人口の1/3は外国人となる―


かつて岸田首相は、我が国の人口減少対策として「異次元の少子化対策」なる政策を発表したが、その後内閣も変わり、全く話題にもならなくなったが、専門家の予測より人口減少は急速に進んでいるように思う。

この問題に関連し、『「人口ゼロ」の資本論』の著者である大西広・慶應義塾大学名誉教授の2024年12月11日付講談社オンライン記事を掲載します。

*******************


12月3日に日本財団が公表した2024年の日本の出生数(日本人)の見通しは心胆を寒からしめるものとなった。前年比で5.8%も減り、68.5万人になるのだという。減少ペースがどんどん強まっているのだ。合計特殊出生率も、過去最低だった昨年の1.20を大きく下回り、1.15を割り込む見込みだとするのも衝撃的だ。これは日本だけではない。中国と韓国も恐るべきペースで出生数が減り続け、このままいけば東アジア圏の人口は大幅に縮んでいく。経済学の泰斗で『「人口ゼロ』の資本論 持続不可能になった資本主義』の著者・大西広氏が独自に計算をおこなった、その衝撃の未来とは。

100年後の日本人口は甘く見て3800万人
2021年の日本の出生数は81万人、2022年と2023年のそれが77万人と73万人だったのに続いて2024年は68.5万人となるという出生数予測が発表された(日本総研)。これらはどれも後に述べるように、国立社会保障・人口問題研究所の予測を下回っており、つまり、人口減が予想以上に進んでいることを示している。岸田内閣が2023年に「異次元の少子化対策」をすると述べ、「2023年以内に結果を出す」と述べたことも忘れ去られている。危機感を欠いた認識が問題をさらに深刻化させている。

実際、私は『「人口ゼロ」の資本論』の冒頭でも述べたが、たとえ出生数が2022年の77万人のままで続いたとしても、その赤ん坊も100年後にはほぼ死に絶え、もちろん現在生きている我々も死に絶えている。だから、この77万人の全員がちょうど100歳まで生き続け、かつまた毎年77万人生まれるにしても100年後に存在する日本人口の総数は7700万人となる。現在の2/3である。

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が、この予想はあまりに楽観的なので、今後の平均寿命は86歳になるとし(現在の平均寿命が85歳。今後約10年後に86歳まで伸びるとの想定)、したがって87歳までは全員が生き、88歳で全員が死ぬと想定し直す。かつまた毎年の出生数は2018年に国立社会保障・人口問題研究所が予測した2070年までの出生数(ただし、2022、2023、2024年は現実値および上述の直近の予測値を使っている)とその2120年までの単純な延長を基として計算し直すこととした。「単純な延長」とは、2020年から2070年までの平均変化率による延長であり、図1で示されている。そして、この結果として計算された2120年の日本人口は3799万人となった(注)。

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人口の1/3が外国人になる
この予測はかなりショッキングなものなので、多くの人々にすぐには許容されないかもしれないが、団塊世代が生まれた時の出生数約270万人と比べてすでに年間出生数が70万人を切ったということ自体、時間さえかかるが日本人口が1/4になるということを意味している。そして、その70万人弱という数字もほぼ確実に維持できないからである(そもそも生むことのできる適齢期女性の数が年々減っている)。

しかも、ここ3年間の出生数はこの予測が根拠とした国立社会保障・人口問題研究所の中位予測を大幅に下回っている。例えば2023年の予測が75.9万人であったのに比べて実績値は72.7万人、2024年の予測が75.5万人であったのに比べて直近の推計値(日本総研)は68.5万人となり、予測ミスの幅は広がるばかりである(この結果、図1のこれらの年の値がその後の予測値よりぐっと下回っている)。つまり、もっとありうるのは2120年の日本人口が2000万人台に縮んでしまっているということなのである。

ちなみに、この国立社会保障・人口問題研究所の予測でも、もし現在の合計特殊出生率が1.2から1.0に下がった場合、2120年の高齢者人口比率が50.6%に達するとしているから、それ以上のスピードで人口減が進んだ場合、高齢者比率が2/3とか7割とかになることを意味する。世間にはこのため、今後毎年34万人程度の外国人を受け入れるべしとの意見も存在するが、日本人が60万人台しか生まれない状況で(それ以上に激減する可能性は強いが)、そのような人数の外国人がこの列島に来る場合、遠い将来には人口の1/3が外国人ということとなる。そんな未来図を描いてよいものかどうかが問われるのである。

「障害者スポーツ」―企業は利用だけするな― [2025年04月04日(Fri)]

「障害者スポーツ」
―企業は利用だけするな―


東京オリンピック・パラリンピックでは、特にパラリンピックへの国民の関心は正直なところ薄かったものの、障害者スポーツ団体やメディアの積極的な協力もあり、大いに盛り上がり、企業からのスポンサー支援も大幅に増加し、パリ大会では車いすラグビーが優勝して多くの感動を与えてくれた。

