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resize.png日本財団はハンセン病の差別撤廃を訴える応援メッセージサイト「THINK NOW ハンセン病」を開設。皆様からのメッセージを随時募集・配信しています。
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笹川 陽平
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「”Don’t Forget Leprosy”」―人権問題としてのハンセン病― [2021年10月14日(Thu)]
「”Don’t Forget Leprosy”」
―人権問題としてのハンセン病―


2021年9月29日(オンライン)

1. ミス・ワールド・ブラジル及びミス・ユニバース・ブラジルとのトークセッション

(1)アルトゥール・クストディオ(MORHAN、ブラジル)
お集りの皆さんの前で話せることを嬉しく思います。世界中でハンセン病との闘いで協力していただいていることに感謝致します。本日は”Don’t Forget Leprosy”キャンペーンを世界中で促進していくためのウェビナーです。ゲストであるミス・ユニバース・ブラジルやミス・ワールド・ブラジスそして皆さんと共にこの活動を進めていけることを誇りに思います。是非ともハンセン病にまつわる差別やスティグマを乗り越えていけるように頑張って参りましょう。新型コロナウイルスの蔓延によりハンセン病患者やその家族は経済的に一層困難な状態にあります。新規患者の発見も活動も停滞しており、新規患者の発見数も減少しています。ハンセン病によって障害が生じてしまった状態で発見されるケースも増えていると聞いていますし、未だに残念ながら差別の報告もあります。アリス・クルス氏(ハンセン病患者・回復者とその家族に対する差別の撤廃に関する国連特別報告者)からの報告書にも我々が立ち向かわなければならい問題が記載されています。コロナ禍において、ハンセン病が忘れられないために私たちに何が出来るのか、今日話し合いをしていきたいと思います。

(2)ジュリア・ガマ(ミス・ユニバース・ブラジル2021)
本日このような会議に参加できることを嬉しく思います。私は7年前からMORHANでボランティア活動をしています。ハンセン病の問題に携わりながら、国内外で活動しています。MORHANがハンセン病との闘いに取り組んでいることに感謝し、私が関わることが出来ているのも彼らのおかげです。笹川保健財団の支援にも感謝しております。7年前にMORHANの活動に参加するまで、私はハンセン病のことは知りませんでした。しかし活動を通じて、ブラジルでも海外でもハンセン病患者、回復者のコミュニティは愛情によってつながっていることを知りました。また、彼らが歴史の中で汗水流して頑張ってきたことも知りました。ハンセン病の病気とそれにまつわる差別と闘っている患者、回復者たちの姿勢が魅力的であり、私は一層この問題の解決に貢献したいと思うようになりました。様々な困難がある環境で、彼らは素晴らしい人間性を保っています。ハンセン病については長く強烈な歴史がありますが、これは人権の問題であると思っています。ハンセン病を理由とした離婚、家族から捨てられること、など様々な問題があります。こうした問題を解決するには、社会に正しい情報を発信していくことが重要であると考えています。ハンセン病は治療可能であり、ハンセン病を根絶しようというメッセージを多くの人に伝えると同時に、問題を知ってもらう努力をしたいと思います。情報の発信と同時に、教育も大事です。例えば学校教育を通じてハンセン病に関する正しい情報を子供たちに伝えることで、子供たちは家族を啓発する役割を担えます。また、コミュニティのリーダーがハンセン病患者、回復者を迎え入れることもメッセージになります。コロナ禍ではありますが、ブラジルでもインスタグラムが流行しており、インスタグラムでも多くの人に発信し訴えかけることが出来ます。私は、自身の活動の様子をショート・メッセージと共に発信しています。こうした地道な活動を通じて差別をなくすことは可能ですし、我々の協力者をも増やしていけます。私は、MORHANや笹川保健財団、そして皆さまと共に、ハンセン病が根絶されるまで頑張る所存です。

ジュリア・ガマ(ミス・ユニバース・ブラジル2021).png


(3)カロリーヌ・・テイシェリア(ミス・ワールド・ブラジル2021)
笹川・WHOハンセン病制圧大使にご挨拶申し上げます。また、ミス・ユニバース・ブラジルのジュリア氏にもご挨拶申し上げます。皆さんはハンセン病との闘いにおける戦士であり、積極的なコミットメントに敬意を表します。私は、ミス・ワールド・ブラジルに選ばれて1ヶ月程度ですが、ハンセン病の病気とそれにまつわる差別・偏見の問題について情報発信をしています。ブラジルは「世界の肺」と呼ばれるアマゾンを有していますが、そのアマゾンにおけるハンセン病の問題についても発信しています。コロナ禍において、MORHANと取り組みを進める傍ら、ブラジルの保健関係当局とも情報発信をしています。日々私はハンセン病にまつわる様々な情報に接していますが、多くの人が情報を交換し発信することが大事であると思いますし、こうした取り組みを世界にも広めていきたいと考えています。このような啓発活動はミス・ワールド・ブラジルとしての使命でもありますので、引き続き取り組んでいく所存です。ブラジルには、様々な大学間のネットワークがあるので、彼らとも協力して発信していきたいと思っています。アマゾンの奥地や地方都市にも赴き、現地の情報と知識を届けていくこともミッションです。ハンセン病の患者、回復者と一般の生活をしている人たちとの橋渡しの役割も果たしていきたいと思っております。情報発信に加え、資金調達の活動もしています。資金調達によってハンセン病診断に係る機材を寄付し、診断能力を高めるためのキャンペーンも始めました。ミス・ワールド・ブラジルとして、出来るだけ多くの人にハンセン病は治療でき完治するものであると伝える啓発活動を継続し、そのミッションに心を込めて携わっていきたいと思います。ハンセン病が根絶されることを期待しています。

ジュリアサン、カロリーヌさん.png


(4)笹川陽平(WHOハンセン病制圧大使/日本財団会長)
ボンジーア・アルトゥールさん、このように素晴らしいウェビナーを企画して下さりありがとう御座います。また、ジュリアさん、カロリーヌさん、厳しいコンテストを勝ち抜いて、ミス・ユニバース・ブラジルとミス・ワールド・ブラジルになられたことを心よりお祝い申し上げます。貴女たち2人は単に美しいというだけではなく、お話を伺っていると心も美しい方であると分かりました。またどのようにしてハンセン病をなくすか、そして病気から快復した人をどのように激励するかについても、既に深い知識を持っていらっしゃるのに私は大変驚くと同時に嬉しく思います。ブラジルではアルトゥールさんの活躍もあり、かつて有名な歌手や女優もハンセン病との闘いに参加してくれましたし、今回このように美しく社会的影響力のある二人の方がハンセン病との闘いそして人権問題に関わってくださるのということで、素晴らしい仲間を得たと感謝しております。このコロナの厳しいパンデミックのなかで、いかにしてハンセン病に関する活動をするかについて、お二人が既に答えを出してくださったことに驚いております。お話にありました通り、新しいツールを我々は手に入れています。今ではスマートフォンが普及しておりますので、スマートフォンを通じてSNSをうまく活用して情報を徹底的に発信していくということはコロナ禍でもできることです。二人の協力も得ながら、ぜひSNSを積極的に活用して欲しいと思います。そして何より、回復者の皆さまも遠慮なく自分たちの抱えている問題を発信すると同時に、社会の誤った考え方を正すためTwitterやfacebookなどのSNSを通じて、世界中の関係者に呼び掛けてください。皆さん一人一人が情報発信することで、何千何万という人に影響を与える情報となるのです。2年前に私はブラジルを訪問した時にボルソナーロ・大統領と面談を致しました。その際、大統領はその場でfacebookライブを通じて生中継をしてくれましたが、1日で70万アクセスを頂いたという経験もあります。お二人の活動はもとより、ウェビナーを見ている方々、そして我々がハンセン病にまつわる正しい情報発信を強化することが、コロナ禍での最大の武器になりうると思っています。私は、各国の現場を訪問する折は可能な限り現地のテレビやラジオに出演して情報発信に努めてきました。しかし、現在ではもっと多くの人にリーチできるのはSNSであると、改めて二人の話を伺って気が付いたところです。ジュリアさんとカロリーヌさんから今新しい活動の方法を教えていただいたと心より御礼申し上げます。近いうち貴女とともにブラジルで活動できることを心から期待しています。本当にありがとうございます。オブリガード。

2. WHOハンセン病制圧大使とのQ&Aセッション

(1)アルディ・エボエ(PerMaTa、インドネシア)
障害者権利条約はハンセン病患者・回復者のためにどのような役割を果たしているのでしょうか?障害者権利条約がハンセン病患者の味方になってくれることを願っています。

