「パラ選手を宣伝だけに使うな」―一年延期で契約終了― [2021年02月26日(Fri)]
「パラ選手を宣伝だけに使うな」 ―一年延期で契約終了― まるで週刊誌の見出しのようで恐縮です。 パラリンピックの開催が決定し、多くの企業は広報宣伝のためにメダルの取れそうな有力選手の争奪戦を始めた。障がいのあるスポーツ選手が懸命に努力をしてメダルを獲得すれば、企業のイメージアップにつながるとの打算があったに相違ない。 パラリンピックはコロナ禍で一年延長となり、企業業績も下降の中で、パラ選手の契約終了を通告する企業も出てきたと聞く。ある選手は競技を続けるために100社と交渉したと、2月24日付読売新聞は報じている。 企業はパラ選手の活躍によって「当社は障がい者に優しい企業です」と、単にイメージアップの道具として採用していたのではないだろうか。パラ開催を目前にこの非人道的処置に悲しみと怒りを感じるのは私だけではないだろう。パラ選手の懸命な努力は、どんな困難も乗り越えて努力するその姿に感動し、特に次代を担う子供たちに夢と希望を与える大切な方々なのである。 収益第一主義の企業の本質は変わらないまでも、世界の企業は大きく変わろうとしている。先般ブログで掲載したように、日本財団はダボス会議で話題となった世界の大企業500社のCEOを中心に障がい者雇用を促進し、ビジネスと障がい者の共生を推進するネットワーク「The Valuable500」の立ち上げに協力している。パラ選手が単にスポーツだけでなく、企業人としても一流になってほしいとの願いからである。アフターコロナの時代は、ビジネスと障がい者の共生社会を実現する動きが既に世界では始まっている。日本も遅れをとってはならない。 パラ開催を目前に懸命に努力する選手たちから、しばし職を奮うことなく安心してトレーニングに専心できる環境を各企業に心から願いたいものだ。 企業での障がい者雇用の先駆的役割を果たしてきたアスリートには、大会終了後も企業内の仕事にも精通し、2021年のパラ大会が日本におけるビジネスと障がい者の共生時代の幕開けの記念すべき大会にして頂きたいものである。 |