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「日本財団職員へのスピーチ」―24年度年度始め― [2024年04月03日(Wed)]

「日本財団職員へのスピーチ」
―24年度年度始め―


24年度の年度始めにあたり、日本財団職員へのスピーチを行いました。原稿なしの即興スピーチなので、文脈が整っておりませんがご勘弁ください。

******************

おはようございます。本日は4月1日ということで、新年度が始まるので挨拶をしてほしいということです。職掌柄やらざるをえませんのでお付き合いください。

本日、13名の方が新しく入会され、先ほど辞令を交付しました。希望に溢れた若者の皆さんに、是非とも新しい社会人としてお勤めを頂きたいと思います。また、先輩の皆さんにおかれましては、皆さんの豊富な経験を新入職員の皆さんにお伝えいただきたいと思います。鳥取県と伊勢市からも出向いただいております。ともすると行政は画一的な活動をせざるを得ない中、民間レベルの仕事のやり方を勉強させてほしいとご依頼がありおいで下さいました。2年間お務め頂き、それぞれの地方自治体に戻れば、新しい風を吹き込んでくれるものと思います。

昨年度は10%の給与のアップが出来ましたし、また、新年度は平均で約5%の賃金上昇に努力しています。この組織はユニークで、皮肉ではありませんが、社内で結婚をなさり夫婦で務めていらっしゃる方も結構いらっしゃいます。ご夫婦でお勤めされていると私の年収より高い方々もおられ、理事長の年収よりも高いです。こうした組織は世界で稀でしょう。決してひがんでいるのではなく素敵な組織だと思っています。

我々の資金はボートレースからの収益金をいただいておりますが、それだけではなく独自の資金集めもしています。こういう組織は世界にありません。私は世界一のユニークな組織を作りたいということで、皆さんにお願いをしています。世の中にはシンクタンクというものが沢山ありますが、シンクタンクは特定の課題について専門家が研究し、それを発表するという性格があります。そして、ほとんどのシンクタンクは依頼者からの支払いを受けて研究をしますので、都合の悪いことについては文章を削除しなければいけない場合もあるようです。また、発表したものがどれだけ政治、行政に反映されているかを考えると、新聞紙上や専門誌には出ますが、それは犬の遠吠えみたいなもので、若干参考になっても、明確に具体的に政策に反映されたというのはほとんどないでしょう。

財団というものがどういうものかといえば、歴史的には欧米からスタートしていますが、税金対策から始まり、免税措置を受けるところからスタートしたと言われています。今では、社会の一般的に困っている人への支援をするというのが財団となっています。しかし、私が考える財団は、勿論色々なところに支援をするということも大事ですが、日本財団は創立から60年の間に、日本の社会に必要でありながら存在していない組織も作ってきました。例えば、近年の例で言えば、パラスポーツを振興する財団などがありますし、45年前にはB&G財団という、スポーツを通じて健全な青少年の育成を目的とする財団も作りました。当時は1964年の東京オリンピックの後に日本中に立派なスポーツ施設が出来ましたが、国体などで年に一度使うか使わないかという施設作りに何十億円もかけていた状態でおり、作った後遊んでしまっている施設が沢山ありました。こうした施設は今も沢山あります。しかし、そうではなく、町や村の子どもがスポーツを通じて健康になり、健全なコミュニティで育つことができるよう、全国600ヶ所に施設を作り、子ども育成をやってきました。今や時代が変わりお年寄りの健康管理、地域の人のバレーやテニスなど健康志向の人に活用してもらっています。しかしながら、こうした場所は45年前にはありませんでした。