しかしここにきて、人気競技団体は別にして、地味な競技団体の中にはスポンサー収入がゼロのところも出てきたとのことです。

まさか障害者スポーツを単なる宣伝目的で企業が活用しているとは思わないが、スポンサー収入がゼロになった競技団体があるという事実を考えると、正直なところ利用価値ゼロとの企業判断があったとしか思えない。誠に残念なことです。

一流企業だけで600兆円の内部留保金があります。社会貢献活動の一環としてこれらの団体にささやかな協力をされることは、従業員にとっても誇りになるのではないでしょうか。大阪に「ダスキン」という会社があります。東南アジアの障害者を日本に招聘し、何十年にもわたり、彼等の生活に必要なさまざまスキルを教育してきました。決して派手な宣伝もせず、地道にスキルを教えてくれております。

スポーツを通じて夢と希望を持って生きる障害者のために、ささやかな協力をしようではありませんか。

9つの競技団体は「P.UNITED」を設立し、スポンサー収入の増加に向けた取り組みを始めた。世界には約12億人の障害者がおられるという。「P.UNITED」の活躍に期待すると共に、能登地震で多くの国民が支援金を寄せたように、日本人の「利他の心」を発揮し、企業は勿論のこと、国民レベルでも協力して、世界に誇れる「障害者スポーツ」にしようではありませんか。

以下、2024年11月23日付共同通信の稲本康平氏の記事を掲載します。


*******************

年間スポンサー収入「0円」の競技団体も…障害者スポーツ「マイナー」に危機感 助成金頼み、窮状を打開できるか


障害者スポーツのうち馬術や射撃など「マイナー」とされる競技の運営が、助成金に頼らざるを得ない状況に陥っている。2021年のパラリンピック東京大会後、スポンサー支援などが低迷し、収入に占める助成金の割合が7〜9割の競技も。9競技の団体は2023年6月に新組織「P.UNITED」を設立し、窮状の打開に向けて連携することでスポンサー収入などを増やしたい考えだ。パリ大会が閉幕し、4年後のロサンゼルス大会を見据えた取り組みが注目される。(共同通信=稲本康平)

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▽年間スポンサー収入はフェンシング0円、アーチェリー30万円…  
「助成金がいつまでも続く保証はない。このままでは運営が立ちゆかなくなる」。日本パラ射撃連盟の理事でP.UNITEDのプロジェクトマネージャー、野口尚伸さん(59)は危機感を募らせている。

P.UNITEDを設立したのは▽射撃▽馬術▽フェンシング▽アーチェリー▽カヌー▽カーリング▽パワーリフティング▽知的障害部門の卓球▽知的障害部門の競泳―の9競技団体。  

各団体への9月11日までの取材によると、直近の事業年度収入は2770万〜9340万円(平均5270万円)。助成金は1970万〜8770万円(平均3960万円)だった。収入に占める助成金の割合はフェンシングが99%と最も高く、馬術は9割、パワーリフティングは8割、射撃と知的障害競泳、カーリングの3競技は7割を超えている。

スポンサー収入は▽フェンシング0円▽アーチェリー30万円▽パワーリフティング170万円▽馬術290万円▽知的障害競泳390万円。残る4競技団体は440万〜700万円だった。  

▽資金難、競技に集中できず…選手の苦悩
射撃の運営状況は厳しい。2021年度に0円だったスポンサー収入は550万円に増えたものの、現在5人の強化指定選手でさえ、選手1人当たりで平均50万円程度かかる海外遠征では、選手への補助は10万円。国内遠征は原則全て選手の自腹という。

射撃はライフルやピストルで最大50メートル先の的を狙って得点を競う。銃口の角度や位置を定め、トリガー(引き金)を引く。球技のように体を大きく動かすことはないものの、高い集中力が求められる。障害があっても取り組みやすい競技だ。野口さんは「この競技が運営できなくなると、重い障害がある人の可能性を閉ざすことになる」とこぼす。

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射撃の岡田和也選手(手前、提供:IPC)=2024年、パリ


パリ大会の射撃に出場した岡田和也選手(55)は「資金難をダイレクトに感じ、強いストレスがある」と語る。

カヌーも同様の境遇にある。パリ大会に出場した宮嶋志帆選手(33)は、会社員として働いた給料から遠征費などを負担して競技を続けている。「競技に集中したいのに、お金のやりくりについて考えないといけない」と嘆く。  

▽助成金だけでは競技の普及や選手の発掘は難しく
各競技団体は、日本財団パラスポーツサポートセンターや日本パラリンピック委員会が拠出する助成金のほか、スポンサー収入などを元手に、選手の遠征費や強化合宿費、職員の人件費、イベント開催費などを賄っている。