(2)笹川陽平(WHOハンセン病制圧大使/日本財団会長)
アルディさん、お元気そうで何よりです。先ほどのビデオをご覧になりましたか?バティックを着ていましたが見ていただけましたか?ご質問にありました、障害者権利条約の中には当然のことハンセン病の患者や回復者は入っていますし、それ以外の障害をもった方もいらっしゃいます。障害者権利条約が実行されるためには2つの方法があります。1つは、政府の取組みであり政府は障害者権利条約を履行しなければいけないことになっています。しかしその取り組みは国によって相当な違いがあるのも現実です。また、我々が努力して国連総会でハンセン病患者・回復者とその家族への差別撤廃決議とP&G(原則とガイドライン)が決議されたこともご承知の通りです。しかしながら、私たちは国の対策を待っているだけではいけません。障害者権利条約、或いはハンセン病差別撤廃の決議を私たちの闘う道具として、私たち自身が社会に発信していくことが大変重要であると思っています。私はこれから回復者の皆さんの組織の強化の為に協力したいと願っています。これからのハンセン病との闘いは回復者の皆さんが主役です。そしてSNSという素晴らしい道具を我々はもっているので、皆さま一人一人が問題点をどんどん発信いただくのが大変重要な活動になってきているのだと思います。私は世界の大企業500社のCEOに参加いただき、アフターコロナの時代はあらゆる障害者が大企業の中で働ける環境を整備しようと働きかけています。協力してくれている企業の中にはマイクロソフトやグーグル、ユニリーバなどのCEOが含まれています。彼らには、アフターコロナは多様性の時代であること、そして障害者には働く情熱そして意欲があり、ないのは働く機会だけであり、機会を提供することが大事であると理解いただいています。世界には15億人の障害者がいます。彼らが働ける環境を整備し、15億人という大きな市場の活性化を通じて、この15億人が社会に積極的に参加することが、多様性のある新しい社会を作る鍵であると思っています。アルディさん、インドネシアは多くの島で構成されているのでアクセスが難しいと思います。しかしSNSの時代です。PerMaTaを社会の中で一層存在感のあるものにするべく我々も協力していきますので、是非指導者としてハンセン病の患者と回復者の闘いの先頭に立ってください。

アルディ・エボエ(PerMaTa、インドネシア).png


(3)フローレンス・タアカ(NLR、オランダ)
ハンセン病の制圧はハンセン病に関する差別・偏見への取組みなしには達成できません。WHOはどのように取り組んでいくと良いと思いますか?

(4)笹川陽平(WHOハンセン病制圧大使/日本財団会長)
素晴らしい質問を頂き感謝致します。確かに私たちは病気を治すことに一生懸命であり、WHOとしては病気を治すことに努力して参りました。しかし、私は世界中に薬を5年間無料で配布した後に、ハンセン病の病気が治った方を各国で見て驚きました。病気が治っているにもかかわらず、社会の側からの偏見と差別がまったくなくなっていないことにその時気付いたからです。その時代には、WHOは確かに病気を治すことに専念していました。ビデオの通り2003年に国連人権理事会を訪問しましたが、26人の人権の専門家の誰一人としてハンセン病が世界的な人権問題であることは知らず、また一度も話題になったこともないと彼らから伝えられ驚いたことを覚えています。我々の7年間の闘いを経て、2010年に国連総会でンセン病患者・回復者とその家族への差別撤廃決議とP&G(原則とガイドライン)が決議されました。WHOも病気だけの問題ではないと認識しています。私は、ハンセン病の制圧活動はモーターサイクルであると例えています。即ち前輪は病気を治すこと、後輪は差別をなくすことであり、この両輪がうまくかみ合わなければ制圧できないということです。結論を申し上げれば、このモーターサイクルの例えに従い、病気の治療と差別撤廃の両方に力を入れて今WHOは活動しております。素晴らしい質問ありがとうございました、これからも一緒に活動をして参りましょう。

フローレンス・タアカ(NLR、オランダ).png

「日本研究の専門家養成」―新たに20名に奨学金― [2021年10月12日(Tue)]
「日本研究の専門家養成」
―新たに20名に奨学金―


アメリカ・カナダ大学連合日本研究センター(IUC)は、横浜を根拠地に地味ではあるが長きにわたり外国人の日本研究者の養成に尽力されてきた。

アメリカの有力大学の日本歴史の教授に「中国人」が就任したとのショックな知らせを聞いて以来、日本財団は2012年から今年で10年目、145人の博士号取得を目指す学生たちにを来日させ、密度の濃い研修の実施に協力してきた。

今年も20人の奨学生が決定したが、いまだコロナで来日不可の学生もおり、ウェビナーでの式典となってしまった。

コロナの早期収束で、彼らの熱望する来日が早期に実現することを願わざるを得ない。

以下、私のスピーチと奨学生の紹介です。

*********************

20211004-452.PNG
オンラインで激励

2021年10月4日(オンライン)

こちらは午前中ですが、皆さん方のところでは夕方ですね、こんにちは。残念ながらコロナの影響もあり、ウェビナーでの入学式ということになりました。私は日本財団会長の笹川陽平と申します。

日本財団は様々な奨学金制度を提供すると同時に様々な社会課題への取組みを実施してきております。最近では、日本で開催されたオリンピック・パラリンピックを機会に、特にパラリンピックでの障害者の活躍もあり障害者の社会参画に一層注目が集まりました。そのような中、日本財団は世界的な大企業のCEOと連携して障害者雇用の促進を進めています。世界的な大企業には、マイクロソフトやグーグル、アマゾン、ユニリーバ、エコノミストなど錚々たる企業が含まれています。世界には15億人を超える障害者の皆さんがいらっしゃり、この障害者の方のニーズに即した市場の活用も大変重要な取り組みとなってくるでしょう。このようなポスト・パラリンピック、そしてポスト・コロナの時代は多様性の時代になると確信しています。

こうした時代の中で、皆さまが「日本研究をしたい」という熱い気持ちをもっていらっしゃるのを嬉しく思います。日本財団はこれまでも多種多様な奨学金を提供して参りました。例えば、世界44ヶ国、69の大学の修士・博士課程の学生への支援ということで、アメリカからも11の大学が参加下さっていますが、17000名を超える奨学生のネットワークがあります。そして、みなさんが参加下さっているIUCには日本研究をしたいという方が集まり、横浜のバートン先生が大変情熱的に皆さまの研究の為にお力になってくださっています。私はバートン先生なくしてこの事業は不可能であると思うくらいに素晴らしい指導者でいらっしゃいます、日本財団も皆さんのお力添えができるのは大変光栄であると考えています。IUCの事業は日本財団の奨学金の中では比較的新しいプロジェクトで、2012年から開始され、今年で10年目を迎えます。20人の皆さんを仲間に入れることができたということで、日本財団としても大変喜んでおります。パンデミックの影響で皆さんがすぐに来日できないのは残念ですが、この機会に日本理解の為にご努力をお願いしたいと思っています。

ご承知の通り、日本は大変珍しい国です。既に2000年の長きに亘り、4つの島国でありますが、文化・文明的には独立した国と言われています。当初、中国の漢字文化の影響を受けたことは事実でありますが、その後独自のカタカナややひらがな、或いはは現在中国で使われている社会科学系・自然科学系の言葉である資本主義、共産主義、労働者、賃金、経営、芸術、文化、哲学、質量、時間、空間という言葉は日本から中国に輸出されたものです。中国の近代社会科学・自然科学用語は日本語を使わずしては成立しないと言われるような状況です。

サミュエル・P・ハンティントンの「文明の衝突」という名著がありますが、日本は世界の8大文明の一つとして、学問的にも位置づけされています。こんな小さな国でありながら、大陸国家ではないという地政学的理由もあり、独特の文化・文明が栄えました。御高承の通り、1000年も前に「源氏物語」という長編の小説が女性によって書かれました。また、短歌は31文字、俳句に至っては17文字で、日本の自然界や四季折々、春夏秋冬、という世界の様々な事象を表現する文化も栄えてきました。和菓子一つをとっても、日本津々浦々に独特のお菓子というものも何万と存在するわけです。こういう話をするときりがありませんが、日本は4つの島国でありながら、多様性と歴史ある文化を育ててきました。これは世界的に見ても大変珍しいことです。

日本の天皇制は今上天皇で126代続いております。外国では王政もありますが戦争や或いは革命によって王室は崩壊してきた歴史があります。欧州で一番古い王政はイギリスではありますが、400年程度の歴史です。日本は2600年という長い伝統がありますし、日本の皇室は財産を保有していないので商売もしておらず、権力もありません。国民からの敬愛によって時代を超えて存続しているのです。

皆さん様々な研究テーマは素晴らしいものであるので、日本に来て実際に色々と見ていただくことが重要であると思っています。日本は農耕民族であるので、お米を主食として生きてきました。お米をはじめとする農作物の収穫に感謝するお祭り一つをとっても、日本各地に何千というお祭りが独特の文化に支えられてあります。これを見るだけでも面白いことです。今やSNSが発達しているので、皆さんのお住まいからご興味があればこういうものにアクセスできると思います。皆さんの専門的な研究は最も重要でありますが、それに付随した日本の文化と伝統にも興味を持っていただきたいと思っています。我々は、皆さんが日本研究をして良かったなと思えるような具体的な成果が上げられるように、これからも末永くネットワークを組んで協力していきたいともいます。

日本財団の奨学金の制度は単に学問をするための資金を援助するというだけではありません。この奨学金制度を活用いただいた後、生涯にわたって日本財団と皆さんとの交流、ネットワークを構築して末永く相互理解の為の仕組みを作っていますので、ぜひともご活用いただきたいと思います。今回は日本財団の奨学金をお受けいただいたことに喜びを申し上げると同時に、新しい素晴らしい仲間を迎えられたことに心から歓迎を申し上げます。バートン先生にはこれまでも大変お世話になっておりますが、これからも改めてご指導を宜しくお願い申し上げます。改めて20名の皆さんおめでとうございます。ありがとうございました。

