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「ロンドン・リンネ協会訪問」―分類学の名門協会一 [2023年06月08日(Thu)]

「ロンドン・リンネ協会訪問」
―分類学の名門協会一


日本財団が英国のNekton財団と協力して、海中の未発見の生物探査事業「Ocean Census」を開始したことは先日のブログで紹介した。未だ海洋生物は全体の約10%しか判明していないと言われ、分類学も存在していない。これから様々な海洋生物を発見していく中で、海洋生物の分類学を確立することは必須ではないだろうか。

先般イギリスのロンドン・リンネ協会(Linnean Society of London)を訪問した。ロンドン・リンネ協会という名前は、「分類学の父」と称されるカール・フォン・リンネに由来しており、分類学や博物学の研究と普及を目的とした学術機関として1788年に設立され、1802年にはイギリス王室より王室勅許も得ている。現在同協会では、リンネの植物学及び動物学に関するコレクションとして、14,000近い植物、150を超える魚類、3,000を超える昆虫類、1,600冊近くの本、3,000通近くの手紙・書類を保管しているとのことだ。写真のように貴重な文献は天変地変に耐えられるよう特別な部屋に保存されていた。

1.png
分厚い二重扉の中にリンネの業績が保管されている

リンネは人類を動物として初めて分類し、「自然の体系」の第10版において初めてホモサピエンスを加えた。また当時は哺乳類の分類はなく、イルカなども魚類に分類されていたそうだ。カリスマ性も備え、スウェーデンのウプサラ大学の教授を務めた際は、多くの学生がリンネのもとで学びたいと、次々と学生が検体を持ち込んだ。その結果コレクションが増え、「自然の体系」の版も増えていった。これらが今日の植物生理学の基礎になっている。余談ではあるが、ウプサラ大学には、修士及び博士課程の学生に対する奨学金を提供する「ササカワ・ヤングリーダー奨学基金」(SYLFF)が1988年に設置され今年で35年を迎える。奨学基金設立の挨拶は、リンネが教えていた教壇で行われたのも何かの御縁かもしれない。

リンネ協会A.jpg
「自然の体系」第10版のホモサピエンスのページ
写真の右ページには、次の版に反映すべき改善点をリンネが詳細に手書きしていた


リンネ協会B.jpg
デルフィニウムの検体
右上の番号から、別に保管されているマニュスクリプト・カタログを探して
詳細情報が参照できる


リンネ協会C.jpg
植物のみならず魚も検体として保管されている
魚については特殊な液体をかけ、内臓を取り出して保存しているとのこと


また、ロンドン・リンネ協会では2007年にリンネ誕生300年記念行事を開催した際、明仁天皇陛下(当時。現上皇陛下)が基調講演をされたとのことで、貴重なご署名も見せていただいた。

2.png
明仁天皇陛下(当時。現上皇陛下)のご署名


「Ocean Census」事業は10年間で10万種の新種海洋生物の発見を目指して活動を開始。新種発見と同時に海洋生物の分類学が確立されることを私はひそかに期待している。
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