また、日本には、国際的な文化活動が十分発展していないという課題から、文化活動も支援してきました。しかしそうした支援のほとんどは、展覧会や講演会などの切符が売れないところへの補助であり、成果をあまり上げることはありませんでした。いまではアニメや漫画というものは世界的な日本を代表する文化になりましたが、当時は日本国内で評判が良くても国際的な日本文化発信するとなれば、茶道、お花、能など非常に限られていました。こうした問題意識から、日本音楽財団をつくり、日本発の国際的文化活動ということで、弦楽器を収集し、世界のアーティストに無料で貸与し、数億人の耳を楽しませることを通じて、文化の発信を始めました。しかし当初は、多くの方から御叱りをいただきました。「笹川さんはクラシックが好きだから趣味で集めているのではないか」といったご批判も多くありました。しかし私は、世界に何か発信しようということでストラディバリウスの購入を進めました。当時はバブルが崩壊した時でしたので、こうした名器が比較的安く購入できました。こうしたことに対しても「笹川さんは一体何丁集めれば気が済むのでしょうか」と言われ続ける中、全部で21丁の楽器を購入しました。私は当時反対した人を覚えていますので、そうした方々に「価値も上がってきたので売りに出しましょうか」というと「21丁揃っているのは世界に例がなく、世界的文化遺産として登録しましょう」と言われるほど今や大賛成で応援してくれるようになりました。

昨年1年かけ、職員の方が議論し、新しい日本財団の基本方針を作ってくれました。上からの目線ではなく皆さんの意見を集約してつくりました。後程説明と読み合わせがありますが、日本財団の未来志向の基本方針を改めて知って欲しいと思います。

財団は社会に対して助成するものと、これまでも今もそう認識されています。しかし日本には、日本の社会に必要でありながら存在していない組織というものがありました。日本財団はそうした組織をこれまで20弱立ち上げてきました。これには大きな批判もありました。その多くは「財団は困っている人、組織に援助するものであり、自ら仕事をするのはおかしい」という批判でありました。しかし、私は未来志向の財団は自らも仕事をしなければならないと考えました。日本財団という組織は、様々な組織への支援もしますが、自らも活動する、という組織です。多様化する社会において、国や行政が出来ない、そして民間レベルでも永続性がなくできないという課題には、我々自身が気付き、動き、資金集めもするというのが日本財団です。その為に、日本財団にはドネーション事業部があり、1万円以上の寄付者には礼状を添え「寄付はこのように使われています」という感謝の手紙を出しています。日本人には利他の心、社会の為に尽くすという伝統的な心がある一方、ともするとそれを忘れがちになっているのは寄付を集める方に問題があると私は考えます。寄付に対する礼状、そして透明性と説明責任が大切なのです。日本財団はそうした基本的なことをきっちりとやって参りました。

日本財団は、シンクタンクでも単なる助成財団でもない、自らが社会課題を発掘し、自ら動き資金も自ら集めるという組織であり、こうしたことをしているのは世界で日本財団だけです。日本のみならず国際的組織になろうと努力しています。国内で言えば、多様化する社会の中で国も行政も出来ないことが沢山あります。それを日本財団が率先しやり、成功例を作ることで国が真似をしてやっていくというスタンスであります。

例えば、古くから日本は海洋立国と言われ、海の日が休日なのは世界で日本だけです。しかし海洋に関する基本法はなかったので日本財団が作りました。また、特に少額の預金口座などは手続きの方が手間になることから、多くの人がそのままにしていますが、これは休眠口座と呼ばれおよそ1兆円にものぼる多額なものであり、休眠預金を法律化し、それが社会活動の原資になるようにもしました。そして、ウクライナ支援でいえば、日本政府がウクライナから受け入れた避難民の数は200名程度でありますが、日本財団は2000人受け入れています。これは単に受け入れるのみならず、毎日連絡をとり、月に一回は彼らの状況を調査・把握し、3年間2000人の人を率先して面倒見るというものであります。国にはやるべきことが沢山あり、出来ないこともあります。こうしたことに不満を言って果たして世の中は良くなりますでしょうか。できるところが成功例を作って見せるということが大事なのです。