*********************

Nippon Foundation Fellows
IUC Academic Year 2021–22


博士課程在籍者

Zahid Daudjee ザイエド・ダウジー[カナダ国籍]
プリンストン大学大学院博士課程(東アジア研究)〈2025年博士号取得予定〉
専門分野: 日本文学
研究テーマ:明治・大正時代の国語国字問題
2018年 トロント大学卒業(東アジア研究・言語学)
2020年 トロント大学大学院修士課程修了(東アジア研究)

Rosaley Gai ロザリー・ガイ[アメリカ国籍]
スタンフォード大学大学院博士課程(東アジア言語・文化)〈2025年博士号取得予定〉
専門分野: 日本文学
研究テーマ: 日本の現代文学に見られる共食い行為
2016年 シカゴ大学卒業(東アジア言語・文明)
2020年 ブリティッシュ・コロンビア大学大学院修士課程修了(アジア研究・日本)

Alexander MacNeil アレクサンダー・マクニール[カナダ国籍]
シカゴ大学大学院博士課程(人類学)〈2024年博士号取得予定〉
専門分野: 人類学
研究テーマ: 2025年日本国際博覧会におけるデザイン、科学技術、都市空間、政治の新たな関係
2014年 ダルハウジー大学卒業(人類学/宗教学)
2017年 ヨーク大学大学院修士課程修了(人類学)

Elena Mailander エレイナ・マイランダー[アメリカ国籍]
カリフォルニア大学サンタバーバラ校大学院修士・博士一貫教育課程(歴史)〈2027年博士号取得予定〉
専門分野: 日本史
研究テーマ: 第二次世界大戦前の日本の活字メディア文化
2009年 ゲティスバーグ大学卒業(日本研究)
2018年 ネバダ大学リノ校卒業(歴史)

Alexandra Mathieu アレクサンドラ・マシュー[アメリカ国籍]
コロンビア大学大学院博士課程(政治学)〈2023年博士号取得予定〉
専門分野: 政治学
研究テーマ: 国際社会におけるオリンピック開催国の地位
2015年 ボウディン大学卒業(アジア研究/行政学・法研究)
2019年 コロンビア大学大学院修士課程修了(政治学)
2021年 コロンビア大学大学院博士前期課程修了(政治学)

Elena Paulsen エレナ・ポールセン[アメリカ/ドイツ国籍]
ミネソタ大学大学院博士課程(歴史)〈2025年博士号取得予定〉
専門分野: 歴史
研究テーマ: 少女の視点から見た日本の近代化と大日本帝国
2014年 マカレスター大学卒業(日本語・日本文化)
2018年 ハイデルベルク大学大学院修士課程修了(日本研究)

Sarah Puetzer サラ・ピュツァー[ドイツ国籍]
オックスフォード大学大学院博士課程(東洋学)〈2024年博士号取得予定〉
専門分野: 日本文学
研究テーマ: 最果タヒと村田沙耶香に見る現代作家のジェンダー描写
2015年 ベルリン自由大学卒業(比較文学/日本研究)
2020年 ポツダム大学大学院修士課程修了(比較文学)
2020年 オックスフォード大学大学院修士課程修了(日本研究)

James Wronoski ジェームズ・ロノスキー[アメリカ国籍]
スタンフォード大学大学院博士課程(日本文学)〈2026年博士号取得予定〉
専門分野: 日本文学
研究テーマ: 日本の近代文学
2018年 オクシデンタル大学卒業(フランス研究)

修士課程修了者・在籍者

Cassidy Charles キャシディ・チャールズ[アメリカ/トリニダード・トバゴ国籍]
ジョージ・ワシントン大学大学院修士課程修了(アジア研究)〈2021年修士号取得〉
専門分野: 日米関係
研究テーマ: 日米同盟下の東・南シナ海における無人航空機を用いた未来の戦争
2017年 ウィリアムズ大学卒業(アジア研究)

Brittany Fitzpatrick ブリタニー・フィッツパトリック[アメリカ国籍]
インディアナ大学大学院修士課程修了(東アジア言語文化)〈2021年修士号取得〉
専門分野: 日本の民俗学
研究テーマ: 現代日本の山姥への理解
2011年 ゴンザガ大学卒業(国際政治学)

Jaylene Laturnas ジェイリーン・ラターナス[カナダ国籍]
ブリティッシュ・コロンビア大学大学院修士課程(アジア研究)〈2022年修士号取得予定〉
専門分野: 日本の近代文学
研究テーマ: 太宰治の人生と著作
2019年 カルガリー大学卒業(東アジア言語)

Dean Leininger ディーン・ライニンガー[アメリカ国籍]
コロラド大学ボルダー校大学院修士課程修了(アジア言語・文明)〈2021年修士号取得〉
専門分野: 近世・近代日本の言語と文学
研究テーマ: 大正・昭和期におけるモダニズムとアバンギャルドの分析
2018年 ポートランド州立大学卒業(日本語/応用言語学)

Raffaele Papa ラッファエーレ・パパ[イタリア国籍]
ヴェネツィア大学大学院修士課程修了(日本研究)〈2019年修士号取得〉
専門分野: 日本の言語・経済・制度
研究テーマ: 日本の児童文学が社会に与える影響
2016年 ローマ・ラ・サピエンツァ大学卒業(東アジア言語・文明)

Christopher Shimamoto クリストファ・シマモト[カナダ/アメリカ/日本国籍]
コロンビア大学大学院修士課程修了(国際安全保障政策)〈2021年修士号取得〉
専門分野: 東アジア地域研究
研究テーマ: 安全保障にかかる日米の共通課題への両国の取り組み
2013年 ペンシルベニア大学卒業(主専攻:国際関係 副専攻:日本研究と政治学)

Arden Taylor アーデン・テイラー[アメリカ国籍]
ワシントン大学大学院修士課程修了(日本文学)〈2021年修士号取得〉
専門分野: 日本の古典文学
研究テーマ: 源氏物語における「あわれ」の概念
2010年 ウェスタン・ワシントン大学卒業(日本語/言語学)

学士課程卒業者

Matthew Carroll マシュー・キャロル[アメリカ国籍]
ミシガン大学卒業(アジア研究)〈2021年学士号取得〉
専門分野: アジア研究・日本研究
研究テーマ: 日本の災害映画が社会全体のグリーフケアに果たす役割

Josh Feng ジョッシュ・フェン[アメリカ国籍]
イェール大学卒業(社会学)〈2018年学士号取得〉
専門分野: 社会学・東アジア研究
研究テーマ: 日本の植民地主義が現在の東アジアに及ぼす影響

Andrew Fischer アンドリュー・フィッシャー[アメリカ国籍]
セントルイス・ワシントン大学卒業(日本語・日本文化)〈2019年学士号取得〉
専門分野: 日本史 研究テーマ: 日本におけるキリスト教布教時代の主要人物の戦略とモチベーション

Mohamed Wafyedeen Gasmi モハメド ワフィエディーン・ガスミ[カナダ/アルジェリア国籍]
ブリティッシュ・コロンビア大学卒業(主専攻:政治学 副専攻:日本語)〈2021年学士号取得〉
専門分野: 比較政治学
研究テーマ: 日中関係

Christine Johnston クリスティーン・ジョンストン[アメリカ/日本国籍] シカゴ大学卒業(東アジア言語・文明)〈2021年学士号取得〉
専門分野: 日本史、民俗伝承
研究テーマ: 針供養等に見られる日本の物への供養儀式

「手話学習オンラインゲーム」―手話タウン発表― [2021年10月08日(Fri)]
「手話学習オンラインゲーム」
―手話タウン発表―


日本財団は22日、AI 認識による手話学習ゲーム「手話タウン」正式版を公式リリースしたと発表した。同財団は、国連が定めた「手話言語の国際デー」である9月23日に合わせて、同ゲームを開発・リリースした。

同ゲームは、ICT を活用してより身近に、より気軽に手話の学習が始められる教材として、同財団と香港中文大学が共同で開発を進め、Google および関西学院大学の協力のもと完成したもの。5月にはベータ版をリリース。約 8500 人が利用したフィードバックに基づき、改善を重ねた。

「手話タウン」は、ICT や AI による手話認識技術を搭載。通常は平面のみしか認識しない一般的なカメラを使い体の動きや表情、うなずき、口形等の特徴を含めた立体的な手話の動きを認識する認識モデルを開発した。ゲーム内では、手話が公用語の架空の町を舞台に、カメラに向かって実際に手話でアイテムを指示しながら、旅行に備えて荷物をまとめたり、宿泊するホテルを探したり、カフェで注文をしたりするなど、様々なシチュエーションに沿った手話をゲーム感覚で学ぶことができる。また、手話に触れたことがない人から日常的に手話を使う人まで幅広く対象としており、手話の習得のみならず、手話を第一言語とするろう者の文化についても理解を深めることができる情報をゲーム内にちりばめている。

