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「トンガ海底火山爆発」―国際協力調査に日本財団― [2022年04月12日(Tue)]

「トンガ海底火山爆発」
―国際協力調査に日本財団―


南太平洋のトンガ沖で1月15日に海底火山の大規模噴火が発生して2カ月半以上が経過した。2月末にロシアのウクライナ侵攻が始まるなど国際社会が激しく揺れ動く中、ともすれば記憶が薄れがちだが、少なくとも8,000平方キロメートルを超す広大な周辺海域の海底地形が変化したと推定され、実態解明に向けニュージーランド国立水圏大気研究所(オークランド:NIWA)などと初の共同調査・研究に踏み切ることになった。

有人調査で使用するNIWAの調査船.png
有人調査で使用するNIWAの調査船


海底火山フンガ・トンガ-フンガ・ハアバイの大噴火によりトンガの全人口の8割を超す8万7000人が被災し、火山灰によって農作物や家畜、魚介類に大きな被害が出たほか、約8000キロメートル離れた日本でも港や船舶への津波被害が確認された。

噴火前、海面上で一つに繋がっていたフンガ・トンガ島とフンガ・ハアバイ島の中央部分が吹き飛び面積も大幅に縮小したほか、火口から50キロメートルの範囲にあった海底ケーブルの断絶も確認され、火山灰によるサンゴ礁への深刻な影響も懸念されている。

調査は4月から調査船による対象海域の有人調査と無人水上艇による火口および周辺の調査を行い、7月にも、結果を公表する予定。トンガとニュージーランドの間には50を超す海底活火山が存在し、調査で得られるデータは多くの火山を有する日本など環太平洋諸国にとって噴火の前兆現象、さらに今後の防災・減災にも役立つと期待している。

無人調査で使用する無人水上艇(USV).png
無人調査で使用する無人水上艇(USV)


また調査には、世界の政府機関、研究機関、企業と連携して、2030年までに世界の海底地形図の完成を目指す「日本財団GEBCO Seabed 2030」も参加する。作業が始まった2017年当時、6%に過ぎなかった海底地形図は現在20.6%まで作成が進み、トンガ周辺海域の地図化は噴火前に一段落していた。噴火により周辺海域の海底がどのように変化したか、調査結果が注目されている。

事業計画は4月1日、オークランドで発表し、筆者もオンラインで、多様な関係者と連携して実現した国際共同研究を歓迎し、日本財団として約200万米ドルを支援する旨、挨拶した。

以下、私の発言です。

*****************

はじめに、このたびの海底火山の噴火によって亡くなった方々のご冥福をお祈りすると共に、ご遺族、負傷された方々、避難生活を続けられている方々、今もさまざまな形で噴火の影響を受けている方々へ心からお見舞い申し上げます。

今回のプロジェクトに共に取り組むニュージーランド国立水圏大気研究所および日本財団-GEBCO Seabed 2030の関係者の皆さまと、噴火の直後から私たちに何ができるか協議を重ねて参りました。その結果、今回の国際共同研究が形になったことについて大変嬉しく思います。

トンガと日本は8,000キロ離れておりますが、深い親交と共通点があります。トンガ王国王室と日本の皇室の関係は歴史的にも古く、親密な関係にございます。また、私の亡父笹川良一は、トゥポウ四世そして五世国王陛下とも親交があり、トゥポウ四世国王陛下が来日された折には、晩餐会でご一緒させていただいたことを懐かしく思い出すのと同時に、父がトンガ王国の名誉総領事を懸命に務めていたことも思い出されます、。

日本財団は長年にわたり海の問題解決に取り組んできました。複雑で多様な海の課題に対応するため、特定の分野・領域を超えた視野を持つ人材を育成すること、そして世代・国籍・専門分野等を超えて人材がつながり、共に課題に取り組むことが重要だと考え、人材育成とネットワークづくりに尽力してきました。今回のプロジェクトに共に取り組むSeabed 2030は、世界中の政府機関、研究機関および企業との連携のもと、2030年までに世界の海底地形図の完成を目指すものです。ニュージーランド国立水圏大気研究所はSeabed 2030のデータセンターのホスト機関でもあります。今回のトンガでの調査においても多様な関係者と連携し、噴火の影響をさまざまな視点から把握することが重要だと考えます。

家屋の損壊や農作物や家畜の喪失、海底ケーブルの断絶など人々の暮らしに直接影響を及ぼした噴火の被害については概ね把握されている一方で、海の中における噴火の影響については、まだ詳細に把握されていません。ニュージーランド国立水圏大気研究所、日本財団―GEBCO Seabed 2030、そして日本財団が連携しながら実施する本調査は、噴火後、当該エリアで実施されるはじめての国際共同研究であり、日本財団として約200万米ドルを支援致します。

本調査は、船による海底火山周辺海域の有人調査だけではなく、有人では困難な火口周辺海域も無人水上艇を使って調査していきます。本調査を通し、まず噴火により変化したおよそ8,000キロ平方メートルの海底地形を明らかにすることを目指します。収集されたデータによって、噴火や津波の発生メカニズムを解明し、さらなる噴火の前兆現象も捉えることが可能となり、災害予測や予防対策にも役立てられることが期待されます。さらに海底や海中の様子を画像で捉えることにより、噴火で発生した大量の火山灰が、生物多様性を支えるサンゴ礁をはじめとした海の生態系にどのような影響を与えているのか把握することにもつながっていきます。

昨今、パプアニューギニアのマナム火山や小笠原諸島の海底火山の噴火など、環太平洋火山帯の火山活動の活発化が見られるなか、海底・海中の状況を可視化する本調査は、トンガだけではなく多くの火山を有する環太平洋諸国にとっても将来の災害に備えるうえで非常に重要であると考えます。

私たちは海から言葉にできないほどの恩恵を受けていることを忘れてはいけません。その一方で海は時に巨大な災害の舞台となることもあります。海からの恩恵を絶やさず、海での災害や危険を減らしていくためには、私たちと海とのつながりを認識し、深海や海底も含め海で起きていることについて深く知ること、さらに、その知見を共有することが必要だと考えています。今回の調査プロジェクトを実施し、その結果を広く世界に共有することが、さらなる海底の調査や研究につながり、人類の海に関する知見を深めることに貢献できれば幸いです。

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コメント
現象とその影響を把握するために、データをきちんと取得することの必要性を再認識しました。科学的な取組が、防災、減災に役立っていくことを期待しております。
Posted by: 清水  at 2022年04月12日(Tue) 14:11

群発する地震は何かの予兆かと思える程ですが、友好国トンガもまた地震大国と先の大震災で知りました。友好のためご尽力頂きありがとうございます。
Posted by: 松浦四郎  at 2022年04月12日(Tue) 10:20