「ゴルフの話」―95才のプレイヤーを見て反省― [2021年10月27日(Wed)]
「ゴルフの話」 ―95才のプレイヤーを見て反省― ご存知の通り、ゴルフにおいて、ドライバーは可能な限り真っ直ぐ飛距離を得るために飛ばすか、アイアンはいかに真っ直ぐ正確な距離に打つかであるが、静止したボールを打つのは反射神経が不用なだけにより難しい。ゴルフのスイング理論は数多くあり、場合によっては真逆の理論もあるため情報過多で常に新しい理論の誘惑にかられ、ゴルフを始めて57年、あれやこれやといまだ私なりのスイングが固まっていない情けない現状にある。 悪い癖は、ゴルフ談義の中で聞いた新しい打法を毎回試してみたくなることであるが、ゴルフ場の練習場で1ダースほど打つだけで身に付くことはあり得ない。そのため、ストレス解放にゴルフをやり、逆にこんなはずではなかったとストレスを抱えて帰宅するおかしなスポーツである。 老妻と二人のプレーが多く、その都度歩き方を注意され、「胸を張って歩幅は70センチ、下を向かないで目標に向かって正しく歩いて下さい」と正される。しかしスイングの反省をしながら歩くとついつい下を向いて歩く姿勢となり、そのたびに注意の声が飛んでくる。 従って最近ではゴルフのスコアより歩く姿に注意するようになった。「飛ばすことを忘れてショットは真っすぐ飛べばスリーオン・ツゥーパットは簡単で、90前後のスコアになるわ!!」と注意を受けるが、確かにその通りではある。尺取虫のように飛ばす誘惑を捨てた方がスコアは良くなるかもしれない。美しい姿で芝生の上を闊歩した方が健康維持には大切だとも諭された。 かつて、老妻と二人でプレーをしていたところ、キャディさんが「前の組の老人は今年92才ですよ!!絶対にカートには乗らない方で、本当にお元気です」と教えてくれた。 茶店で少しおしゃべりの機会があった。「私は現在95才、この11月には96才になります。一週間に二回、一人で電車とバスを乗り継いでゴルフ場に来るのですが、仲間は全員旅立ち、親しい仲間とプレーできないのはが淋しいですね」とにこやかに話され、婦人用のティーからであったが、池越えのショートホールに見事ワンオンさせた。そして、同伴者に遅れることなく姿勢を正して歩く姿に感動すら覚えた。96才まで、私の年齢からはまだ14年もある。彼の一挙手一投足を瞼に焼き付けた。 遅まきながら、よーし!! 私も年齢を感じさせない風格あるゴルファーになろうと決意した。しかし、されどゴルフである。そこそこのスコアを出したいし、風格あるゴルファーにもなりたい。80才を超えても上手な方は風格も伴っているものである。数年前にゴルフ雑誌に掲載されていた記事は今も私の実現不可能な夢ではあるが、本棚の隅にある。 @ 某氏 95歳 エージシュート 1472回 ドライバー 140ヤード A 某女 87歳 エージシュート 69回 ドライバー 140ヤード B 某氏 85歳 エージシュート 1238回 ドライバー 190ヤード C 某氏 84歳 エージシュート 366回 アベレージ 77 D 某氏 80歳 エージシュート 293回 アベレージ 79 ゴルファーにとってエージシュートは夢のまた夢なのに、上記のようなスーパープレイヤーがいるとは驚きであり、私も一度で良いからエージシュートの快挙を達成したいと願っているが、あらゆる雑念を捨て老妻の注意を優先すべきか、スコアに固執すべきか、ハムレットの心境である。 |