手話は、ろう者が意思疎通を図るために使用する言語であり、ろう者の社会参画を促進するためには、手話で生活ができる環境が不可欠である。2006 年に国連障害者権利条約で「手話は言語である」と明記された。日本国内でも 2011 年に障害者基本法で手話の言語性が認められたが、手話とろう者への理解が十分に浸透しているとは言い難い。

ICT 活用が広く推進されている一方で、手話学習は学習者が手話の映像等を見て手話を記憶する形式が主流となっている。「手話タウン」は、学習者が学んだ手話を、パソコンカメラの前で表現すると、その手話表現が学習できたかを AI(人工知能)技術で確認することができる世界初(同財団調べ)の手話学習ゲームだという。
※以上、ICT教育ニュースを借用しました。

******************

以下、私の挨拶です。

明日9月23日は国連総会で決議された手話言語の国際デーです。日本は障害者権利条約を批准していますが、残念ながら未だに手話を言語として認めていない珍しい国の一つです。

日本財団は、長く障害者の社会参画を進めるべく幅広い活動を展開してきたことは皆さま御高承の通りかもしれません。なかでも、高等教育を希望する世界中の優秀な聴覚障害者の皆さまには、例えば、アメリカのワシントンDCにあるギャローデット大学やニューヨーク州にあるロチェスター工科大学などで勉強していただく機会を1993年から提供して参りました。本事業は、卒業した皆さんにはそれぞれの国で指導者としての役割を果たしてほしいという想いから開始されましたが、既に33ヶ国から500人を超える卒業生が母国に帰り活躍しています。

また、今年で19年目の事業となりますが、ろう教育について、優れた実績と経験をもつ香港中文大学とも、主にカンボジア、ベトナム、フィリピン、スリランカ、ミャンマー、インドネシアといった東南アジアの手話の辞書作りに協力をして参りました。手話辞書の作成には、手話の形の絵を描いたり、例えばインドネシアなどでは複数の主要な手話があり、様々な取り組みが必要となりますが、これまでに10億円以上の支援をしてきました。

近年では、スイスのダボスで毎年開催される世界経済フォーラムにおいて、障害者の雇用が話題になりました。政府に頼るだけではなく、民間の大企業、特に大企業のCEOの皆さまに直接関心を持っていただかないと、障害者の雇用は進みません。こうした状況に鑑み、日本財団は障害者雇用を推進するValuable500(V500)と協力し、世界中の大企業のCEOという主流派を巻き込む挑戦を開始しました。

世界には15億人と言われる障害者がいます。彼らには、働く能力も情熱もありますが、残念ながら働く機会が限定されているという現状があります。そしてこれは、15億人という大きな市場が存在するということでもありますが、健常者の立場からでは障害者の方のニーズに合わせた商品開発を十分に進めるのは難しいといえるでしょう。障害者雇用そして新たな市場開拓という両面から、企業の皆さんは意欲的であり、V500と日本財団が中心となって取り組んだ結果、マイクロソフト、ユニリーバ、エコノミスト、グーグル、ソニー、日立、花王といった世界的な企業が賛同し、インクルーシブな職場環境の醸成に努力いただいています。アフター・コロナの時代は、インクルーシブで多様性のある時代になっていくと思いますし、そうしなければならないと思っていますので、引き続き積極的に取り組んで参ります。

本日は大変素敵なテーマである「手話タウン」の発表会であります。私の隣には、日本財団の大変優れた職員である川俣郁美職員がおりますが、彼女が中心となって、香港中文大学、関西学院大学、そしてグーグルの協力を頂き、AI認識による手話の学習ゲーム「手話タウン」を作りました。パラリンピックも終わり、インクルーシブな社会、誰もが働ける社会に向けた動きが加速する中で、多くの方に手話に親しんでいただくのは大変重要なテーマであると考えています。
「日本財団・メットライフ生命記者会見」―寄付金4億円拝受― [2021年09月28日(Tue)]
「日本財団・メットライフ生命記者会見」
―寄付金4億円拝受―


以下は記者会見での発言要旨です。

************

2021年9月16日(木)


ご紹介いただきました日本財団会長の笹川です。メットライフ生命社長のオステイン氏より、メットライフ生命の事業並びにメットライフ生命が行う社会的活動についてお話しがあり、今回の4億円の事業についても触れていただきました。日本財団としては、大変有難いことであると考えております。

メットライフ財団・日本財団 共同記者発表会.JPG
メットライフ財団・日本財団 共同記者発表会


既に昨年初めにコロナ対策で1億円の資金をメットライフ生命から頂戴致しました。そして今回新たに高齢者のケア及び子供の貧困問題という分野への支援ということで、4億円という大きなお金を日本財団に託して下さりました。日本財団は多くの方から資金を頂戴していますが、これほど大きな寄付を一度に頂戴するのははじめてであり、我々の活動を評価いただき、信頼を頂いたということで大変嬉しく思います。

高齢者の問題に関しましては、ご承知の通り、日本は人生100歳時代に入ってきました。シェークスピアの戯曲に「終わりよければすべてよし」という言葉がありますが、人生の終末をいかに心豊かに過ごしていただくかは、全ての人にとって重要なテーマです。どんなお金持ち、権力者であっても「死」は絶対平等で、これ以上の平等はありません。人生の最後をいかに心豊かに過ごすかということは、社会貢献活動の中でも最も重要なテーマの一つではないかと思い私は活動をしてきました。そこにオステイン氏が目を付けられたことに、私は驚くと同時に氏の見識の深さに敬服致しました。

子供の貧困については、我々は第三の居場所づくりという活動を推進しております。日本財団の調査によれば子供の7人に1人が貧困状態にあります。かつての日本には、学校と家庭だけでなく、日本人の農耕民族としてのコミュニティというものがありましたが、経済発展の中で崩壊致しました。日本財団は学校と家庭以外の第三の居場所というコミュニティを現在の100ヶ所から500ヶ所まで増やす予定ですが、この第三の居場所では、様々な家庭の子供が集まり、また長い人生を経験したお年寄りが人生の経験を子供たちにお話しすることを通じて、我が国の伝統や文化、生きる力を教えてほしいと思っています。オステイン氏は日本に来られてからそれほど時間が経っていないにも関わらず、こうした日本財団が取り組む日本の重大な社会課題に焦点を絞り支援を頂くということで、大変ありがたいと同時に心から感謝を申し上げます。

政府は現在財政的にもつらい立場に置かれています。全てを国や行政によってサポートするのは不可能になってまいりました。国や行政の支援は公助といい、個人が責任をもって生きていくことを自助といいます。そして、個人は勿論、国や行政でできないことを意志のある人や組織が協力して共に解決していくということを共助といい、これからは益々共助の精神が重要になってくると考えています。日本ではCSRという言葉が浸透しつつありますが、実態はいかばかりでしょうか。そんな中、メットライフという外国の企業が共助を申し込んでくれたことに驚きと感動を覚えています。メットライフ生命と日本財団の共助によって、日本社会が抱える重要な課題に対する解決の成功例を作り、日本に共助の精神が普及していくということを私は心から願っています。

日本には寄付文化が育たないと嘆く人も少なからずおりますが、私は間違っていると思います。実際、日本財団は多くの方から寄付を頂いています。寄付を受ける側は、頂戴したお金に対する使い方の説明責任と透明性が何よりも必要だと我々は考えております。しかし、残念ながら、多くの日本のNPOの中には、仕事が多忙であるゆえに寄付金の使途に対する透明性や説明責任に心が配られていない団体が少なからずあります。日本財団は寄付金に対する説明責任と透明性は勿論のこと、私は1万円以上の寄付者には礼状に添え書きと署名をしています。1日に多い時は600通を超える礼状を書いています。そうした説明責任と透明性の確保をすると、またご寄付を頂くことになります。日本人の多くは寄付をしたいという意思があるにも関わらず、いただく側の説明責任と透明性の欠如で日本の寄付文化はまだ成熟しているとはいえないのではないでしょうか。ここを改善していく必要があると私たちは思っています。

メットライフ生命におかれましては、資金を単に提供するのみならず、我々の仕事に重大な関心を持ち、社員の皆さんがボランティアで活動に参加し自ら汗をかくことでも協力をしたいという積極的なご提案を頂いています。我々もオステイン氏の心意気に応えることにより、社会課題の解決のモデルケースを作っていきたいと考えています。

改めて感謝を申し上げると共に、我々が協力することで素晴らしい社会づくりの出発点を作っていきましょう。

「感染症の開かれた研究拠点構築」―10年230億円 大阪大学とともに― [2021年09月27日(Mon)]
「感染症の開かれた研究拠点構築」
―10年230億円 大阪大学とともに―


新型コロナウイルスの感染拡大で医療現場を中心にした混乱が続く中、大阪大学に10年間で230億円規模の助成をして大規模な「感染症対策プロジェクト」に取り組むことになった。基礎科学を中心に幅広い研究を進め、現下のコロナ禍だけでなく未知のウイルスによる新たなパンデミック(世界的大流行)に備えるのが目的。大阪大学と協力して、国内外の大学や研究機関、研究者が幅広く集う感染症の国際的な総合研究拠点を目指す計画だ。