今、日本の国民すべてが孤立化に向かっている時代です。スマホの発達は友人関係を希薄にし、日本伝統のコミュニティが特に地方では現実的に崩壊しています。都市部でも、私が若い頃には、何か用事があれば子どもを隣のおばさんに預けていたものですが、今やそうしたことはありません。全ての人が孤立化の方向に進んでいます。相談相手もいません。この前も申し上げましたが、皆さん、是非とも友人を3人持ってください。沢山はいりません。自分の本当の悩みを受け入れてくれる友人を3人見つけてください。一人は10歳年上、一人は同年代時、もう一人は10年若い人。心友、心の友が三人いればこれ程心強いことはありません。困った時に励ましてくれ、会っただけで元気がもらえる心友を作って欲しいものです。

日本財団が目指すのは、シンクタンクでも一般の財団でもありません。社会の様々な問題をいち早く察知して、具体的に活動し成功例を見せることで、行政・政府を動かすことで未来志向の日本を作っていくという壮大なものであります。しかし敢えて苦言を呈すれば、皆さん努力はされていますが、まだまだ勉強が足りないとも感じています。勉強するしない以前に好奇心を持ってください。日本は今のままでよいのか、どうすればよいのか、日本財団として何が出来るか、と疑問と好奇心をもって働いてほしいのです。ともすると会社に何となく出社し、目の前にある書類を整理し、仕事を終わってしまいます。それで日本財団に勤めているというのでは、もったいないのではないでしょうか。常に社会に対する疑問符を持ち好奇心を持ちそれを日本財団として何とか事業化できないかと常に考えていただくということが、世界で唯一の組織である日本財団の目指すところの最も基本的なところです。好奇心がなくなれば人間は駄目になります。日々の仕事をするだけでは日本財団の職員としては十分ではありません。

日本財団ではこのところ、日本の教育制度が十分機能していないのではという課題に着目しました。学校で学んだことが職場に役に立つかと言えば、理系以外はほとんど役に立ちません。反論はあると思いますが、全体として役に立っていません。これは日本の偏差値教育の弊害です。国語、算数、理科、図工、音楽、体操も全て出来た人が優秀といわれてきました。日本の文科省の長い間の教育方針、つまり、全ての人を同じレベルにするという、この教育方針は戦後は正しいものでした。中間管理職をたくさん作っていくにはよかったのです。しかし日本には「好きこそものの上手なれ」という言葉があります。江戸時代は読み書きそろばんが充実しており、当時で70〜80%の庶民が読み書きそろばんが出来ました。当時貴族社会である英国の識字率は10%程度でありました。未だにイギリスやフランスには階級社会の残滓が濃厚です。日本は、今でも何百年前の書き物が発見されたとニュースに出てくることがありますが、1000年前に源氏物語といった女性作家が書いた本があり、こうした例は世界で類をみません。従って、好きな世界で生きていただくのが大切なことであると思います。例えば音楽、運動が嫌い、ということであれば、好きなものを見つけてそれを突き詰めていく。これが未来志向のイノベーションなのです。今、一生懸命ZEN大学を作ろうとしており、上手くいけば来年から5000人規模で開校しますが、好きなことだけ勉強して欲しいと思います。何が好きかを見つけるのが教育であり、嫌いなものを勉強する必要はありません。こんなことをしていたら日本国は駄目になります。ZEN大学は好きなことだけ勉強してもらうオンラインの教育を提供するのみならず、人と人とのコミュニケーションにも重点をおき、実際の授業などを通じて友達を作ってもらう機会も提供する計画です。

言葉を選ばずに言えば、日本には多くの引きこもりの人がいます。しかし日本のイノベーションを起こしているのはこうした人たちです。日本の社会に大きなイノベーションは起こりません。何故だかお分かりでしょう。会社という集団においては、変わっている人、突飛な意見を言う人、を排除してきたからです。今まではそれでよかったのですが、これからは駄目です。変わった人、おかしな人が何を考えているか、を理解しなければなりません。こうした人がトップになるとイノベーションが起きます。「私が責任を取りますから従って下さい」というのが外国の企業では出来ますが、日本では出来ません。議論すると平均的な話が方向性として打ち出されてきます。変わった意見、突出した意見は消えていきます。大会社のトップを見てください。世界的なイノベーションを起こしている日本の企業はありますか。イノベーションを起こしているそのほとんどがITを中心としたもので、それも世界的に見れば小さなイノベーションです。イノベーションは常識人では出来ません。日本財団は勿論65歳までみなさんの雇用をお守りしますが、現場に疑問をもって、何とかしていこうという好奇心を持ってください。日本財団の皆さんはイノベーションを起こせますし、起こしてほしいと考えています。未来志向の日本財団は、世界で唯一のユニークで面白い組織です。そこにいるわけですからチャレンジし、ネバーギブアップで頑張って欲しいと思います。世の中には沢山問題がありそれをどうするかであり、日本財団の職員の皆さんは、政治家より行政よりイノベーションを起こす種も力もあり、これまで体現もしてきました。