ただ助成金の使い道は原則として、遠征費など選手の活動費に限られているという。スポンサー収入や寄付金がなければ、競技の普及や選手の発掘などは難しい。

知的障害部門の競技は身体障害部門の競技と比べてスポンサー獲得の難易度が「高い」という声も。日本知的障がい者卓球連盟の石川一則理事長は「身体障害部門の競技のように選手の外見で障害が分かれば『頑張っている』と共感してもらいやすいが、知的障害部門は本人の苦労が見た目だけで分からないので、社会的に応援してもらいにくい」と話す。

▽かつては「門前払い」だった企業に変化も
P.UNITEDはパラリンピック対象競技を含む障害者スポーツの体験会や、選手が登壇する講演会などのイベントを手がけている。9月22日には東京・秋葉原の「ベルサール秋葉原」でパラスポーツの体験イベントを開催。延べ約1万2千人が参加した。各ブースは、パリ大会に出場した選手らと交流したり、競技を体験したりする人たちでにぎわった。

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竹守彪選手(知的障害)と卓球ができるブース=9月22日、東京・秋葉原


設立から1年以上が経過し、効果が少しずつ出始めている。

日本障がい者乗馬協会の事務局長でP.UNITEDの副代表、河野正寿さん(50)は「点で活動していた団体が団結することで活動の幅が広がっている」と手応えを感じている。かつては競技団体が個別に営業で企業を訪問しても「門前払いされることが多かった」というが、近年は「話を聞いてくれる企業が増えた」としている。

2024年7月には物流大手「山九」がP.UNITEDの公式スポンサーとなった。選手の雇用も念頭に「競技で培ったチャレンジ精神やチームワークを社内で生かしてもらいたい」(山九担当者)と期待する。

▽「情報発信の強化」→「スポンサー収入増」→「選手の成績と競技人気がアップ」
一方、パリ大会で金メダルを獲得した車いすラグビーや、車いすテニスのように、多くの大手企業がスポンサーとなっている競技の収入規模には届いていない。身体障害部門の卓球は6社から計2700万円の支援を受けている。競技や選手の魅力に実際に触れてもらえるよう力を入れてきたという。

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パリ・パラリンピックのブラインドサッカーでトルコ相手に攻め込む日本選手


ブラインドサッカーはスポンサー収入や事業収益を含めた収入総額が年3億9千万円に上り、助成金の割合は3割程度。クラウドファンディングで寄せられた600万円を活用し、3カ国を招いた大会をパリ大会の直前に主催した。

「情報発信の強化」が「スポンサーの獲得と収入増」へ、さらに「選手の成績向上」「人気アップ」へ発展する好循環が生じている。

障害者スポーツに詳しい立命館大の金山千広(かなやま・ちひろ)教授は「財政基盤が脆弱(ぜいじゃく)な競技団体が結集するのは画期的だ」と評価する。

イベントの合同開催などで「支援したい」と思えるような魅力や意義を協力して発信すれば、それぞれのスポンサーやファンも増える「相乗効果」が見込めると話している。

「海外対日世論調査」―外務省発表― [2025年03月24日(Mon)]

「海外対日世論調査」
―外務省発表―


外務省は令和6年度海外対日世論調査の結果を3月14日以下の通り発表した。


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令和6年度海外対日世論調査


外務省は、令和6年10月から令和7年1月にかけて、米国、欧州5か国、中央アジア4か国、中東7か国において対日世論調査を行ったところ、結果概要は、以下のとおりです。

1 米国
 ハリス社(米国)に委託して、米国において、令和6年11月から令和7年1月にかけて、無作為に抽出された成人1,000名(「一般の部」)及び連邦政府、大企業、マスメディア、労働組合、宗教団体、アカデミア等で指導的立場にある206名(「有識者の部」)を対象にインターネット調査を行いました。

(1)対日関係
ア 対日関係について、一般の部で78%(昨年度75%)、有識者の部で96%(昨年度87%)が「友好関係にある」と回答しました。
イ 米国の友邦としての日本の信頼度について、一般の部で77%(昨年度:73%)、有識者の部で97%(昨年度:88%)が「信頼できる」と回答しました。
ウ 米国の最も重要なパートナーについて(有識者の部)、日本はアジアの国・地域の中で1位となりました(昨年度:1位)。
(2)安全保障
ア 日米安全保障条約について、一般の部で74%(昨年度:72%)、有識者の部で81%(昨年度:79%)が「維持すべき」と回答しました。
イ 同条約について、有識者の部で96%(昨年度:93%)が「米国自身の安全保障にとり重要である」と回答しました。
ウ 同条約について、有識者の部で94%(昨年度:91%)が「東アジアの平和及び安定に貢献している」と回答しました。
エ 在日米軍について、有識者の部で94%(昨年度:91%)が「米国自身の安全保障にとり重要である」と回答しました。
オ 日本の防衛力について、一般の部で33%(昨年度:29%)、有識者の部で45%(昨年度:36%)が「増強すべき」、一般の部で34%(昨年度:38%)、有識者の部で35%(昨年度:46%)が「現状維持がよい」と回答しました。
(3)経済
ア 日本が米国経済に与えている影響について、一般の部で過半数が「良い影響を与えている」と回答しました(貿易69%、投資59%、雇用創出53%)(昨年度:貿易68%、投資59%、雇用創出50%)。
イ 米国経済に最も貢献している国について、有識者の部で日本は1位(貿易1位、投資1位、雇用創出1位)となりました(昨年度:貿易1位、投資1位、雇用創出1位)。
(4)「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」
日本と米国による「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けた取組について、有識者の部で77%(昨年度:72%)が「進めていくべき」と回答しました。

