「障害者就労」―新しい試み― [2024年05月10日(Fri)]
「障害者就労」 ―新しい試み― 日本財団では障害者就労について様々な試みを行っている。就労継続支援B型については福祉事業者に1人当たり175,000円の手当が支給されているが、障害者の働く賃金はわずかに月額13,000〜15,000円程度である。就労継続支援B型の福祉事業者へ公費から支払われる金額は膨大で、年間8,000億円を超えている。財政悪化の中で、なんとか障害者が自立するための賃金を獲得することによって、国の財政負担を少しでも減額し、また、障害者が国の援助で生活するのではなく、納税者として胸を張って生活できる環境整備こそ重要だと考えている。先般報告した国立国会図書館デジタル化プロジェクトについては、日本財団が受注し福祉施設の障害者にその作業を行ってもらう活動は好評で、全国8拠点で既に活動しているが、全国展開を夢見て努力しているところです。 少し前置きが長くなりましたが、新しい実験として、仙台市にある社会福祉法人チャレンジドらいふ(白石圭太郎理事長)のご協力を得て、日本財団が整備費2億6800万円を全額支援し、約2800平方メートルの敷地に14棟のビニールハウスを建設。年間50トン以上の新鮮な野菜を生産し、初年度は4000万円以上の売り上げを上げることが目標です。この取り組みの最大の特徴は、生産した野菜全量を、5年間三菱ケミカルが買取保障してくれたことである。これによって、ここで働く20〜40代の障害者11名は、これまでの月額工賃約1万5000円から時給923円となり、6時間労働で20日働くとして、月額11万700円と大幅アップとなる。これによって国の社会福祉費はゼロになるわけである。 ただ、問題は障害者の就労継続支援B型事業所を返上しなければならないことである。しかし、白石圭太郎理事長は、障害者の賃金が月額15000円前後から10万円以上に大幅アップすることで、国の膨大な福祉事業費の削減に協力するとともに、障害者の自立支援を実現したいとの情熱があり、将来多くの福祉事業者が、単に国の補助で障害者を保護するのではなく、障害者が真に独立して納税者になるよう革命的に変化させようと法人を返上して、野菜の売り上げで給与を払う一般事業所「ソーシャルファーム大崎」を設立した。改めて、「脱福祉」を図り障害者の大幅給与改善、公費抑制を目指す日本初の事業を日本財団が白石圭太郎理事長と共に汗をかき、多くの社会福祉法人のモデルになりたいと願っています。 |