日本財団の60年の歴史を振り返る必要はありませんが、日本財団はこんないい仕事をしてきているのに書物になっていないということで、鳥海アドバイザーにお願いして10年間で8冊の本を書いてもらいました。「日本財団はいったい何をしているのか」という本です。今日から是非皆さんに読んでいただきたいと思います。新入職員の方は勿論、長くお務めの人でも読んでいない人が沢山いることは知っています。歴史は継続性であり、原点があります。過去を盲目的に尊重しろということではなく、どのように変遷してきて、その上で何をしなければならないのか、社会の為に何が出来るかを考えてほしいです。そのためには過去の文献を読んで欲しいしと思います。こうした過去の経緯は私の著書にも書いてあります。それを咀嚼して、何が出来るのか、どうしたいのか、日本財団をどうしたいのか、を考えて実践してください。私は、日本財団を世界で唯一のユニークな組織にしたいという夢があります。まだ道半ばではありますが、きっかけと作り方についてはやってきました。これからは若い皆さんの役割です。

文明史論的に言えば、文明が生まれ、成長し成熟し、衰退し消えていくものです。トインビーの「歴史の研究」を読んでいただければ30弱の文明がこれまでに消滅しました。日本には2000年の歴史がありますがこれが続くのでしょうか。今は衰退の時期でしょうか。停滞の時期でしょうか。よく考えてください。少子高齢化の時代、人口がどんどん減少しています。日本は恵まれた国であり、世界で8大文明の一つと言われています。キリスト文明やイスラム文明、中華文明と一緒に日本文明が学問的に位置づけられてきました。この国をこのまま放っておくわけにはいきません。日本の成熟した状況を更に続け、また新たな発展を続けていく為のキーパーソンが皆さんです。

世界でもユニークな組織が日本財団であり、唯一の存在であります。それは鳥海さんや私の著書を読んでいただければ分かると思います。読まなければ分かりません。自分なりに読んで、自分なりに咀嚼して、それを活力として、事業として展開して欲しいと思います。変わった意見を大いに尊重できるようにし、そしてその中で方向性を見出していくという新しい年にしていきたいと思います。

好奇心を忘れたら我々は衰退します。仕事にあたってはネバーギブアップで決してあきらめず、溢れる情熱でどんな困難にもたちむかい、継続性で成果を上げていく。ハンセン病の制圧だけでも50年命がけで闘ってきました。この伝統を受け継ぎ、これから素晴らしい成果を上げていただき、世界でもユニークな組織が日本財団であるという組織にしていこうではありませんか。
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コメント
「原稿なし」でのスピーチ、素晴らしい内容でした。
今、国会でも地方議会でも「政治家」は、いつも手元の「原稿」を読んでいるだけで、カメラ目線で、自分の頭で、言葉で話をする人物はほとんどいません。特にトップリーダーである岸田首相や、他の閣僚もこの例に洩れず、皆官僚が作成した「原稿」を読んでいるだけです。(実に情けない有様だと思います)
 連日、そのような状況・事態をテレビ画面で目にしている国民は、本当に不幸と思っています。
 今回、笹川会長のブログを読ませて頂き、このようにご自身の考えと言葉で語りかける政治家が一人でも出ないかとつくずく思いました。日本財団のますますのご発展を期待しています。
Posted by: 渡辺文学  at 2024年04月03日(Wed) 12:15