2 欧州5か国(イタリア、英国、ドイツ、ハンガリー、フランス)
 Ipsos社(香港)に委託して、欧州5か国において、令和6年10月から11月にかけて、18歳から69歳までの男女2,500名(各国500名)を対象にインターネット調査を行いました(注:前回調査は同じ5か国を対象に令和4年度に実施。)。

(1)対日関係
対日関係について、5か国全体で71%(前回68%)が「とても友好的な関係にある」又は「どちらかというと友好的な関係にある」と回答し、対日信頼度については、74%(前回69%)が「とても信頼できる」又は「どちらかというと信頼できる」と回答しました。
(2)日本の平和国家としての歩み
日本の平和国家としての歩みについて、80%(前回75%)が「評価する」と回答しました。
(3)世界経済の安定と発展における日本の役割
日本が世界経済の安定と発展に果たす役割について、71%(前回67%)が「非常に重要な役割を果たしている」又は「やや重要な役割を果たしている」と回答しました。
(4)国際秩序の安定に対する日本の役割
日本が国際秩序の安定に果たす役割について、60%(前回58%)が「非常に重要な役割を果たしている」又は「やや重要な役割を果たしている」と回答しました。
(5)欧州が連携を強化すべき域外パートナー
ロシアによるウクライナ侵略を受け、国際関係に関する様々な課題を踏まえて、欧州が連携を強化すべき域外のパートナーについて、日本は、米国に次いで2位となりました。

3 中央アジア4か国(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン)
 Ipsos社(香港)に委託して、中央アジア4か国(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン)において、令和6年10月から12月にかけて、18歳から69歳までの1,200名(各国300名)を対象に、インターネット調査(ウズベキスタン・カザフスタン)及び電話調査(キルギス・タジキスタン)を行いました(注:前回調査は同じ4か国で令和3年度に実施。)。

(1)対日関係
対日関係について、88%(前回78%)が「とても友好的な関係にある」又は「どちらかというと友好的な関係にある」と回答し、対日信頼度について、86%(前回75%)が「とても信頼できる」又は「どちらかというと信頼できる」と回答しました。
(2)日本の平和国家としての歩み
日本の平和国家としての歩みについて、81%(前回78%)が「評価する」と回答しました。
(3)世界経済の安定と発展における日本の役割
日本が世界経済の安定と発展に果たす役割について、75%(前回79%)が「非常に重要な役割を果たしている」又は「やや重要な役割を果たしている」と回答しました。
(4)国際秩序の安定に対する日本の役割
日本が国際秩序の安定に果たす役割について、67%(前回59%)が「非常に重要な役割を果たしている」又は「やや重要な役割を果たしている」と回答しました。
(5)今後重要なパートナーとなる国・機関
今後重要なパートナー国・機関(複数回答可)について、日本は、ロシア、中国、トルコに次いで4位となりました。

4 中東7か国(アラブ首長国連邦、イラン、エジプト、サウジアラビア、チュニジア、トルコ、ヨルダン)
 Ipsos社(香港)に委託して、中東7か国(アラブ首長国連邦、イラン、エジプト、サウジアラビア、チュニジア、トルコ、ヨルダン)において、令和6年10月から12月にかけて、18歳から69歳までの4,000名を対象に電話調査を行いました(注:前回調査は同じ7か国で令和3年度に実施。)。

(1)対日関係
対日関係について、78%(前回76%)が「とても友好的な関係にある」又は「どちらかというと友好的な関係にある」と回答し、対日信頼度について、75%(前回74%)が「とても信頼できる」又は「どちらかというと信頼できる」と回答しました。
(2)日本の平和国家としての歩み
日本の平和国家としての歩みについて、81%(前回80%)が「評価する」と回答しました。
(3)世界経済の安定と発展における日本の役割
日本が世界経済の安定と発展に果たす役割について、79%(前回81%)が「非常に重要な役割を果たしている」又は「やや重要な役割を果たしている」と回答しました。
(4)国際秩序の安定における日本の役割
日本が国際秩序の安定に果たす役割について、69%(前回74%)が「非常に重要な役割を果たしている」又は「やや重要な役割を果たしている」と回答しました。
(5)日本の経済・技術協力
日本の経済・技術協力の中東地域の発展にとっての有益性について、84%(前回86%)が「とても有益」又は「どちらかというと有益」と回答しました。

