「トンガ海底火山噴火への支援」―ようやく終了― [2024年07月29日(Mon)]
「トンガ海底火山噴火への支援」 ―ようやく終了― 2022年1月15日、トンガ王国で大規模な海底火山噴火が発生した。4日後の19日、日本財団は「トンガ救援基金」を設置。国民のみなさんより24,409件、94,204,074円の寄付を頂戴した。日本財団も1億円を拠出し、合計約2億円でトンガの国民の皆さんにどのような支援が必要か、トンガ王国と交渉を開始した。日本財団は常に災害時の救援金は支援して下さった皆さんに透明性と説明責任を果たすため、決して現金を渡さないことを原則としている。 そこで、トンガ王国との交渉だが、2022年1〜5月にわたり、日本財団理事長の尾形武寿が再三再四在日トンガ大使と支援内容の協議を実施するも、コロナ禍におけるロックダウン等で具体的な支援内容が確定しなかった。6月にポルトガルのリスボンで開催された国連海洋会議に、トンガのシャオシ・ソヴァレニ首相が参加されておられたので、この場で協議の結果、住民の集まるコミュニティーホールと、漁船が流出・破損した漁民用ボートの支援の要請を受けた。しかし、中々具体的な要請書類が届かず、担当の梅村岳大部長が10月にトンガを訪問。首相をはじめ関係者と協議の結果、コミュニティーホール3棟に、付属品の机、椅子、それに漁民用ボート30隻、そして漁具の支援が正式に決定された。 2023年1月、梅村と真野職員が再度トンガを訪問。首相、建設省、漁業省と協議の上、支援の大枠が確定。8月24日、トンガ王国と日本財団との事業実施合意に係る調印として、テヴィタ・スカ・マンギシ・駐日トンガ大使と日本財団・尾形武寿が合意書に署名。翌2024年2月28日にボート30隻(船外機付23ft 18隻、船外機付32ft 12隻)が完成、漁具と共に引渡完了。6月17日、コミュニティーホール1棟が完成し、机、椅子と共に引渡完了。残りのコミュニティーホール2棟についても7月中には完成、引渡の予定だ。 以上のように、トンガ海底火山噴火の支援金を活用し、極力現地の要請に応えながら、また現地経済にも資するよう地元業者と積極的に連携することを重視した結果、トンガ王国の要請を受けてから正式引渡まで実に約2年6ヶ月の歳月が必要であった。しかし、勿論掲載写真のように真に住民に喜ばれる支援となったことは支援金を提供された皆さんもご納得いただけることと思います。素早い活動力が武器の我々ですが、今回のように支援に時間を要することがあったとしても、付託頂いた寄付を責任をもって活用させていただき、透明性と説明責任を果たして参ります。 よく日本には寄付文化の意識が低いとの識者のコメントがありますが、これは大いなる誤りです。支援金や寄付を受けた団体や組織の説明責任や透明性に問題ありと筆者は思慮致します。トンガ災害には多くのメディアや団体が募金活動に参加されました。筆者の知る限り、集まった金額そして支援先、及び何に活用されたか全く不明の状態です。日本人には「利他の心」、つまり他人を思う気持ちは強いものがあります。支援金を募集される組織や団体の責任は重いのです。 |