「遺言書作成」―高齢書の残された仕事― [2022年07月26日(Tue)]
「遺言書作成」 ―高齢書の残された仕事― コロナ禍のため、全国各地を訪れて遺言書作成の意義についての説明会が中断されていましたが、久しぶりに東京で行ったところ、雨天にもかかわらず多くの高齢者が参加。数多くの質問と共に熱心な相談を受け、担当の日本財団職員もその対応におおわらわとなりました。 以下、7月15日に行われた遺言書及び遺贈の説明会での私の挨拶です。 ****************** 日本財団会長の笹川陽平です。今日は異常気象の影響もあってか、お天気が悪い中お越しいただき恐縮です。最近、遺言書の作成や遺贈寄付の問題を含め、年配の方が自分の人生の締めくくりをどうしようかということに大変関心が深まってきています。 乱暴な言い方かもしれませんが、人間生きている以上必ず最期があります。ともすれば、人は自分が元気でいる間のことにしか考えが及びません。しかし私自身、若い時分から様々な方にご指導いただくと同時に、様々な体験談を耳にして参りました。本人が健在の時には幸せで素晴らしいご家庭であったにもかかわらず、亡くなった後に遺産の処理を巡って血で血を洗う争いになるのもしばしば見てきました。本当に些細な金銭による争いもありました。亡くなられた本人も、幸せな家庭だったのに残された家族が離散するような激しい関係になるとは想像すらしていなかったと思います。そんなことから、本人が旅立った後、残された家族が引き続き仲良く生活していくためには、本人の遺志を文章で残すという遺言書の作成が大切であると気付き、こうした活動をして参りました。 お子様がいらっしゃらない方のなかには「どのような手続きをしたらいいのかわからない」「自分も生きていく中で多くの方にお世話になったので、何か社会の為に役立たせる方法はないか」といった悩みを持っている方もいらっしゃいます。そうした方の中には、自分の住んできた街に寄付をするケースが多くあると伺っています。しかしながら、地方自治体に寄付されても、何に活用して欲しい寄付か記載がないため、困惑するケースが多いと自治体の方から聞いております。そういった意味でも遺言書の作成は大切です。 遺言書を作るのは難しいと思っている方々が多くおられます。「今年はできなかったから来年にしよう」とか「子どもの立場からは『そろそろ遺言書を書いて』とは言いづらい」といったご意見も頂戴しています。私は例えば、正月には家族でざっくばらんに遺言書について話せるような雰囲気づくりも必要と考え、日本財団では1月5日を「遺言の日」に制定しました。既に沢山の方から日本財団に遺贈寄付の希望もいただいており、ご希望に従い、寄付者の名前を冠した基金を設けたり、ご遺志を尊重した社会貢献活動に活用させていただいております。我々の活動は、間接経費をとらずに頂いた寄付全額をご希望の活動に活用させていただいています。 こうした活動を通じて、多くの方が家族の為のみならず、その一部を社会への恩返しの為に使いたいという気持ちを持っている方がいらっしゃるとわかりました。そうしたニーズに応えるべく、本日のような遺言書の作成と遺贈寄付の説明会を設けています。是非とも率直なご質問をお受けしたいと思います。遺言書を書いたあとに「すっきりした」「生活が明るくなった」という感想もいただいています。また、なかなか書くことが捗らないこともありますが、日本財団では数年間にわたってご相談を継続してお受けしている方もおられます。 冒頭申し上げました通り、あくまで本人が亡くなった後も家庭が円満であって欲しいという想いでこうした仕事をしておりますので、遺言書の中に「遺贈の一部を日本財団に」と申し上げるつもりはありません。是非ともこの機会をご活用ください、ありがとうございました。 ※以下、秋の遺贈相談会の日程です。 10月21日(金)仙台 10月25日(火)広島 11月1日(火)新潟 11月14日(月)静岡 11月15日(火)名古屋 |