「ポイ捨てタバコをどうするか」―室内禁煙で激増― [2025年04月25日(Fri)]
「ポイ捨てタバコをどうするか」 ―室内禁煙で激増― 禁煙運動の活動家である渡辺文学さんは、日常活動の中でポイ捨てタバコを拾い続け、6年間で10万本を超えたという。 受動喫煙の問題で室内禁煙が徹底されたことから路上喫煙が増加し、その結果としてポイ捨てタバコが激増している。我が家では、老妻が週に二・三度ポイ捨てタバコの清掃を行っている。渡辺文学さんは「吸い殻買取り制度」を提唱されている。私が小学生の頃、ハエ取り運動が盛んでマッチ箱に取ったハエを一杯詰めて何箱も学校に届けたことがある。残念ながら、ご褒美に何かをもらった記憶はない。 日本財団では、人々に環境問題の重要性を知ってもらうためにゴミ拾いをスポーツ化した。「スポゴミ」と称するこの取り組みでは、全国大会(県別)は勿論のこと、第3回の世界大会には34ヶ国が参加し、東京で開催される予定です。三人一組で一時間以内にどれだけゴミを拾えるかを競います。ただ面白いのは、ゴミの種類によって点数が異なり、タバコの吸い殻が一番点数が高いことです。 このスポゴミ世界大会とは別に、全国でゴミ拾い運動を展開していますが、最大の効果は一度ゴミ拾いを経験すると、その人は決してゴミを捨てなくなることです。海洋ゴミの7割は河川を通じ陸から海に流れ込みます。その中でも吸い殻とプラスチックは最悪のゴミです。2050年には、魚類とゴミの総量が同じになるともいわれています。 少し長くなりましたが、以下は禁煙運動の活動家「渡辺文学さん」の書簡です。 ******************* 笹川 陽平様 渡辺 文学 日ごろのご協力に厚く御礼申し上げます。 さて私は、2019年1月20日から、京王線・芦花公園駅周辺の吸い殻拾いを始めてから、昨年7月7日に10万本を突破しました。 その後、本年1月31日で満6年を過ぎ、拾った総本数は109,231本となりました。(別紙ご参照願えれば幸いです) 京王線の急行が止まらない駅周辺で、これだけの本数ということは、全国的には一体何百万本何千万本が捨てられているのでしょうか。街頭・公園・職場・家庭等で捨てられた吸い殻は、毎日、 全国の清掃工場で燃やされており、 汚染物質が大気中に放出されています。また排水溝に捨てられた吸い殻は、河川を汚し、最終的には海を汚染しています。 WHO(世界保健機関) では、2022年の「世界禁煙デー」に「地球環境を破壊するタバコ」と題するメッセージを出しました。 主張の中身は、まずタバコ製品の環境負荷として@紙巻きタバコ製造のために伐採される木材6億本/Aタバコ製品の製造と消費で発生する二酸化炭素8400万トン/Bタバコ製品の製造のために消費される水220億リットルと、具体的な数字を挙げています。 また、毎年800万人の人命を奪っていること。さらに、葉タバコ栽培、タバコ製品の製造・販売・流通・消費と、吸い殻などの廃棄物による環境破壊が人々の健康を侵していることを強く主張しています。 そして、タバコ産業には「汚染物質排出責任」の原則を適用すべきであるとして、 タバコのゴミを全て回収する責任があることに初めて言及しました。 私は、タバコ会社が「吸い殻買い取り制度」(デポジット制度)を設け、1本1円でもいいから引き取ることを考えるべき、と思っております。街や道路・公園などの美観を損ない河川・海を汚染している“タバコポイ捨て問題”の9割以上は解決すると存じます。 ところで私は、吸い殻だけではなくゴミも拾っており、空き缶、ペットボトル、紙くず、レシート、マスク、飴 ・ガムの包み紙など、連日ひどい状況が続いております。 この問題につきまして、世田谷区の保坂区長はじめ、警察署長、大手コンビニ社長、飲料メーカー社長などにも何回となく手紙を送って「ポイ捨て禁止キャンペーンを!」と呼びかけておりますが、ほとんど無視されたままとなっており、残念でなりません。 タバコ吸殻問題では、2023年2月から、米環境団体のSTPA (Stop Tobacco Pollution Alliance) 、 ニューヨーク・タイムズと共同で、タバコフィルター・プラスチック汚染がもたらしている環境汚染の全額補償を求めるキャンペーンを開始しています。 最近この「プラスチック問題」では、新聞、テレビが頻繁に取り上げて報道していますが「タバコフィルター」 については、全く無視されたままとなっております。 これまでタバコについては 「健康問題」 が主要なテーマでしたがこれからは「環境問題としてのタバコ」が、紙巻き・加熱式とも問われる時代となってきました。 この問題について、石破内閣の環境大臣となった浅尾慶一郎氏に手紙を送りましたが、残念ながら反応は全くありません。 米国では、1980年代からEPA (環境保護局) が受働喫煙問題を重視し、1983年にカナダ・ウイニペグで開かれた「第5回喫煙と健康世界会議」では、同局のJ.S. レペス博士が、平山雄博士と共に熱弁をふるっていたことを思い出しました。 環境省も、米EPAに学んで行動を開始して欲しいと願っています。 別紙.pdf 2025年2月1日 【事務所】 102-0072 千代田区飯田橋2-1-4-203 TEL: 03-3222-6781 / FAX:3222-6780 |