「これで良いのか日本の賃金」―日本より5割高い韓国― [2025年03月21日(Fri)]

「これで良いのか日本の賃金」
―日本より5割高い韓国―


先般も産経新聞「正論」欄に投稿したが、日本の大企業は600兆円もの内部留保金がありながら働く人の賃金の上昇率は極めて低い。

以下、2月18日付アジア経済ニュースの記事を掲載します。

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韓国大企業の賃金、日本より5割高い


韓国経営者総協会が16日発表した「韓日EU企業規模別賃金水準国際比較」によると、韓国大企業の購買力平価(PPP)換算での年間賃金総額(2022年時点)は8万7,130米ドル(約1,323万円)で、日本(5万6,987米ドル)より52.9%多かった。欧州連合(EU)20カ国の平均(8万536米ドル)と比べても8.2%上回った。

韓国は調査対象22カ国で、ルクセンブルク、ドイツ、フランス、アイルランドに次ぐ5位だった。市場為替レート換算(22年時点)で見ると韓国は5万4,656米ドルで、EU平均(5万2,639米ドル)や日本(4万1,075米ドル)を上回ったが、順位は7位となった。

1人当たり国内総生産(GDP)比では韓国は156.9%だった。EU平均は134.7%、日本は120.8%。

際立つ韓国の賃金上昇率
02〜22年の20年間の韓国大手の賃金上昇率は157.6%に上った一方、EU平均は84.7%増、日本は6.8%減と、韓国の賃金上昇率がずばぬけて高かった。

中小企業の年間賃金(PPP基準)で見ても、韓国は5万317米ドルで日本(4万2,022米ドル)より19.7%多かった。

「災害ボランティアセンター開所」―小型重機の使用教えます― [2025年03月19日(Wed)]

「災害ボランティアセンター開所」
―小型重機の使用教えます―


3月7日、つくば市にて日本財団ボランティアトレーニングセンターの開所式が行われた。本センターは、災害時に即応できる技術系ボランティアを養成することを目的として設立され、小型重機の操作をはじめとする実践的な訓練を提供します。開所式には、関係者をはじめ、災害支援に携わる多くの方々が参加し、重機を使ったデモンストレーションも行われました。

以下、開所式での私の挨拶です。

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日本財団災害ボランティアトレーニングセンター開所式典


2025年3月7日(金)
日本財団会長 笹川陽平


おはようございます。足場の悪いところまでお越しいただき恐縮です。日本財団は1997年の日本海で発生したナホトカ号重油流出事故以来、災害には必ず出動しております。日本財団ボランティアセンターは、近いうちに災害が来ることを想定し、専門家のみならずボランティアを集めて教育しようということで、3.11の直前に立ち上げられました。当時は日本財団学生ボランティアセンターという名前で活動しておりましたが、学生の皆さんには東日本大震災発災直後から大いに活躍頂きました。日本のみならず、各国の学生にも協力いただきましたが、その先頭に立ったのが今司会をしている沢渡一登・日本財団ボランティアセンター常務理事です。彼は、まだ東京から東北への交通網が十分整備されていない中最初に現地に入り、事務所を開設しました。その後、日本財団が現地で何をさせていただいたかについては既に皆さんご存じと思いますが、大規模な支援活動を現地でさせていただきました。

東京大学教授で作家でもあった寺田寅彦氏は「災害は忘れた頃にやってくる」という名言を残しました。しかし、今は忘れた頃ではなく日常的に災害が起こる時代になりました。そうした中で若い人の間でボランティア活動に参加したいという人が沢山いらっしゃいます。現在ボランティアセンターには約4万2千人が登録されております。阪神淡路大震災の時からこの傾向は始まりましたが、発災後すぐに現地においでいただいても、ボランティア専門の人がいないと烏合の衆となってしまう課題もあります。発災直後に、どこで働くのか、食事はどこでとるのか、ということを誰かが指導しなければ、手ぶらで現場にいらしても残念ながら扱いにくいことになってします。ようやく組織的に日本財団ボランティアセンターとしてこうした指導をはじめ、沢山の志の高い方が集まっています。