今回のコロナ禍を見ながら、感染症との戦いは国民の安全保障、世界の安全保障にかかわる重大な問題だと痛感する。しかし近年は、すぐに売れて利益につながりやすい商品開発が優先されることもあり、基礎科学より応用科学が優先される傾向にある。だが、基礎のないところに建物は立たない。温暖化の進行などで感染症による新たなパンデミックが何時、起きてもおかしくない時代を迎え、改めて基礎科学、基礎医学に重点を置いた研究に取り組むことになった。

そのためにも緒方洪庵の「適塾」以来の感染症研究の伝統を持ち、国立大学でありながら、その他の国立大学とはやや色合いの違う柔軟性とともに産学・社学共同の歴史を持つ大阪大学がベストのパートナーと判断した。大阪大学側も大学の研究機関として独占するのではなく、広く世界の英知を結集する開かれた研究機関にしたいとの考えを持っておられ、プロジェクトの立ち上げとなった。

プロジェクトでは感染症研究の基盤構築、医療従事者の教育訓練やリーダーの育成だけでなく、科学的根拠に基づいた信頼性の高い情報発信など、社会経済学や社会心理学分野の研究も予定され、幅広い成果を期待している。

プロジェクトの立ち上げは9月14日、西尾章治郎大阪大学総長、金田安史副学長とともに東京・赤坂の日本財団ビルで記者発表をした。冒頭、概略以下の挨拶をさせていただいた。

以下、発言要旨です。

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2021年9月14日(火)
於:日本財団ビル2階


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日本財団会長の笹川です。現下の状勢が大変厳しいなかお集まり頂いたことに感謝申し上げます。本日の記者発表は日本財団・大阪大学感染症対策事業の立ち上げについてです。日本財団は10年間で約230億円という費用を投じて、この感染症問題に大阪大学と取り組みたいと考えております。

昨今のコロナの状況を見ました時に、多くの驚きを国民の皆さんも感じたことと思います。私の持論ですが、日本は世界に冠たる医療体制を完備し、また国民皆保険という素晴らしいシステムを持っている国です。にもかかわらず日本において、なぜこのような状況が生まれたのでしょうか。政治家の皆さんは常々「国民の命と安全を守る」と簡単に口でおっしゃっていますが、私はコロナそして感染症は「人間の安全保障の問題」と捉えています。「戦争や紛争がなければ世界は平和である」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、感染症も国民の安全、そして世界の安全保障にかかわる重大問題だと考えています。

昨今応用科学、そして応用医学に焦点が当たっています。皆さんお考えの通り、応用科学というのは基礎科学があって初めて成り立つもので、ノーベル賞の事例からも分かる通り、20〜30年前の基礎科学が実験により証明されはじめて応用科学も評価をうけるというものです。現下の世界情勢を鑑みた時に、例えば企業にとっては株主至上主義の中で、ともすればすぐに利益のでるもの、すぐに役立つ商品を販売しなければならないという事情があります。しかし、基礎のないところに建物は立たないのです。世の中は応用科学そして応用医学と言っていますが、基礎科学がない場所に応用科学育つことはありません。これは自明の理でありますが、目先の利益をつい追求してしまう世の中の流れは、残念であると言わざるを得ません。

私は地球環境問題についても取り組んでおりますが、人間にとって最も回避すべき戦争と同じように、気候変動による災害、或いは感染症の拡大も重大事であり、特に感染症は地球環境変化に関係している可能性も十分考えられます。ロシアを中心にこれまで永久凍土と言われていた場所が、今や温暖化の為に溶け出しています。ひょっとすると、何千年前、そして何億年前のウイルスがそこから出てくるということも考えられないことではないと思っています。

東日本大震災が起こるまでは、日本では何かが起こると想定外のことがおこったということで問題を処理してきた歴史があります。最近は少し変わってきましたが、常にあらゆることを想定して国民生活を安定させることは、国家として最も大切なことではないでしょうか。日本財団はコロナが発生した初期に「備えあれば憂いなし」という考えのもと、施設が使われないで終わることが一番ではあると申し上げ、緊急避難の為の施設をつくりました。想定外で片づけるのではなく、現下の情勢を考えて、あらゆることに心を配るというのが、本来の人間の安全保障のあるべき姿ではないでしょうか。

しかし、政府、行政においては、目下それぞれやらなければならない仕事が多々あることも事実です。また戦後76年、国民は権利の主張を繰り返し、「国家は何もしていない」と非難ばかりしてきましたが、多様化した時代の中で国や行政で対応できないことも多々あります。今こそ自助努力を基本としながら、日本人の持っている農耕民族としての「共助の精神」を発揮する時ではないでしょうか。そして、本当に生活に困った人には公助で支えていくことが重要だと思います。

大阪には大阪八百八橋があり、かつてはその9割は個人が寄付した橋であると勉強した記憶があります。これからの多様化する社会の中で、日本財団は勿論のこと、企業その他協力できる人が国や行政の足りないところを埋めていくという共助の精神を発揮することこそが、コロナ禍から見えてきた課題であり、アフター・コロナの時代に必要となってくることだと思います。共助の精神を発揮し、出来る人・組織が主導して助け合い、足りないところを埋めていくのが大切と言えます。

感染症についていえば、私は40年以上にわたりハンセン病制圧の為に122ヶ国、552回の海外活動に従事して参りました。アマゾンのジャングルから病気の巣窟と言われるコンゴの山奥にいるピグミー族のところまで、世界のあらゆる場所で患者を探してきました。その経験から、人間だけが進歩するわけではなく、細菌もまた変化していくことはコロナウイルスでお分かりの通りです。

大阪大学は緒方洪庵の適塾から始まり、立派な微生物病研究所も備えています。官の大学ではありますが、始まりは民の大学であり、通常の国立大学とは色合いも柔軟性も違うと認識しています。こうした背景もあり、日本財団としては大阪大学と連携することがベストであると考えています。西尾総長そして金田副学長の考えで、今後本事業を大阪大学が独占することなく、日本そして世界にオープンな組織とし、世界の英知を結集することで、また将来現れる可能性のある感染症に備えた基礎研究を目指していきたいと思います。オープンな組織として、研究成果を大阪大学が独占しないという心の広い考えに我々は心を打たれました。

また、今回のコロナ禍では、危機の時の人間の行動様式や経済との両立も大きな課題として浮き彫りになりました。日本財団と大阪大学で作る感染症総合拠点は世界に開かれた研究所であり、単に基礎医学だけでなく、行動経済学や社会倫理学の分野を含め、感染症が発生した時に対応できる研究施設とする必要があると、大阪大学より積極的に提案を頂いています。勿論将来的な新たな感染症は望んでおりませんが、「備えあれば憂いなし」という日本財団の基本的な考えに基づき、大阪大学には心を広く、研究所の開設に協力いただきます。10年間で約230億円を予定していますが、今年中に25億円は供出するなど、スピード感をもって専門家の研究の一助に、そして広く言えば人間の安全保障の為に大阪大学と共に本事業に取り組んで参りたいと思います。


「国会議員に苦言を呈す」―手話言語法制定を求める集会― [2021年09月22日(Wed)]
「国会議員に苦言を呈す」
―手話言語法制定を求める集会―


9月6日午後3時より、衆議院第一議員会館において、全日本ろうあ連盟主催で「手話言語法制定」を求める集会が開かれた。

国連障害者権利条約では「手話は言語である」「公共サービスの手話によるアクセス」「手話による表現の自由」「手話を学び、手話で学ぶ教育」「手話による文化・アイデンティティーの承認」等が規定されており、条約を批准している日本では「手話で生きる」ことが認められている。

そのためには「手話言語法」の制定が必要で、全日本ろうあ連盟は、石野富志三郎理事長を中心に10年余りにわたり懸命な努力をされてきた。かつて私も、衆参両議院への請願デモの先頭に立って歩いたことがある。

2016年3月には全自治体が「手話言語法制定」の意見書を採択して下さった。にもかかわらず国会議員の活動は不十分で、活動から10年余りを経過した今日、主権在民とは声だけで、いまだ立法府での動きは不活発で今回の集会となった。

いつもの集会では衆参両議院の出席は3〜4名であるが、解散総選挙が間近に迫っているせいか約30人が出席し、中には「〇〇県〇〇市が選挙区の〇〇です」と挨拶する議員もいた。有力議員からのビデオメッセージも披露された。しかし内容は「この集会を祝い、盛会を期待する」というものがほとんどで、通常感情を表すことは皆無である私も、まるで他人事のような愛情も情熱もないメッセージについ反応して、以下の通り、出席議員に苦言を呈してしまった。

以下、私の挨拶の概要です。

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政治家のみなさんのビデオメッセージや挨拶がありましたが、なんと白々しい発言でしょう。政治家は言葉が命でもあります。しかし、そこには愛情もなければ情熱も感じられませんでした。

ろう者の悲願である「手話言語法」制定の動きは10年間も放置されてきました。これは立法府の責任です。政治家の皆さんの責任じゃありませんか。「開催おめでとうございます。盛会を祝します」とは、まるで他人事のように聞こえてきました。「手話言語法」が制定されないからこの会議が開催されているのです。「おめでとう」とは問題意識の欠如を感じざるを得ませんでした。我々は立ち上がらなければならないのです。

かつて、石野理事長を中心に、私も請願デモの中心にも立ちました。ろう者のための電話リレーサービスも日本財団が8年間無料で提供して参りました。これに対して、安倍総理が衆議院予算委員会で国のサービスとして「これをやります」と言及して国の制度として動き出しました。電話リレーサービスは、制度化されて以降も日本財団が事務局をお引き受けして運営しています。ろう者が電話リレーサービスを使うことで、病院や役所の利用が非常に便利になりました。

法制定が進まないのは立法府、即ち国会議員の責任です。我々は共に闘いを続けましょう。そのためには、選挙が終わりましたら全ての国会議員に、これは党派を超えた問題なので、手話言語法に賛成か反対かの署名をもらい、それを持って直接新しい総理大臣のところに行くことも考えましょう。

この国はトップダウンでやらなければ決まらないのでしょうか。10年間の放置は国の責任。立法府は国会議員の活動の場であり、法律を制定する責任があります。10年間も期待を持たせて実現しなかった。さらに活動を強化して権利を勝ちとりましょう。
おわり!!

