「冷却した日中関係」−民間交流で打破を− [2024年11月13日(Wed)]
「冷却した日中関係」 ―民間交流で打破を― 一衣帯水といわれ、子々孫々の友好、井戸を掘った人は忘れないといわれた言葉は今や死語となり、日中関係が冷え込んで久しい。 特に福島の原発処理水を国際原子力委員会の厳密な検査を受けた上での海洋への放出にもかかわらず汚染水と称し、日本産の水産物を全面輸入禁止にしたことは残念なことだった。インバウンドの中国人は盛んにスシローをはじめ回転寿司に殺到しているにもかかわらずである。政府間関係が例え冷却しても中国とは地政学的に隣国には変わりない。したがって、民間交流は大切だと考えている。昨年8月には35周年間続いている中国の笹川医学生の大会を権威ある人民大会堂で開催した。当初3000人規模の大会と考えていたがコロナ禍の影響もあり3000人は招待できなかったが、中国当局により過去の実績が評価され、参加者1000名で開催することが出来た。続いて、日中の軍事交流も再開され、自衛隊の訪中、中国人民解放軍の来日も実現し、11月26日には、自衛隊の訪中に同行予定である。 中国外交部の林剣報道官は30日の定例記者会見で、日中関係の問題について、「中国と日本は互いに近隣国であり、アジアと世界の重要な経済国であり、幅広い共通利益と協力の余地がある」と述べ、中国は両国の各レベルの対話と交流に対して開放的な態度を持っており、日本に対しては、中国と共に同じ方向に向かって歩み、両国関係の改善と発展のために建設的な役割を発揮するよう期待する考えを示した。 この発表は大いに結構なことで政治的関係の停滞の中で民間交流を窓口に両国間の関係修復に中国は舵を切ったと判断できる。又政府間レベルも秋葉安全保障担当と王毅外務大臣の会談も予定されているようである。 日本財団と関係団体である笹川平和財団、日本科学協会は長年にわたり、政府間の冷却した期間も変わらず民間の立場からの防衛交流、医学交流、文化交流を長年にわたり継続してきた。その一つ「笹川杯全国大学日本知識大会」について10月31日付「人民網」の記事に取り上げられましたので以下の通り紹介します。 ******************* 中国の大学生が日本に関する知識を競い合う「笹川杯全国大学日本知識大会2024」が10月26日と27日、浙江大学で開催された。今大会は日本財団が特別協賛し、浙江大学と日本科学協会が主催して、中国各地の大学100校の教員・学生398人が参加した。人民網が報じた。 決勝の開会式では、浙江大学の周江洪副学長が挨拶し、「笹川杯全国大学日本知識大会は中国の青年が日本に対する理解を深め、中日文化交流を促進するために、意思の疎通の架け橋を築いている」とした。 日本科学協会の高橋正征会長は、「大会を通して、皆さんが日本の文化や言葉、文芸に強い興味を抱き、深く理解していることをしみじみと感じることができた。参加者は日本に対する理解を深める過程で、知識そのものを得るだけでなく、知識の習得能力も向上させたと思う」と、感慨深げに語った。 20周年を記念する特別コーナーでは、日中笹川医学奨学金制度の受給者も特別参加した。その他、今回は参加者が「私と知識大会」と「10年後のアジア」をテーマにしたスピーチも行った。 最終的に、個人戦では南開大学の賈マ怡さんが特等賞を、団体戦では北京外国語大学代表チームが特等賞を受賞した。 日本財団の尾形武寿理事長は取材に対して、「日中両国が相互理解を深めるためには、対面交流が必要。未来を背負う若者が、相互理解と友誼を受け継ぐというのが、この大会の最大の意義」と語った。 2004年から開催されている笹川杯全国大学日本知識大会は今年20周年を迎え、中国全土の日本語教育界において最も影響力ある大会の一つになっている。大会で優秀な成績を収めた大学生は、8日間日本を訪問し、様々な角度から日本の社会や歴史、文化、自然に対する理解を深めることになっている。 |