先般の能登半島地震では知事から「ボランティアは来ないでほしい」という発言があり、これが影響し、我々も努力しておりますが、ボランティアの集まりが悪いという状況が続いています。本来であれば「ボランティアの力を頂きたいが、もう少しお待ちいただきたい」と伝えたかったものと思いますが、「お断り」という表現となってしまいました。少し説明したしますと、発災から72時間が生存の分かれ目でして、この期間は自衛隊などプロで、人命救助を行うほか、避難場所の設置なども行います。従いまして、技能を持っていない一般のボランティアの方にお手伝いを頂くのは、現場が落ち着いて、食料の配布などが出来るようになってきた時となります。例えば、足湯といってバケツにお湯を入れて学生が足をマッサージする、炊き出しをする、といったお手伝いをいただきます。特に一番大切であり難しいのは、家屋の中に入った床下の泥かきでして、これは行政はやりません。日本財団ボランティアセンターは、一軒一軒まわり、時間が経って固まってしまった泥を、床下という活動が難しい場所で泥かきを致します。こうした活動は発災以来ある程度時間が経ってからの活動となります。

本日の趣旨はプロフェッショナル・ボランティア、プロボノの活動でして、日本財団では約30の団体に常に300万円ずつ資金をお渡ししております。発災するとこの団体がこの資金を活用して我先に全国から現場に入ってくださいます。彼らはプロボノであり、重機その他の扱いに慣れています。重機を扱うにしても、例えば家屋の中に重機を入れるとなると、取り壊す柱を間違えれば屋根が落ちてしまい人災となりえるので、重機のライセンスがあれば仕事が出来るわけではなく、こうした経験・知識も必要となります。我々のネットワークでは、こうした専門のボランティアが全国から駆け付けてくれるようになっています。熊本地震の時は、消防士、警察官の方が「休みに手伝いをしたい」と多くの方がおいで下さいました。そのときに「重機のライセンスを取ってもらえば、一層素晴らしい活動をしてもらえることになる」と考えました。72時間の人命救助を含め自衛隊らと一緒に活動できるプロボノを拡充したいという考えで、この度重機を扱える人を養成していこうとしております。

また、日本財団が実施しているHEROsという事業があります。著名なアスリートが参加下さっており、例えばラグビーの五郎丸歩選手やサッカーの中田英寿選手らが長野県で講習をうけ、能登で活躍下さいました。アスリートもこの日本財団ボランティアセンターで訓練を受けており、これからは警察官、消防士、アスリートその他多くの方々に小型重機の使い方を学んでいただき、行政だけではどうにもならないことが多々あるので、大いにご協力を賜りたいということであります。やはり、発災時は自衛隊や現地の消防署だけでは対応できないところで活動をして参りたいと思います。

今は毎日のように災害が起きております。一人でも多くの国民の参加により助け合うということが重要でありますが、日本人には昔から「利他の心」をもっています。「利他の心」とは、世の中は自分だけで生きていくことはできず、他者との交わり、社会があるから生活できるのだからこそ、社会のために何かお手伝いしたいという気持ちのことであります。技術を身につけ、高度な救援活動に参加してほしいという趣旨でこうしたセンターを作り、一人でも多くの人にライセンスを取得頂き、それぞれの地域で活動いただきたいと願っています。歴史的なこともお話しした方が分かり易かろうと話が長くなりました。ありがとうございました。(了)



以下、3月7日付NEWSつくば・鈴木宏子氏の記事を掲載します。

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開所式で重機を操縦し、土砂を撤去するデモンストレーションをする災害ボランティアで東京学芸大学3年の白鳥里桜さん


つくば市南原、日本財団つくば研究所跡地に、日本財団ボランティアセンター(東京都港区、山脇康会長)の災害ボランティアトレーニングセンターが7日、開所した。災害時に重機を操縦してがれきや土砂の撤去などを行う技術系ボランティアを養成する施設で、ショベルカーやダンプカーなど重機16台と資機材を配備する。災害発生時は重機や資機材を災害現場に貸し出す。民間の災害支援拠点としては国内最大規模という。

研究所跡地約5.7ヘクタールのうち、約1.2ヘクタールに開所した。施設は、座学の研修などを行う2階建ての「研修棟」、重機などを駐車する「重機ステーション」のほか、盛り土やU字溝などが設けられ、がれきや土砂の撤去、U字溝の泥かきなど災害現場を想定した重機の操縦方法を学ぶ「訓練フィールド」がある。車両は、小型から大型までショベルカー9台とダンプカー4台など車両16台と、投光器などの資機材を配備する。訓練フィールドには今後さらに家屋の模型を設置し、重機で床板をはがし、泥をかき出す訓練などもできるようにするという。

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ショベルカーやダンプカーなどが駐車してある「重機ステーション」前でテープカットする関係者ら


同センターのスタッフのほか、技術系災害ボランティアとして全国各地の災害現場で活動する団体のスタッフなどが操縦方法を指導する。日本財団ボランティアセンターに登録している災害ボランティアのうち希望者を対象に、技術レベルに応じた幅広い研修を実施する。1日30人程度の研修を月3回程度、年間1000人程度の研修受け入れを予定している。受講料は重機の燃料代等、実費(2000円程度)で実施する。