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それにしても、主権在民の民主義国家の政治家は何をしているのでしょうか。今回も自民・公明・立憲民主・国民民主・共産・社民各党の国会議員が励ましの挨拶をされた。これが10年間続いているのです。過激な発言を許していただければ「口舌の徒」、口と舌だけで実行の伴わない政治家が大多数ということになります。

更に問題は、国際条約を批准しながら実行しないことです。

@ 「たばこ」枠組み条件を批准しながら実行していない。
  このことは9月6日のブログ「たばこ会社は可哀想?」に書いた通りです。
A 国連障害者権利条約を批准しながら「手話言語法」制定を10年間も放置してきたこと。
B 「子どもの権利条約」を1994年に批准しながら実に27年間も放置。最近やっと「こども庁」設置が話題になっているが、「仏作って魂入れず」で、日本財団では「子ども基本法」制定への提言書を発表したが、現在のところ政府は、「子ども庁」設置に積極的だが「子ども基本法」の制定には消極的である。
「国際海事法研究所(IMLI)」―現況説明― [2021年09月15日(Wed)]
「国際海事法研究所(IMLI)」
―現況説明―

日本財団は、50年前から海洋環境の持続性を維持することは人類の未来永劫にわたる生存に欠かせない条件と考え、海洋を舞台に働くさまざまな人材養成を世界的レベルで行ってきた。

国際海事法研究所(IMLI)は地中海のマルタ島にあり、国際海事機関(IMO)が定めた国連海洋法条約等の適切な履行を促進することを目的として、各国の海洋・海事法関係の行政官や法律家を対象に、修士レベルの海事・海洋法の専門家を育成しており、日本財団は2003年より世界76ヶ国197人の奨学生を支援(12億9773万)すると共に、日本財団寄付講座として@海洋環境法A海洋管理B国際海洋安全保障法C国際海事法を設置している。

下記は卒業式への筆者のビデオ・メッセージです。

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デイヴィッド・アタード・国際海事法研究所(IMLI)学長をはじめとする先生方、卒業生の皆さん、そしてご参集いただきました皆さま。本日は新たに国際的な海洋秩序の実現に貢献していく卒業生の船出を共にお祝いできることを大変嬉しく思います。また、このような素晴らしい人材を育成下さったアタード・学長と先生方のご尽力に深く感謝申し上げます。

健全な海洋なくして人類の繁栄はありません。日本財団は、50年以上前から人類生存の鍵を握る海洋の状態に強い危機感を抱き、海の問題に向き合ってきました。とりわけ、海洋の保全と持続的な利用には、共通の国際法の充実と遵守が不可欠であるとの認識から、国際海洋法の専門家の育成に力を入れてきました。皆さまにおかれましては、IMLIで修得した知識や経験をもとに、国や分野を超えた人類共有の財産である海洋の秩序ある管理に向けて、尽力いただくことを期待しております。

こうした海洋法を通じた海洋の秩序ある管理については、問題が多様化そして複雑化している現在、特定の分野、あるいは特定の国だけで対応していくことは大変困難な時代となっています。日本財団は、これまで、150ヶ国から1,500名以上の海の専門人材を育成し、また、世界最大級といえる海洋研究機関・海洋科学者のネットワークも構築してきました。静かな悲鳴をあげている母なる海を守り、健全な海洋を次世代に引き継ぐために、日本財団は皆さまと共に活動していくことを強く願っています。

改めて、卒業おめでとうございます。そして、皆さまの将来のご成功をお祈りしております。
「Don’t Forget Leprosy」―ミス ブラジル候補と対談― [2021年09月14日(Tue)]
「Don’t Forget Leprosy」
―ミス ブラジル候補と対談―


第2回目の「ハンセン病を忘れないで」は、世界で唯一、ハンセン病制圧未達成国のブラジルを啓発する大イベントの一つである。各州が選出された美女による「ミス・ワールド ブラジル選出大会」の直前に行われた。

ブラジルでの「ハンセン病と人権」の活動を行っている我々の同志・アルツールさんが主導する団体、モーハン(MORHAN)が企画してくれた。各州から選出された彼女たちは、大会終了後は各州に戻り、ハンセン病制圧の啓蒙活動に尽力してくれると、その思いを情熱的に話してくれた。

以下、オンラインの記録です。

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”Don’t Forget Leprosy”キャンペーン
ミスワールドブラジル大会における対談
笹川陽平・WHOハンセン病制圧大使/日本財団会長


2021年8月19日
於:オンライン

笹川・WHOハンセン病制圧大使:
皆さんの元気なお顔を拝見して、このように素晴らしい企画を練って下さり嬉しく思います。私の人生の中でこのように沢山の美しい人達の前で話すことはなかったと思います。私は今年で82歳なのでそろそろ天国に行こうと思っていましたが、こんなに美しい人がブラジルに沢山いるのであれば、少しその予定を遅らせようと思います(笑)。

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アルトゥール・MORHANナショナルコーディネーター:
笹川制圧大使に御礼を申し上げます。今回のミス・ブラジルの企画について、休暇中にもかかわらず調整下さり感謝致します。ミス・ワールド・ブラジルとはMORHANのボランティア活動を通じた連携があり、ハンセン病に関して知る機会の向上に共に取り組んでいます。多くのミス・ブラジルの影響力もあり、SNS等での投稿で活動を発信しています。ミス・ブラジルとしての大切な活動の一つが社会貢献活動であり、ブラジル各州において環境問題や貧困問題、若者や子供が抱える問題など様々な社会問題に対する取り組みを各自進めています。皆さんの協力に改めて感謝申し上げます。ミス・ブラジルの選考に際し、社会活動の選考を担当しているマリーナ・ミスワールドブラジル事務局長にも、MORHANの活動への協力を頂き感謝申し上げます。

マリーナ・フォンテス・ミスワールドブラジル事務局長:
おはようございます。事務局にとってとても光栄な機会を頂き感謝申し上げます。2013年からMORHANとこのような事業を進めており、連携を嬉しく思います。また、笹川制圧大使をはじめ皆さんのハンセン病制圧活動に敬意を表すると同時に、ブラジルにとって大変有意義なご支援を頂いていると考えております。ハンセン病は忘れ去られた病気と言われる一方、未だにスティグマと偏見の対象となっています。皆さんの積極的な活動に感謝し、我々として協力できることがあれば何でもする所存です。

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エリス・ミエレ・20年ミスワールドブラジル:
多くの新しいミス・ブラジル達がMORHANとの連携を通じた活動を引き継いで活躍していることを嬉しく思います。ハンセン病がコロナ禍においても忘れ去れないよう私自身も努力してきました。私たちはMORHANと共にハンセン病当事者の為に立ち上がっています。新しいミス・ブラジル達が、この新しい1年でより素晴らしい活動を展開していくことを期待しています。


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笹川・WHOハンセン病制圧大使:
まずアルトゥールさんが素晴らしい機会を設け下さったことに感謝申し上げます。ご承知の通り、ハンセン病は治る病気で、薬は世界中無料で手に入ります。治療が遅れることで多少障害が残ることもありますが、差別することは大きな間違いです。私は、WHOハンセン病制圧大使として、これまで世界中を飛び回り120ヶ国を超える国々で活動をしてきました。ブラジルのアマゾンの奥地から、アジアは勿論、アフリカの砂漠地帯、ジャングルの奥深くまで患者を探しに行きました。海外でハンセン病に関する活動をするのは500回を超え、その時間を合計すると延べ10年間海外で活動したことになります。
私自身は今年で82歳になりましたが、こんなに元気に活動をしています。しかし私が元気でいられるのは、様々な人が支えてくれているからです。例えば、電車を動かしてくれる人がいなければ電車に乗れませんし、食事を提供してくれる人がいなければ三食食べることはできません。人間は一人では生きていくことはできません。しかし残念ながら、世の中ではハンセン病を患ったから、障害があるから、その他様々な理由でいわれなき差別を受け状況で苦しんでいる人が沢山います。こうした人に手を差し伸べるのは人間として、兄弟として、そして家族として大切であると思っています。
皆さんご承知の通り、MORHANはハンセン病の問題を含め社会貢献活動をしている世界的に有名な団体です。私にとってアルトゥールさんは私の兄弟であり、MORHANは日本財団や笹川保健財団の兄弟財団だと思っています。皆さんが社会で困っている人たちの為に何か手助けをしたいという気持ちを持っていらっしゃることを聞いて大変嬉しく思います。何故だと思いますか?皆さんは美しい容姿をお持ちですが、それにも増して美しい心を持っているからです。美しい心とは何でしょうか。私は人を愛する心だと思います。恋人だけでなく、困っている人、苦しみを持っている人たちに対する愛を持っていることこそが美しい心なのではないでしょうか。皆さんは外見上美しいだけではなく、内面的にもっと美しい心を持っている人たちだと思います。ハンセン病をなくすこと、あるいはハンセン病にかかっている人に手を差し伸べたいと行動し、多くの方に素晴らしい影響を与えて下さる皆さんは、大変美しい心を体現している本当の美人だと思います。
大きな大会前のお忙しい中お集まりいただいたことに心から感謝を申し上げますと同時に、是非皆さんの美しい心で社会の人たちに素晴らしい愛を届けてください。社会の為に、貧しい人の為に、困っている人の為に、声を上げてください。皆さんの力は大変大きなものがあります。皆さんのご活躍を心から祈念するのと同時に、コロナが収束しましたら、一番最初にブラジルを訪問して皆さんに御礼を申し上げたいと思っています。オブリガード。


