「ワールド・オーシャン・サミット」−日本財団・エコノミスト共催− [2025年03月14日(Fri)]
「ワールド・オーシャン・サミット」 −日本財団・エコノミスト共催− 3月12日と13日の二日間、日本で初めてワールド・オーシャン・サミットが日本財団と英国の有力メディアであるエコノミストとの共催でANAインターコンチネンタルホテルで開催され、50ヶ国から750名を超える外国からの専門家が参加して海洋汚染対策や健全な漁業の在り方などが議論された。 内閣総理大臣で総合海洋政策本部長も兼ねる石破茂首相が登壇し「国民が海と親しむ機会がものすごくものすごく減っている。今は『海で泳いだことがない』という子どもたちが非常に多い。そして、泳げない先生もたくさんいる。そうして海に親しむ機会が減っていることは、非常に憂慮すべきことだと思っている。これから先わが国は“島国”から“海洋大国”を目指していきたい。そして、海の安全・平和・資源の利用に向けてもっと責任を果たしていきたい」など、内外の海洋問題に対して見解を述べられた。 以下は開会式での私の挨拶(原文英語)です。 ***************** 各国首脳の皆さん、ご来賓の皆さん。日本財団はエコノミスト・グループと共に「ワールド・オーシャン・サミット」を共催出来ることを嬉しく思うと同時に、サミットにご参加の皆さんにおかれては、世界の各地からご足労下さり、誠にありがとうございます。 日本財団は1962年の設立以来、海の保全と持続的な利用の実現に一貫して取り組んできました。この60年のあいだ、20を超える姉妹財団の中心的な存在として、世界の人々の平和と繁栄を国境の枠を超えて実現しようと、連携と協働を積極的に進めて参りました。 ますは、このすべての財団に共通する理念について紹介させてください。それは「互いの痛みを知り、理解しようすることは、互いの希望を分かち合うための礎になる。そして共に目指すことのできる明るい未来を切り拓くことにつながる」というものであります。 今の「海」ほど、この理念を実行することが求められている現場はないと私は感じています。私たちは、これまでの常識がことごとく覆されてしまうような、予測がつかない時代に生きています。各国を取り巻く国際情勢も、自国民の利益を露骨に追求する大国の新たな指導者たちなどによって急激に変化しています。 しかし、世界に180以上の国がある一方、海は1つしかありません。そして各国による自国の利益を追求した行動をすべて吸収してその影響を被るのは他でもない私たちの海です。各国が直面している海にまつわる危機を互いと共有し、効果ある対策を皆で協力して見出さない限り、人類は共通の目標を思い描くことすら難しくなるでしょう。地球温暖化問題が、私たちに個人としての未来だけでなく、人類全体の未来について考える必要があると気づくきっかけをくれたことを忘れてはならないように思います。 皆さんは世界が直面する数々の課題を解決するためにここまで足を運んだのだと推察いたします。言い換えれば、国籍に関係なく、世界各地のコミュニティや個人が耐え忍んでいる「痛み」を学び、共有するために来ているのだと理解しています。そして世界の人々が共有できる未来を追い求めることがこれまで以上に困難になっていることも承知しています。しかし、そんな未来こそ私たちは希求すべきではないでしょうか。 私たちが力を合わせたとき、成し遂げることができることの大きさを、ぜひ、世界に示しましょう。「海」こそが、人類が直面する未曽有の危機を乗り越えるための結束をもたらしてくれると信じてやみません。 このたびはサミットにご参加いただき、誠にありがとうございます。重ねてお礼申し上げますとともに、皆さんの叡智から学べることを、心から楽しみにしております。ありがとうございました。 |