「写真の少年の読書は何か」―実は哲学書です― [2024年09月04日(Wed)]
「写真の少年の読書は何か」 ―実は哲学書です― 妻の話によると、炎暑の中、駅のベンチで多くの大人たちがスマホの操作に余念のないところで、一人だけ年の頃、小学校4〜5年生の男の子が一心不乱にアンダーラインを引きながら読書に励む姿を見たそうである。 あまりに熱心に読んでいるので、夏休みの宿題のために好きな昆虫か恐竜の本なのかと思い、確かめようと聞いたところ、黙って表紙を見せてくれたそうだ。なんと哲学書であり、びっくりしたらしい。 「『誰に勧められたの』『どうして哲学に興味をもったの』と色々聞いてみたかったが、読書の邪魔になってはと思い、諦めたのよ。今思うと、しっかり聞いておけばよかったわ」と日常冷静な妻が興奮冷めやらぬ体(てい)で一気に捲し立てた。「早速購入したから、あなたも緑陰で勉強して下さいね」と当年85歳の老生を、小学生と思い諭されてしまった。 当方は『光る源氏の物語』上下960ページを読書中で、大野晋さんと丸谷才一さんの対談形式の解説が実に博覧強記、談論風発で、源氏が女性と夜を共にした時、同衾ではなく「実事」があったか否かの言葉も上品で面白く、源氏物語の解説として出色で夢中になっているところではありますが、我が家の権力者である老妻の言や絶対で、並行して読み始めた。『哲学100の基本』(岡本裕一朗著、東洋経済新報社、税込み1980円)です。プラトン、ソクラテスの時代から現代までの哲学者の言葉を要領よく解読されています。 それにしても全国各地で書店が激減し、スマホによる読書人口の減少は出版不況をもたらし、明治以降、日本人の良き伝統であった読書人口は減少の一途で実に淋しいものがありますが、写真のような子供の読書姿を見ると、酷暑の中、一風の清涼を感じさせてくれました。 内緒の話。「老妻もたまには良い話をしてくれるものです!!」 |