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ミス・サンタカタリーナ州:
MORHANとの活動にミスター・ブラジル達と共に積極的に関わってきました。ハンセン病に関する正しい情報を発信する研修に参加するだけでなく、ハンセン病患者にもお会いし、啓発活動も進めてきました。ハンセン病に関する正しい知識が広まっていくことを喜んでいます。ハンセン病の患者に指をさすのではなく手を差し伸べることが大事だと思います。偏見を持っている人たちに対しても啓発して、インクルーシブな社会の為に活動したいと思います。こうした活動に従事できることに感謝致します。アリガトウ。


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ミス・エスピリトサント州:
48人のミス・ブラジルがハンセン病に関する正しい知識を発信できるよう育ったことが誇りです。多くの悲劇がありながら忘れられているハンセン病に関して啓発できる機会をいただき感謝しています。私は社会で忘れされた人に何か手助けをしたいとずっと思っていました。彼らと共に活動に携わることができるのは私の夢でもあり嬉しく思います。多くの人が関わることで社会から偏見をなくすことが、良い社会への道筋ではないでしょうか。ハンセン病に関する正しい情報発信をすることで、世界の中でもハンセン病患者の多いブラジルにおいて、この病気が忘れられることがないよう、これからも活動に関わっていきたいと思います。


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ミス・バイーア州:
ハンセン病は長年タブー視されていた病気であり、人によっては今でも誤解を持っています。MORHANとの活動を通じて正しいメッセージを伝えることができることを有難く思っています。こうした活動を通じて差別をなくしていくことで、多くの人が早期に治療を受けられるようになるのではないでしょうか。私は、私の出身地であるバイーア州において、この活動を知って喜んで関わるようになりました。バイーア州でもボランティアを増やしたいと思っていますが、ブラジル全土においても多くの人が苦しんでいるので、彼らを助けらる活動に携わることができるのは嬉しい限りです。愛をもって、助けを必要としている人、困難な人の為に声を上げていきたいと思います。私自身も自身の時間を使って、情報を発信したり、ハンセン病当事者に会いに行ったり、どうやって治療をうけられるのか啓発したり、と取り組みをしています。笹川制圧大使はじめ尊敬する人とこのような形でお話しできるのは大変嬉しく思います。支援が届かない人に支援が届くよう私たちが努力することが、ハンセン病の撲滅に繋がっていくと信じています。


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ミス・アマパー州:
アマパー州はブラジル北部の州で最もハンセン病が集中している場所です。このミス・アマパー州のタスキをかけることは責任も重大であると同時に、ハンセン病に関する正しい情報を発信できることに誇りを感じてもいます。ハンセン病は早期治療が重要であると引き続き発信したいと考えています。一方、ブラジルの多くの場所では未だにハンセン病に対するスティグマや差別も残っています。ハンセン病患者、回復者は社会に包摂されこそすれ、差別の対象になるべきではありません。ブラジル北部では早期診断を進めることが必要としており、治療が無料であることも積極的に発信していきたいと思います。笹川制圧大使にも改めて御礼を申し上げます。


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ミス・パラー州:
治療を受けた人が社会に復帰していくことの重要性を私の州でも発信していきたいと思います。ミス・パラー州のタスキと冠の持つ影響力を活かし多くの人を助けていきたいと考えています。


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ミス・マットグロッソ州:
インクルーシブな社会の実現こそ、ハンセン病患者、回復者の生活を充実させるものであると信じています。ハンセン病について、ミス・マットグロッソ州としての影響力を活かして情報を発信していきます。乗り切ることができる病気だと考えていますが、治療がされない、応援がない、差別の対象になることが最も大きな問題であり闘う必要があります。ハンセン病と闘う重要性を発信していきます。そして、ハンセン病患者の早期発見・早期治療にも協力して参ります。


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ミス・リオグランデ・ド・スル州:
ハンセン病に関する正しい知識を深め、また、ハンセン病患者、回復者に対する差別は不当であることを伝え、ハンセン病が広がらないよう貢献して参ります。

アルトゥール・MORHANナショナルコーディネーター:
実は、今日ここに集まっているミス・ブラジルの皆さんを含め、ファッション業界のように「美」の仕事をしている人も実はブラジルでは差別の対象になっています。「美しい女性は頭が悪い」といった偏見です。美しいと、その人は見た目だけという誤解を受けることが多々あります。彼女たちのように、外側だけではなく内面にも教養や文化的な豊かさが備わっているにもかかわらずです。これは旧来の男尊女卑的な考えに基づくところもあります。ミス・ブラジルの選考過程で3分のアピール時間がありますが、その時に彼女たちの素晴らしさと同時に苦労した経験を聞くことが多々あります。最後に笹川制圧大使からひと言お願い致します。

笹川・WHOハンセン病制圧大使:
皆さま方、大事なお仕事の前にお集まりいただき改めて感謝申し上げます。皆さまの美しい姿ではなく、直接は見えない美しい心の声を聞かせていただき、私は大変幸せに感じています。皆さんはそれぞれ幸せな生活をされていると思いますが、心で感じる幸せというのは、ハンセン病患者、回復者、或いは困っている人たちを笑顔にしてあげることだと私は信じています。みなさんと一緒に頑張りましょう!オブリガード!!

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ミス・コリアブラジル:
MORHANのキャンペーンは大変に価値のある活動であり、それぞれの州を代表している我々が、将来健全な社会を花開かせる種として貢献していきたいと思います。多くの方がハンセン病の早期発見・早期治療を受けられるよう頑張っていきたいと思います。

笹川・WHOハンセン病制圧大使:
貴女とお話しできてうれしく思います。私のハンセン病との闘いが始まったのは、韓国でハンセン病が多かった時代、病院を建ててほしいという要望を受けた父・笹川良一が病院を作ったことに始まります。その病院が開かれるときに父に同行し、初めてハンセン病の患者を見ました。もう45年も前の話です。これが私がハンセン病活動に従事するきっかけでした。そのきっかけは貴国にもありました。私がその時に植樹した木は、今では大変太く背の高い木になっています。
「アジアの沿岸警備隊奨学生」―政策研究学院大学修了― [2021年09月09日(Thu)]
「アジアの沿岸警備隊奨学生」
―政策研究学院大学修了―


日本財団では、毎年、アジア諸国で沿岸警備に従事する幹部候補生を、政策研究学院大学で英語による一年間の研究を実施している。今年はコロナの問題もあり、フィリピン、スリランカ、タイ、そして日本から2名参加の7名であった。

2015年度から開始したこの海上保安政策プログラムは、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナム、スリランカ、インド、タイ、日本から47名が修了して第一線で活躍すると共に、ネットワークを構築して素晴らしい情報共有の場となっている。

以下は私の挨拶です。(8月30日)

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皆さん1年間ご苦労様でした。修了を心から祝福致します、本当におめでとうございます。日本の海上保安庁長官をはじめ皆さんのご配慮により、研修も十二分に行き届いたものであったと確信しております。

今日は短い時間でしたが、菅義偉・日本国総理大臣にお目にかかることができました。これも海上保安庁のご尽力があってのことでした。世界で一番忙しい国家元首は日本の首相でありまして、150日間も連続で勤務し、先日久しぶりに休暇をとったというほどです。非常に短時間ではありましたが、総理も皆さんのお立場をご理解されているので、お会いすることができたと思います。これも皆さんにとって、学問の終了と同時にお祝いをすべき事柄と考えております。

日本財団は50年以上にわたり世界の海洋問題についてあらゆる角度から活動をしてきました。当時、海洋は特別な人以外関心が十分ではありませんでしたが、今では様々な問題が指摘されてきています。例えば、気候変動や皆さんの仕事である海上を取り巻く犯罪問題、また地球の7割を占める海の70%は公海で、ここで起こる諸問題をどのように対処していくのかというのは大きな課題です。