同研究所跡地では開所に向けて2年前から準備が行われてきた。仮開所の期間中も訓練フィールでは重機の操縦方法などを学ぶ講習が実施されており、仕事とは別に災害ボランティア活動をしている消防士らが重機の操縦方法などを研修などが開催されてきた(23年5月23日付)。今回、研修棟、重機ステーションが完成し正式開所となった。

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研修棟


開所式では日本財団の笹川陽平会長が「災害が起きると行政だけではどうにもならないことがある。一人 でも多くの国民の参加によって助け合っていかなくてはならない。重機の使い方を学んでいただいて、具体的な技術を身に付け、高度な救援活動に参加いただきたい」などとあいさつした。

日本財団ボランティアセンターの山脇会長は「被災地に寄り添った活動を行うためには(重機や資機材を扱うことが出来る)技術系のボランティアと(炊き出しや傾聴などを行う)学生のボランティア両方が復旧復興に欠かせない。災害ボランティアトレーニングセンターは重機を配備し災害現場でいち早く活動できる人材を育成し、重機の貸し出しを行う。有事の際、迅速に活躍できる施設になる」などと話した。

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開所式であいさつする(左から)日本財団ボランティアセンターの山脇康会長、日本財団の笹川陽平会長、災害エキスパートファームの鈴木暢さん


同センターに配備する重機の選定に関わった都内の技術系災害ボランティア団体「災害エキスパートファーム」の鈴木暢さんは「(災害ボランティアの)経験の中からフットワークがいい小型重機を選定した。(被災した)住宅などは狭い場所があったり、裏山が崩れていたり、土砂が道路の側溝を埋めるなどの状況がある。人の手で1日50人から100人かかる動きを重機1台でできるし、女性でも重機を扱える。訓練では、現場で事故を起こさない、自分たちもけがをしないことが大事になる。大きな災害に立ち向かえる免疫を養っていけたら」と話す。

テープカットの後は、災害ボランティア活動で実際に重機を動かした経験のある岩手県花巻市消防本部消防士の藤岡茜さん(28)のほか、東洋大学4年の横尾幹さん、東京学芸大学3年の白鳥里桜さんらが重機を操縦して、盛り土の土砂を掘ったり、U字溝の泥をかき出すなどした。藤岡さんは昨年3月、能登半島で災害ボランティア活動をし、重機を操縦して倒壊した民家のがれきを撤去するなどしたという。藤岡さんは「(つくばのセンターで)これからもっとトレーニングを積んで、よりスムーズに災害現場で活動できるようにしたい」と話していた。(鈴木宏子)

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小型重機を操縦しU字溝から泥をかき出すデモンストレーションをする岩手県花巻市の消防士、藤原茜さん

産経新聞【正論】経済界は今こそ「利他の精神」を [2025年03月05日(Wed)]

―経済界は今こそ「利他の精神」を―


産経新聞【正論】
2025年2月25日


パンデミック(世界的大流行)となった新型コロナ禍、さらに近年、「自国第一主義」の風潮が強まる中、自分の利益だけでなく他人のためにも尽くす「利他」の精神に世界の関心が高まっている。

<<活気失う日本社会>>
一方でわが国は1990年代初頭のバブル崩壊に始まった「失われた30年」で賃金水準は大きく落ち込み、かつて一億総中流と言われた国民意識は中流より下流が強まり、国全体が活気を失う原因となっている。

この間、90年代に100兆円台で推移した企業の内部留保(利益剰余金)は2023年度末に約601兆円と国の名目GDP(国内総生産)1年分にも匹敵する過去最高の数字に膨れ上がった。

わが国は戦後一貫して政治力や軍事力ではなく経済力で発展してきた。政治が低迷し、かつて国の発展を主導した「霞が関」(官)も精彩を欠く今、この国を再生させるのはやはり経済力である。

経済界には今も、近江商人の「三方よし」(買い手よし、売り手よし、世間よし)に代表される利他の精神、商人道が生きているはずだ。中でも経済界を代表する経団連(日本経済団体連合会)には、強い決意を持ってその先頭に立っていただきたく思う。

600兆円の内部留保の活用も含め多彩な対応が可能と考える。

経団連は企業、団体など1700もの会員で構成され、“財界総理”とまで称される会長の下に大手企業のトップら20人が副会長として名を連ね、副会長も務める事務総長の下に200人を超す事務局がある。

副会長が20人というのは組織としては異様で、時に「叙勲狙い」、「軽団連」と揶揄する声も聞く。関係者の奮起を促したい。事務局機能の強化も合わせ、文字通り日本経済を牽引する強靭な組織になってほしく思う。

