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産経新聞【正論】食の確保こそ安全保障の要諦だ [2022年05月30日(Mon)]

一食の確保こそ安全保障の要諦だ―


産経新聞【正論】
2022年5月19日

 パンデミック(世界的大流行)となった新型コロナウイルス感染、唐突なロシアのウクライナ侵攻など想定外の事態を前に、国の安全保障に関する議論がこれまでになく高まっている。

 国防、コロナ禍で低迷する経済の再生、健康、温暖化に伴い常態化しつつある巨大災害への備えなど、どれも喫緊の課題であり、異存はない。ただし、筆者は「食」の安定的な確保こそ国の要であり、最優先で議論されるべきテーマと考える。食料問題は時に国際紛争の原因になり、不足すれば国は安定しないからだ。

 ≪小麦高騰に意外に小さい危機感≫
 先の大戦では米国による石油禁輸が日本を戦争に追い込む引き金になったとも指摘される。人口増で世界的な食料不足が進む中、石油や天然ガスと同様、食料はいつでも“戦略物資”になり得る。60%以上を輸入に頼るわが国の現状はあまりに危うい。

 今回のウクライナ情勢の緊迫化は小麦の国際価格の高騰を招き、早晩、日本にも波及する。「輸入すれば足りる」といった発想は安易であり、食の将来を懸念する声が思いのほか小さい現実に意外感さえ覚える。ちなみに、わが国の小麦消費量は平成28年から5年間平均で国産が年82万トン、輸入が488万トン。85%を輸入に頼り、世界の小麦輸入国上位5カ国の一つに数えられている。

 国連食糧農業機関(FAO)が毎月発表する世界の食料価格指数(2014〜16年=100)は3月、159.3と2カ月連続で過去最高値を更新し、中でも小麦を中心とした穀類は170.1と1990年以降、最高となった。価格高騰は世界1位の小麦輸出国であるロシアが同5位のウクライナに侵攻したことで輸出の落ち込みを懸念した結果とみられている。わが国は小麦のほぼ100%を米国、カナダ、オーストラリアの3国から輸入している。にもかかわらず政府が外国から買い付け、製粉業者に売り渡す輸入小麦価格は4月1日から17.3%アップし、1トン当たり7万2530円と20年以来の最高値となった。

 昨年、北米を襲った記録的な干魃(かんばつ)の影響が大きいが、ウクライナ情勢の影響を受け、次回10月の政府売渡価格がさらに上昇するのは避けられない。パンから麺類、菓子類まで幅広く利用され、円安に伴う輸入価格の上昇もあって消費者への影響は避けられない。

 食料の自給率向上はこれまでも政策課題となってきた。政府は平成11年、農業基本法(昭和36年制定)に代わり、新たに食料・農業・農村基本法を制定し、食料の安定供給の確保や農業の持続的発展など4項目の政策を打ち出した。基本計画は5年ごとに見直され、平成27年には10年後の食料自給率をカロリーベースで45%(生産額ベースで73%)に設定した。

 ≪食料自給率は過去最低の37%≫
 しかし、その後も低下傾向をたどり、小麦を含めた自給率は令和2年度、37.17%。統計が始まった昭和40年(73%)の約半分、過去最低の数字に落ち込み、令和12年度の達成目標を再度、45%に設定している。

 野菜の生産量も令和元年は1166万トンと40年前に比べ約30%減少。タマネギ、ニンジン、カボチャなど生鮮品や加工・業務用の冷凍・乾燥野菜の輸入は約300万トンに上り、重量ベースで見た近年の自給率は80%前後で推移している。

 筆者は平成23年12月に当欄に投稿した「日本農業をゆでガエルにするな」で、農業の成長を押さえ込んできた補助金や過度の規制に疑問を提示し、農業の再生と地方創生を訴えた。しかし、効率化や生産性の向上を目指す農業の大規模化やITやAIを利用したスマート農業への切り替えは思うように進んでいない。

 これに対し政府は昨年7月、緊急事態食料安全保障指針を改正して「早期注意段階」を新設し、直ちに適用した。緊迫化する国際情勢を前に、早い段階から情報収集など取り組みを強化するのが狙いと理解する。岸田文雄首相も4月17日、石川県輪島市で開かれた車座集会で、世界の食物価格の高騰を受け、「食料自給率を上げないといけない」と語っている。

 ≪議論を深め緊張感の共有を≫
 以上、わが国を取り巻く食料環境の厳しさについて述べた。夏の参院選では、食の安定確保・自給率アップに向け与野党で活発な論戦が行われるよう期待する。その上で目を転ずれば、国際社会は戦後77年を経て何が起きてもおかしくない激動期を迎えている。ウクライナ情勢を見るまでもなく、万一の事態はいつでも起こり得る。とりわけロシア、中国、北朝鮮に隣接するわが国の安全保障環境は厳しさを増している。

 そうした危険にどう備えるか。「備えあれば憂いなし」である。まずは憲法改正を含め、可能なところから議論を深めることが急務である。議論を通じて、わが国が置かれた厳しい現実を広く共有することが、ともすれば緊張感を欠く“平和日本”の安全保障を前に進めることになる。
(ささかわ ようへい)


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コメント
笹川会長 今晩はです。
こちら愛知は、先だっての明治用水の漏水問題で、紛糾しています。
改めて、水の大切さとこれからの農作物への影響が心配されています。実際に問題に直面しないと実感が湧かないことと、なかなか復旧が進まない状況は、今後の災害対応の復旧時間の目安の先鞭の事例になるかもしれません。
話は変わりますが、先日の渋谷イベントは、みなさん楽しそうに参加されていました。喫煙指導員の方が、「みなさんが清掃ボラをされていると、たばこのポイ捨てが減って驚きました」とちょっとうれしそうでした。いつも良いイベント開催していただきありがとうございます
Posted by: 稲垣 学(大須ブログ)  at 2022年05月30日(Mon) 21:16

笹川会長様
 謹呈 お世話になります。
 貴殿の内容、その通り。その上でこの国の将来を見据えた上で学校教育で「将来の食糧難」にどう対処するか、学生達に自覚して頂く教育時間が必要と思います。先の大戦終戦直後の食糧難に日本人がどう耐え抜き国民の頑張りが今の日本経済の根幹に繋がったか将来を担う学生達が自覚すればニューアイデア施策も生まれると視察します。 再拝  (吉田 拝)     
 
Posted by: 吉田容士  at 2022年05月30日(Mon) 11:33

ご意見賛成。自給率向上の鍵は、家畜の餌を輸入しないで自国栽培すること。コメ作依存の農家に転作を求めても、自己防衛する農家は動かない。転作は、トウモロコシ、大豆、麦等である。自給率向上で見落とされている視点。窒素・リン酸・カリの100%輸入依存。枯渇するリン酸に対する防衛は、リンの資源循環。家畜糞尿の堆肥化・下水汚泥堆肥化でリン酸・窒素・カリ等資源循環が日本農業の防衛的戦略。耕畜連携を進めることが、自給率向上・食糧安保の基本。松井三郎京都大学名誉教授
Posted by: 松井  at 2022年05月30日(Mon) 10:05