また日本財団は、50年間で150ヶ国、1500名に及ぶ海洋の専門家の養成をしてきました。例えば、スウェーデンにある世界海事大学、マルタにある国際海事法研究所、そして船員教育であればカーディフ大学国際船員研究センターで人材育成を実施して参りました。これらの卒業生の皆さんと日本財団は人的なネットワークを構築しております。

17世紀のオランダの海洋学者グロティウスが、海洋の自由論・無限論を提唱し、学問としても確立されてきました。その為、未だに海を利用する様々なセクターの皆さんに、海は自由で無限なものであるという潜在的な意識が残っているのは事実であります。しかしながら、海を活用する多くの人にとって、まず法律を守ることが大切です。そして、その法律を順守させること、即ち、健康な海洋が存在するために最も基本的な分野において、皆さんのご活躍が必要です。既に犯罪も国際化されており、多国間の協力を必要とする問題が沢山あることは、皆さんご承知の通りです。その為には、海洋という舞台で仕事をする皆さんが、多国間で連携しネットワークを構築していくことが重要であると認識しています。国家同士の問題以前に、お互いが知っているか知っていないか、自由に話せる仲間がいるかいないかは、問題解決に大変重要であると私は経験上感じています。

皆さん1年間共に学ばれたので、お互いの友情の継続を期待すると同時に、多くの卒業生、そしてこれから皆さんの後に続いて学習する人達との間に信頼できるネットワークを国を超えて構築し、その為には日本財団も力を発揮していきたいと思っています。

コロナの影響で外国訪問がかなわないのは残念ではありますが、私は従来、年間20回くらいは海外出張をしてきました。皆さんのお国を訪問した際は、皆さんとお会いするのを習慣にしていますので、近い将来皆さんの国で皆さんの働いている姿を拝見するのを楽しみにしています。

改めて、修了に心からおめでとうと申し上げると同時に、これから皆さんが各国に戻り活躍することを期待しています。海上保安庁の皆さんにおかれましては、長官の指揮のもと、奨学生の皆さんのために尽力いただき、本日無事卒業をむかえたということで、ご助力に心より感謝を申し上げます。改めて皆さんに心からおめでとうと申し上げます。

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海上保安政策プログラム第6期生と菅義偉総理を表敬



「障害者とビジネスフォーラム」―日本財団とTHE Valuable 500― [2021年09月07日(Tue)]
「障害者とビジネスフォーラム」
―日本財団とTHE Valuable 500―


日本財団は、アイルランドの視覚障害者・キャロライン・ケーシー女史が設立し、世界的大企業・ユニリーバのCEOを務めたポール・ポルマン氏が会長を引き受けた「THE Valuable 500」の活動を3年間で5億5000万円を支援し、著名な企業のCEOに直接働きかけ、世界の障害者12億人の雇用の確保と新しいマーケットの発掘に寄与し、アフターコロナの時代をインクルージブな社会にしたいと考え、世界の有力企業500社が結集して活動を開始しました。8月20日には日本で最初のフォーラムを大手町サンケイプラザで開催し、菅首相からも力強いビデオメッセージをいただき、盛会でした。

下記は筆者の冒頭挨拶です。

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ご紹介いただきました日本財団会長の笹川です。この度Valuable500と共催で「障害とビジネス」フォーラムを開催致しました。現下のコロナの情勢もあり、会場に出席する方の人数は限定させていただいておりますので、多くの方にはYOUTUBEを通じてご覧いただいていることに感謝申し上げます。

日本財団は50年の長きに亘り、障害者の社会参画について努力をしてきた組織です。国際的な取り組みを紹介しますと、アメリカにあるギャローデット大学やロチェスター大学などで、世界中のろう者のみなさんに学んでいただく機会を提供し、修学後はそれぞれの国に帰ってろう者の組織化、或いは指導者として活躍していただくことを目的にした活動で30年続けています。

また、フィラデルフィアのオーバーブルック盲学校でも人材養成を長く続けています。東南アジアにおいては、特にカンボジアやスリランカでは、内戦や自動車社会になるにつれて増加した交通事故で義手義足を必要とする人が沢山いらっしゃいましたが、義手義足を製作する人も学校もないという問題に直面し、義肢装具士養成学校の設立を支援いたしました。今ではカンボジア、タイ、スリランカ、インドネシア、フィリピン、ミャンマーに義肢装具士養成学校を開校しました。義手義足の製作技術の中でもフィッティングは重要で、肉体と義手義足をフィットさせるには大変な技術がいります。こうした技術を持つ人を育成するために、我々は1つの学校を10年程度支援し、その後政府に引き渡してきました。こうした支援には6ヶ国で80億円を投じて参りました。義手義足を手に入れることは社会参画のきっかけとなってきました。

国内の我々の活動のほんの一部を紹介しますと、障害者の方で花屋さんを営み胡蝶蘭を温室で栽培し成果を出している方もいらっしゃいますし、文京区にはろう者だけのレストランもあります。店員からコックまで全員ろう者で、メニューを指させば素晴らしい料理がサーブされます。皆様には是非一度訪問いただければと思います。このように日本財団は長年にわたり、障害者が働くことができる環境を整備して参りました。

今回の東京パラリンピック開催が1つのきっかけとなり、障害者の競技団体事務所は日本財団ビルの中に一括して入っていただきました。競技ルールの変更や、協会から届く英語の通知を翻訳するなど、様々なサポートを提供しています。従来は小さな事務所で、ともすると夫婦で帳面を付けながら頑張ってきた団体が一堂に会することになり、パラスポーツに携わる人の横につながる仕組みが出来たということです。

ロンドンオリンピック・パラリンピックが契機となり、パラリンピックの成功なくしてオリンピックの成功なしと言われています。本当は是非、子どもたちにパラ・アスリートの活動を見てほしいところですが、コロナ禍の影響もあり叶わないのが現状です。しかし、パラ・アスリートの方は学校を訪問し、どのようにして様々な障害を乗り越えたかという話を子供たちにするという活動をされており、彼らの話は子供たちに感動をもって受け止められています。未来を背負う子供たちに夢と希望、そして自信を与える活動をされているのです。

障害者のビジネスについては、V500と共に、障害者の社会参加を世界規模で推し進めようと、世界の大企業とのネットワークの構築を図っています。V500の創設者はキャロライン・ケーシー氏で、彼女には視覚障害があります。V500のバックボーンとして、ユニリーバのCEOを務められたポール・ポルマン氏が会長を引き受け、活動を開始しました。有難いことに、日本からも多くの企業にご参加いただいています。世界的にはアップルやグーグル、マイクロソフト、BBC放送などが参加しており、日本からは朝日新聞、読売新聞社、ソニー、日立、資生堂その他50社近くの企業に参加いただきました。障害者の雇用促進を世界規模にしていくために、日本財団はV500に対し3年間で5.5億円を提供して参ります。

障害者も共に働けるインクルーシブな社会を実現するというのは私の夢でもあります。私はこれまで国連の障害者に関する多くの会議に出席してきましたが、世界には12億人を超える障害者がいます。彼らには能力も働く情熱もあります。ないのは働く環境だけです。世界の潮流はインクルーシブな社会を目指そうというもので、その中で日本から50社近くの企業が参加したということは、日本の企業の皆さんの意識の高さの証左であり、正直申し上げて驚いてもいます。世界の投資家の視点も、インクルーシブな社会を目指す企業に向いています。今や企業は良い製品を生み出すだけでなく、多様なハンデを持つ人を含めて働くことができる環境を作る責任が生じてきたのではないでしょうか。

世界12億人の障害者は、労働者としてだけではなく、消費者としても存在しています。彼らの生活を豊かにする商品作りも大きな市場といえるのではないでしょうか。こうした市場では何が求められているのか、何が必要なのかについては、当事者が何よりも良く知っています。本日参加されている垣内氏からも後でお話があると思いますが、当事者が「ここはこうした方が良い」ということは一番理解しており、彼らの話に耳を傾けることで改善点も見えてきます。東京オリンピックそしてパラリンピックが終わった後の日本そして世界は、インクルーシブな社会を目指す方向に急速に発展していくものと確信しています。彼らの才能や情熱、その他様々な能力を我々も学ぶことで、12億人の市場と雇用が生まれてくるのではないでしょうか。

これまで我々は国内そして海外において精一杯活動をしてきましたし、特に障害者権利条約という素晴らしい条約が国連でも生まれました。しかしながら、政府だけに訴え続けても十分ではありません。私は、ハンセン病制圧活動に40年以上従事し、世界120ヶ国をまわってきました。国連ではハンセン病の患者、回復者その家族に対する差別撤廃決議を全会一致で可決させましたが、それでも大きく物事は動きません。お集りの企業や皆さん個人が先導することで、国や行政が動き出すのです。国や地方行政が先頭に立ってこうした課題を解決することはもはや難しい時代になってきているのです。V500に参加した企業、そしてこれから参加する企業の皆さんが、世界の様々な社会課題を解決するリーダーシップをとっていただくことで社会と世界が変わるものと確信しています。

今日は日本で初めての会合ではありますが、これからも世界を回ってこの活動を続けていきたいと考えております。お忙しい中集まっていただいたことに感謝すると同時に、ポストコロナのなかでインクルーシブな社会を作ることこそが世界にとって重要であると理解いただきたいと思います。ありがとうございました。
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