巨額の内部留保に対しては「それがあったからこそコロナ禍に耐えた」と評価する声も聞く。しかし「日本資本主義の父」渋沢栄一や「利他の心」を提唱した京セラの創業者・故稲盛和夫氏が説いたように、事業活動には一個人ではなく社会全体を益し、活動を支える全従業員の幸福を物心両面で追求する姿勢が何よりも必要と考える。

残念ながら現実は内部留保が急増する一方で、人件費は90年代半ば以降200兆円前後で推移し、23年度も約222兆円と微増に留まる。この結果、1991年から30年間の名目賃金の伸びは米国の2・8倍、英国の2・7倍に比べ日本は1・1倍とほぼ横ばいの状態にある。

<<少子化が加速する一因>>
結果、90年代初頭に当時24カ国が加盟した経済協力開発機構(OECD)の中で最高水準にあった日本の賃金は23年度、加盟38カ国中25位まで落ちた。

厚生労働省の調査によると、22年の平均初婚年齢は男性が31.1歳、女性は29.7歳。この20年間で約2歳上昇し、20年の生涯未婚率(50歳時点の未婚率)も男性が28.3%、女性は17.8%と、ともに10㌽以上増加している。

実質賃金の落ち込みが一因と見られ、少子化が加速する原因にもなっている。国内の新規投資も低迷し、わが国がデジタル革命やIT革命など新たな産業の開拓で世界に後れを取る原因となっている。

こうした点を反映して、スイスに本拠を置く国際経営開発研究所(IMD)が毎年発表する国際競争力ランキングも、日本は24年に38位に下がった。1989年から4年間、アメリカを抜いて第1位だった過去を振り返ると隔世の感がある。
ただし、暗い材料ばかりではない。政府が20年にコロナ禍対策として配布した一律10万円の使途に関する調査では、20代は37%が「少しでも寄付したいと思う」と答え、全体平均を10ポイント近く上回った。

昨年元旦に起きた能登半島地震では、日本財団と株式会社メルカリが共同で呼びかけた被災支援の受け入れ先に地震発生翌日と翌々日だけで5000万円もの寄付が寄せられた。1人平均1000円としても、わずか2日間で5万人が支援金を寄せた計算になる。

簡単に売り買いできるメルカリのアプリは若い世代の利用者が多い。時に日本の寄付文化の弱さが指摘される中、この2つの数字は次代を担う若者の心に利他の精神が広く共有されている事実を示していると思う。

<<強靭な国づくり>>
戦後の日本社会は「福祉や公共サービスは行政の責任」とする考えや責任より権利を主張する風潮が強い。それがポピュリズム(大衆迎合主義)、バラマキ政策につながり、財政が一段と悪化する悪循環を生んでいる。

利他の心が広く共有されれば社会全体に「自分たちの力で社会を良くする」機運が広がり、強靭な国づくりに結び付く。世界で通用する日本の精神文化を経済界だけでなく、政府も外交も含め幅広い分野で活用するよう求めたい。

(ささかわ ようへい)



「タリバン幹部来日」―アフガニスタンのタリバン暫定政権― [2025年02月21日(Fri)]

「タリバン幹部来日」
―アフガニスタンのタリバン暫定政権―


アフガニスタンのタリバン暫定政権幹部6名を招聘、2月16日に来日しました。その趣旨は下記2月17日付トルコ国営通信のアナドル通信社が配信した記事(原文英語)にある通りです。

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アフガニスタンのタリバン暫定政権の高官らが来日した。2021年8月に政権が復帰して以来、初の日本訪問となる。

共同通信が月曜日に報じたところによると、代表団を招待した東京に拠点を置く民間非営利団体、日本財団は、今回の訪問の目的は将来の国家建設のための「洞察を求めること」だと述べた。

日本財団は、タリバン当局者らに対し「弱い立場にある人々に対する国際社会からの人道支援を広く受け入れる必要があることを認識してほしい」と述べた。日本財団は「安全上の理由」で、1週間のスケジュールの詳細は明らかにしなかった。

タリバン代表団幹部の一人、ラティフ・ナザリ氏はX日、暫定政権は「強く、団結し、進歩し、繁栄し、発展したアフガニスタンを目指し、世界との尊厳ある交流を図り、国際社会の積極的な一員となることを目指している」と述べた。

一方、日本政府は、外務省のアフガニスタン代表である安藤俊英氏が代表団と会談する予定であると発表した。

林芳正官房長官は、今回の訪問は民間団体が企画したものだが、特に人権問題に関してタリバン政権内の変革を推進する日本政府の取り組みを支援するものであり「意義深い」ものだと述べた。

2021年に米国率いる外国軍が撤退した後、タリバンが権力を回復した。暫定政権下で統治しているが、どの国もそれを承認していない。日本はタリバンの復帰後、外交使節団を一時的にカタールの首都ドーハに移転した。しかし、日本の外交官たちはタリバン関係者と定期的に会談し、現在はカブールからタリバンの任務を遂行している。
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